第118話 ギャルは見ていた【side伊勢成実】
少し話は戻る。
立花承が香椎玲奈に好意を伝えた頃の昼休み。
□ □ □ □
楽しかった体育祭が終わり、いよいよ文化祭!
出し物何するのかな?立花や香椎玲奈がテンション低いクラスの連中に手を焼いてるのは知ってたよね。
みんなで楽しんで、協力しあって思い出作れれば良くない?
勝ち負けは大事だけど、一番じゃ無いよね?
立花や香椎玲奈は真面目だから結果を求めすぎるんだよねー。
そんな体育祭を経て、立花は男らしくなった。
行動に少し自信がついて、体育祭を回したって経験のせいかも?
体育祭の活躍で結構みんなからも一目置かれるようにもなり他人事ながら誇らしいよ?
(みんなが気づく前からあたし気づいてたよ!立花の良さ!)
そう思うが口には出せないっしょ。
(香椎玲奈の為に頑張ったんだもんね?格好良かったよ?立花。)
これも口に出せない。
そんな昼休み、ジュース買いに行った帰りに立花を見つけた。
(お!立花!捕まえて話しよ!週末どっか誘おうかな?)
ニヤリと笑いながらあたしはスパイごっこ!
足音消して、付いて行く。
階段下の出口?校舎裏?
校舎裏は実は告白スポットで有名!
うちの学校のカップルのうち何割かはここで発生って噂もあるし。
(えー?立花告白?する?される?)
悲しいけど告白するなら香椎玲奈だよね。
されるだと…まじわからない。
でも最近結構人気あるんよ?立花。
女子更衣室で香椎玲奈に3回も告ったのフったのはもったいない?
みたいな話とか出てくるし(その時の香椎玲奈すごい顔してるの!)
下級生のせんもあるかな?
まあ、とりあえず付いて行く!本当に困ってたら助けてあげようかな?
…立花が誰かと話しているのかなー?
『どうしたら引き受けてくれる?』
『まず、今のままじゃクラスはまとまらない。
僕でもね。だから立花に泥かぶってもらわなきゃいけない。まあ文句は無いだろ?』
立花が外町と話こんでる?
珍しい組み合わせ?
『煽ったくらいじゃどうにもならないだろ?
あれじゃあ。
そうだな、立花、お前徹底的にクラスのみんなのダメ出ししろよ?
悪口より本当のことの方が人間傷つくし、言われて敵対心も増す。』
(なんか不穏なこと言ってるし?録画しておこう?)
あーしはスマホのアプリを起動してこっそり校舎の影から録音、録画したよ!
『それは必要経費だろ?
まだある。クラスの敵に演出してやるからしばらくお前の好きなクラスメイトたちのサンドバックな?』
『その程度は要求してもいいだろ?
お前のせいで香椎さん手に入れ損なったり、体育祭で俺の居る位置奪われたり出し抜かれて腹立ってるんだから!』
聞いていれば外町は爽やかな笑顔でエゴ全開なことを言う。
まじあいつ頭おかしくない?
『それで文化祭が成功して、うちのクラスが勝って、香椎さんが喜べばお前だって嬉しいだろ?』
『必ず文化祭勝てよな?香椎さんを戦わせてやれよな?』
(やっぱり香椎玲奈の為なんだ…羨ましいな。)
いつも立花を見てしまう私はすぐに立花が香椎玲奈を好きなことに気づいた。
知ってるし、立花の為にも応援してあげたいけど羨ましくって、自分との差に悔しくなる。
その後の言葉に耳を疑う。
『俺からの要求は、
「香椎玲奈に告白するな」だ。
気に入ってるから万が一があるとムカつくからな。
まあ、俺は同じ高校受験強して、彼女と天月か県高へ行く。
だからこの文化祭で決めて、卒業式までは彼女は誰とも付き合わないらしいから卒業後付き合えるよう動く。』
『お前みたいなタイプは妙に約束守るからこうゆうの効くだろ?
じゃあ1年。
『今日から1年、立花承から香椎玲奈に告白して付き合うことはしない。』
って誓えよw』
『…誓う。』
『きちんと全部言えよ?』
『今日から1年、立花承から香椎玲奈に告白して付き合うことはしない。誓う。』
『まあ1年もかけないけどな?でも高校生まで口説くのかかる可能性あるし保険だな。』
(立花は香椎玲奈に告白しない?!
