第119話 それぞれの文化祭準備
翌週から、俺はクラス公認の嫌われものとしての生活が始まった。
休み時間にクラスメイトとすれ違うと、
『ちっ、がっかり野郎が!』
『香椎さんに悪口言うなんて最低!』
『もう香椎さんには近づかないでね?』
みたいな感じで言われる。
まあ、自業自得だし文句はない。
複数人に囲まれて悪口言われてる時、
三国志で一番好きな武将が、
関羽『それがしに包囲攻撃は効かぬぞ!』
スキル発動してる場面を思い浮かべる
放課後、合唱コンクールの練習時も隣に行くと嫌がる生徒がいるので端っこの一番後ろが指定席。
完くんやマッチョたちだけは気にせず接してくれて本当に嬉しい。
合唱コンクール練習後、俺は小道具係で文化祭に使用する造花を作る。
(なんかこればっかやってない?)
クラスの割り当て300個を外町の命令で全部俺が作りつつ、他の仕事の下請けさせられる。
『立花ー!課題で調べ物行ってこいよ?』
(調査時間2時間はかかるぞそれ?)
さすがに並行できないって言おうとすると。
伊勢『ああん?!
立花は造花と小物係の下請けで仮面舞踏会用の仮面を8個と大道具の森作ってるんだけど?どれを代わりにやってくれる?
森がいいんだけどー?絵の具そこにあるし?』
伊勢さんが睨むとみんなさっさと逃げていく。
伊勢さんがこないだの件で俺に腹を立ててめっちゃいびってるって噂が流れてる。
いや、伊勢さんが流してる。
その為、俺に笑顔を見せず、厳しく当たり、皆が本当は庇ってるんじゃないか?て思って見ると皆、伊勢さんマジギレだわ!って怖がって帰っていく。
2人っきりになった時だけ
伊勢『2人っきりだね?えへへ!』
と言いながら、買ってきたブラックサンダーとかポテチを食べて少しだけ談笑する。
人が来ると伊勢さんは女王さまのような態度を使い分けていた。
伊勢さんやマッチョが居ないと陽キャにゴミを投げつけられたり、罵倒されるが自業自得だから仕方ないと納得している。
自分で意外だったのが、前回中立だった子の半分が、
『見損なった!』
『あんなに一緒に頑張ってたのに!そんなこと考えてたの!』
『お前は2度と香椎さんに近づくな!』
陽キャと同じ対応なのだが、すっごい苦しい。
俺、今まで宏介やあっちゃん、中学なって青井、田中、佐方、完くんと交流が増えて3年になってからは色んな人と交流が増えた。
今までならそんな心無い言葉は苦痛だけど耐えられた。
でも…今回の中立派で一緒に頑張った子たちの侮蔑の表情は効く。
彼等、彼女等が悪いのでは無い
俺が、香椎さんの為って大義を抱えて傷付けた人たちに謝る術を持たない。
言えない。心の中で俺は謝罪し続ける…。
そして中立の子の残り半分が、
『なあ、なんか理由があってあんな事言ったんだろ?』
『あんなに香椎さんが好きな君がなんで?…聞かないでおくから香椎さんと仲直りしなよ?』
『小1からクラス何度も一緒なんだからあんな事しないって知ってる。訳あるんでしょ?』
こっちの方が効く。暖かくて、そんな訳ないだろ?って信じてくれる人がいる…俺泣きそうになっちゃう。
伊勢さんたちや完くんたち以外にもこんな風に思ってもらえるなんて思いもしなかった。
まあ、それでもクラスの7割が敵なんだけどね?
辛いけど、贖罪でもある。
俺は毎日サボらずに文化祭の裏方作業を続けたんだ。
□ □ □ □
何ができる? side伊勢 成実
守ると思ったけどあたしに何ができるん?
考えた末、一番にあたしが立花をいびる。
文句つけようないほど準備の作業はこなしつつ、出来るだけ立花を1人にしないんだ!
噂も、あたしが立花にガチギレしていびったりパシらせてるってギャル友に流してもらって、かつ実際昼に、
伊勢『立花ぁ、ダッシュで午後ティー?』
立花『…わかったよ。』
これを何度かみんなの前でやった。
便乗してパシらせようとする奴を威嚇したり、そんなイヤな仕事なんだよねー。
仲良いと悟られちゃいけないから誰も居ないと確信するまで私語もしないよ。
ギャル友は衣装係だから別行動。完くんたちは大道具と一部登場人物だから教室には居たり、居なかったり。
メインキャストは美術室で劇の練習をしてるんだ、あそこの方が広いから。
楽しくは無いけど立花と2人っきりの時間が多くて言えないけどドキドキしちゃう。恥ずかしいよね?
本当は外町の立花を土下座させたこの動画を使って外町の暴虐を暴きたいよ!
でも、立花はそれを望んでいない。
このまま文化祭終了までは忍耐って感じ?
いくら我慢強いって言ったって、この環境じゃ立花が苦しそう。
私には何もしてやれない。
あたしが出来るのは出来る範囲で立花を守ることだけ。
立花はこの状態であたしに負担をかけてるって申し訳ない!て謝るけど、
あたしは全然そう思わない!
好きな子を守りたいって気持ちに男女の区別は無いっしょ?
□ □ □ □
立花望の野望
そのころの1年1組。
『じゃあさ!2曲!よっしゃあと漢花の2曲!
どう?委員長ちゃん香椎先輩に憧れてるんでしょ?
私が香椎先輩紹介するから!
…うん、衣装はこないだの体育祭で使ったの上から羽織るからいいよ!
…おっぱい先輩がスパンコールつけすぎ?余計いいじゃん!
大丈夫!あれ流用すれば衣装の予算も手間も浮くじゃん!
何が不満なのー?』
望はセトリに2曲捩じ込む為、手段を選ばなくなっていた。
□ □ □ □
次回が一番ダメージを受けてる香椎さんSIDEの話になります。
重くて申し訳ないです。今作屈指の鬱ポイントです。
先に謝ります。
もし急いで無ければ120話(月)ー122話(水)まで一気に読むことをおすすめします。(水曜日にまとめて読む方がいいかも?)
どうかあるに力を!下の♡や☆是非お願いします!
コメントに返信が一番楽しい作業です。是非お気軽にコメントくださいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます