第115話 毒を吐く。
そして終わりのHRで俺は毒を吐いた。
まず香椎さんが文化祭が最後の大きなイベントで特に3組の気合いの入りようについて言及する。
流石に文化祭月間に入ってるから一部生徒はやる気を出し始めているが、まだまだ火はつかない。
そして、次に俺が出る。
お?また立花なんか言うの?ってみんなが注目してる。はあ、嫌だなあ。
そうも言ってはいられないけども。
立花『なあ、みんなまたそうやって香椎さんに丸投げするの?』
『だって体育祭頑張ったばっかじゃん!』
『どうせ俺らが勝つっしょ?』
『立花くん、今回は何を言うかな?』
反応はさまざま。
前回の火を吹いた事件があるからか、どちらかといえば好意的に見てくれてる人が多い。
立花『体育祭頑張ったって、あんだけ足を引っ張って、途中からしか作業手伝ってないだろ?
香椎さんが優しくやる気出す方に誘導しなきゃ何にも出来ない!小学生か?!』
『あ?!』
『ムカつくな。』
続ける
『香椎さんが、優しいから追求しないけど、お前らが非協力的ですごい大変だったんだぜ?
散々邪魔しといて、あんな一回のHRですっかり仲間に戻った顔して、恥ずかしくないの?』
『え?立花くんそんな風に思ってたんだ?』
『あの時は見直したけど、今日はガッカリした!』
『ムカつくわ!』
クラスの雰囲気が微笑ましいものを見るから敵意に変わっていく。
心苦しいが予定通り。
『大体団体競技だって3組に全部負けて、香椎さんや完くんが個人競技勝ちまくってなんとかギリギリだったんだぜ?
午前で50点もつけられて…最後リレーでギリギリ逆転じゃん、大勝利どころか、辛勝でしょ?』
続ける
『みんななんか勘違いしてる、全然このクラス大したことない。
みんな人任せで、自分勝手で無責任で、わがままで本当体育祭大変だった!
今回もまた香椎さんにおんぶに抱っこで要介護みたいなだらしない活躍するんだろうなあ?』
『は?マジムカつくんですけど?』
『陰キャぼっちが!見直して損した!』
『言われんでも文化祭も勝つわ!』
(だいぶ怒ってる、めっちゃ怖いな。)
立花『はいはい、どうせ口だけでしょ?
漢なら百遍言うより一回やってみせろよ!』
クラスの苛立ちがビリビリ感じられる。
いや、俺なんかに言われたら無理ないよね。
みんなの表情は怒り、苛立ちなのに、外町だけは温和な微笑ましい顔で俺の話を聞いている。
『大体さあ、完くんは筋力バカで…伊勢さんはなんでも応援グッズキラキラにしようとするし…小石は香椎さんをクンクンしてるし…
香椎『そうだよ、クンクンはダメ、絶対!』
※おま言う。
流石に悪口が思いつかなくて体育祭の事象に限ってひとりひとりに言及していく。
みんなの顔が失望に染まっていく。さっきまでちょっとした人気者だったがもう人気も地に落ちたのがわかる。
まだ外町からストップはかからない。
ニヤニヤしながら楽しい様子で見てる。
やっぱり香椎さんにも言わないとダメだよな…。
教壇横に立つ香椎さんの横の花瓶を見つめながら香椎さんに向かって毒を吐く。
立花『大体、香椎さんだって良くないよ。
みんなの為みたいな顔してみんなを甘やかしてこんなダメなクラスになったんだよ。』
香椎さんが息を飲む。
『大体はぶられたのだって脇が甘いとしか言えないし、そもそも八方美人で、身内に甘くて、ええかっこしいなんだよ。
ハブられて唯一味方についた俺なんか見向きもしないでみんなばっか見てさ!もう俺着いて行けないよ!』
こないだの演説で褒めたところを逆説的に短所として言う、これなら香椎さんがみんなを思ってるし、味方したからって俺を特別扱いしてないって公平性をアピールできる!
で、俺はそれを恨む狭量な男って皆に伝わるはず。
『え?立花くん香椎さん好きだったんじゃ?』
『所詮ぼっちだから人の気持ちわからないんだよ!』
『香椎さんを逆恨みしてない?』
『本当に香椎さんを好きなんだって感動してたのに…。』
ここで女子が一気に敵に回り、香椎さんファンからは殺意すら感じる。
『香椎さんなんて好きになっても絶対手に入らない…。好きにならなければ良かった!』
香椎さんの目を見れなくて、横の花瓶を見ながら言ったけど、香椎さんが、泣きそうなのが見てとれる。
(香椎さん!泣かないで!嘘!うそだよ…うそなのかな?
…俺と香椎さんじゃ釣り合わない。)
数秒の沈黙が痛い。
香椎さんが沈黙に耐えきれず泣きだしてしまった…。俺が余計な言葉を足したから?
香椎さんに合図して俺を解任してもらい、外町を実行委員に新任する計画が、実行出来ない。
外町に主導権を握らせると、多分俺は再起不能になるまで、ボッコボコにされるはず。
(香椎さんを泣かせたから、罰だよな、やれよ、外町。)
外町をじっと、見つめると、外町は大きなリアクションをとりながら皆に語りかけた。
外町『頑張ってみんなの為に尽くして来た香椎さんを侮辱して、逆恨みし、もう着いて行けない?そんな奴はクラスに必要無い!
立花!お前を実行委員から解任する!
僕が実行委員になり、皆んなと文化祭を成功させる!
良いよね、香椎さん!』
クラスの皆は拍手して、外町の宣言を支持した。
香椎さんも泣きながら承認した。
外町『元々立花は自分勝手でわがままで自分の利益最優先で嫌な陰キャぼっちだった!
体育祭で香椎さんを支えていたから言えなかったけど、ついに本性を表したな!
クラスの面汚しが!
こいつ何考えているかわからないから皆気をつけて!』
俺の声望は僅か10分程で激減を通り越して、マイナスにまで垂直に下落した。
こうして、文化祭は香椎、外町体制で俺以外団結して戦える体制になった。
これで良かったんだよな?俺は自分に言い聞かせる。
いよいよ中学最後の大イベント、文化祭の準備が始まる。
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