誓ったよ?まじで?!
あーしはどうしよう!どうしたら良い?!)
一瞬で頭がオーバーヒート!
あたし、あたしにもチャンスあるかな?
そっと影から見た立花の真剣な漢の横顔にキュンと来る。
(ああ、香椎玲奈の為にそこまで真剣に…私の入る隙間は無いみたいだし…。)
話はまだ続いている。
『色々邪魔しただろ?青井もすっかりお前に懐いてムカつくし。
あと、お前の妹さ、俺のいじめの話しめちゃくちゃ広めてるんだぞ?
俺本当は去年生徒会長に立候補する予定だったけど、下級生票が怪しくて取りやめたんだ。
ムカつくわ、兄妹揃って。
本当の事でも、それで損害が出れば名誉毀損に該当するそうだぞ?
まあ、お前の妹なんてモブ顔のしょうもない女だろうけど女って襲われることもあるよな?』
『妹には手を出すなよ。』
『じゃあ、土下座で妹の分も合わせて謝れよ?』
(望ちゃん!何してんのー?!)
立花は外町に土下座した。
腹が立ちすぎると人間って血の気が引くらしい。
顔が青ざめるのを感じる。
悔しい!あたしの立花に!
あーしに何ができる?!
香椎玲奈に告白しないって安心した自分をゆるっせない!
私は証拠を撮り続ける、何かで役立つかもしれないし!
土下座しながら立花が、
色々邪魔してしまい、すいませんでした。
妹が迷惑かけてすいませんでした。
妹には手を出さないで下さい。
外町はケラケラ笑いながらスマホで撮ってた。
撮ってるお前をあーしは撮ってる。いつか必要になるかもと信じて。
あーしのおなかは煮えたぎっていた!!
2人が出る前にその場を離れ、校舎内で何食わぬ顔で立花に出会うよ。
『立花よっす!』
『
受け答えは普通だね?
一緒に教室戻るけど立花緊張してる感じする。
そして放課後、HR。
あーしも思い出したくないから端折るけど?
立花はクラスの、クラスメイトの悪口を言い。
多分外町と約束したであろう事、香椎玲奈をディスってた。
つーかあーしの応援小物デコってるって褒め言葉じゃない?
めっちゃKawaii!!
体育祭では立花の学生服着て応援したなあ。
立花の匂いめっちゃした!香椎玲奈の匂いも…。
成実『轟け!!!!』
※つもり
あーしの応援仕切りなかなかのものだったんだよねー?
いかんそれた。
香椎玲奈は耐えられなくて泣いちゃった。
…いや、好きな人から言われたら泣いちゃうよ…さすがに可哀想。
これで決まった。
外町が立花を追放する勢いで罵倒して、みんなの敵意を立花に向けて解任請求からの自分が実行委員に就任って流れ。
マジ追放モノみたいな!
外町は泣いてる香椎玲奈を置いといて、ロミジュリの役とか係を分担し始めた。手際はいい。
(あたしも立花がロミ男だったらジュリエットやりたいかも?
外町はイヤっしょ?)
HRも終わり頃、隣を見ると完くんがヒートアップしてる!
『完くん、完くん?』
『あ、伊勢さんどうしたの?』
『なんか怒ってない?』
『だって立花くんが!あんなこと!』
(あ。完くん本当に立花が悪口言ってクラスディスってるって思ってるん?)
『完くん、多分だけどなんか事情があるのかも?あたしに任せてくれない?』
『事情?でも言ってくれれば…!』
『それをHR終わったら無理やり拉致って聞き出そうよ?
多分何かあれば逆に立花は何も言えないはず。』
(私はわかってるけど、立花には味方が必要っしょ!
クラスに敵が多すぎるからねー!完くんやあーしらだけは立花を守りたい!)
HR終了後、特殊教室棟階段にて。
HR終了と同時に立花をさらった!
伊勢『立花さー!あーしが怒ってるの!わかるよね?』
本当は得意じゃないけどめっちゃ威圧するよ!
立花『…。』
伊勢『マジ怒ってるんですけど?立花?
あーしや完くんに一言あっても良かったんじゃない?
なんかあったっっしょ!!!』
あたしだってこんなことしたく無いよー。
でも多分、立花は口封じされて何も言わないはず。
立花『…。』
伊勢『黙ってたってわかんないよ!
あーしたち友達じゃん!なんで言ってくれないの!
いっぱい班一緒に組んで!修学旅行も行って!マラソン大会!体育祭!一緒に、一緒に過ごしてきたっしょ!!!』
立花が何も言えないことに完くんが不信を抱かないようにあーしが立花をぎゅうぎゅうに責める。こんなことしたくない。
完『いや、伊勢さん?きっと立花くんにも何か事情が…?』
(完くん優しい!立花に味方し始めた!)
伊勢『同じ立場の完くんが言うなら…。』
完『君があんなことをみんなに対し思ってたとは俺たちも思ってないよ。
でも水臭いだろ、一言言って欲しかった!!
…伊勢さんはきっと俺たちを喧嘩別れさせないためにキレて見せたんだろうってすぐにわかったよ?
恥ずかしいこと言うよ?
俺たちは『友達』で『ライバル』なんだから、何があっても言ってほしい。
それだけ。じゃあちゃんと伊勢さんにここまでさせたこと謝ってね?』
猛ってた顔からいつもの温和なゴリラを思わせる風貌に戻り、完くんは戻って行った。
(完くん気づいてたんだ…ごめん。君を立花の味方にしようって意図も気づいてたんだね?
あーしは嫌なオンナだな…。)
あーしは立花に向かい合い、問い詰める。
当然何も喋らない。
伊勢『ふーん?そんな態度で良いんだ?
あーしさっきこんなの見たんだけど!!』
じゃーん、外町と立花の密談から土下座動画!
立花『え?ええ?なんで?!』
伊勢『あーしにはまるっとお見通し☆』
立花は渋々事の顛末を語り出す。
2行で言うと、
マジで香椎玲奈が妬ましい。
立花承は良い漢だ。
そんな感じ!
立花『伊勢さん、なんでも言うこと聞くから…
他人には絶対言わないで?』
伊勢『言ったら?』
立花『…。』
伊勢『言わないよ。あーしと立花の間柄っしょ?
でもね?クラスで立場が悪いなんてもんじゃない。憎まれてるよ。
明日からあーしと完くんめっちゃキレてる体で立花を見張ってる感じで行くよ。』
立花『でも、それじゃあ伊勢さんや完くんに迷惑かかるかも?』
伊勢『立花はもしあーしが訳あっていじめられてる時関わらないで見てるだけで居られる?』
立花『…居られない。』
伊勢『だしょ?
あーしも、完くんも、香椎玲奈も立花が傷ついてるのを見ると悲しいし、苦しいよ?
勇敢で立派な行動だけど見てて傷つく人がいることは忘れないでね?』
立花は納得してくれて、謝ってくれた。
素直なのはポイント高いね。
少し話すとその後香椎玲奈とは話していないと!
まあHR直後にさらったし?さすがに可哀想でしょ!
今の状況じゃ香椎玲奈とは距離を置く方がお互い安全だけどそれはきちんと立花の口から説明しなきゃじゃん!!
あーしはすぐに香椎玲奈のところ行け!って立花を送り出す。
居場所は多分わかるって。通じ合ってるのかな?
…いいなぁ…。
でも前に助けられたから必ず今回はあーしが少しでもなんとかする!
知ってる?あたしの名前は
神様になるような猛将と同じ名前だよ?
あーしは必ず立花を守る!
□ □ □ □
こんにちは、あるです。
作者的にはここは割と最近うまくいってたものが狂っていく話になります。
体育祭では上手く行ったことが文化祭では上手くいかないどうする?って話。承くんと玲奈さんの関係性も変化していきます。
反響も少しあって読むの辛い!って確かにラブコメ?
作者的にはそう感情移入して読んでもらえることが本当に嬉しくて嬉しくて!
もう少し辛い展開が続きますが、先にはざまぁもあるよ?
よろしければお付き合いください。
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