第114話 外町の要求
『それで僕にどんなメリットがあるの?』
『香椎さんがすごく感謝してくれる。』
『まあ、それは魅力だけどね…。』
『やっぱり外町がクラスの中心で、体育祭はグダグダでやっぱ外町が仕切らなきゃダメだなあって知らしめられるし、グループの陽キャたちも体育祭で目立てなくて、色々溜まってるんじゃないの?』
『まあ、そうかもね。』
ここまでは聞いてくれてる。
『どうしたら引き受けてくれる?』
『まず、今のままじゃクラスはまとまらない。
僕でもね。だから立花に泥かぶってもらわなきゃいけない。まあ文句は無いだろ?』
想定通りだな、外町でも今のクラスはまとまらないんだ?
『何をすればいい?クラス煽ればいいのか?』
『煽ったくらいじゃどうにもならないだろ?
あれじゃあ。
そうだな、立花、お前徹底的にクラスのみんなのダメ出ししろよ?
悪口より本当のことの方が人間傷つくし、言われて敵対心も増す。』
『本当、嫌なやつだな…。』
『僕は味方には優しいよ?お前はずっと敵だし。』
『俺そんなにお前の敵だったか?
まあいいけど…。
じゃあ泥被るだけで良い?』
『なぜ?それは必要経費だろ?
まだある。クラスの敵に演出してやるからしばらくお前の好きなクラスメイトたちのサンドバックな?』
『…。』
『その程度は要求してもいいだろ?
お前のせいで香椎さん手に入れ損なったり、体育祭で俺の居る位置奪われたり出し抜かれて腹立ってるんだから!』
外町は爽やかな笑顔でエゴ全開なことを言う。
『それで文化祭が成功して、うちのクラスが勝って、香椎さんが喜べばお前だって嬉しいだろ?』
『必ず文化祭勝てよな?香椎さんを戦わせてやれよな?』
『それは保証するよ?で、俺の要求だけど?』
『まだ要求するのかよ!!』
思わず突っ込んでしまう。
『お前さ、香椎さんとちょっと仲良いからって調子乗ってるよな?』
『…。』
『俺からの要求は、
「香椎玲奈に告白するな」だ。
気に入ってるから万が一があるとムカつくからな。
まあ、俺は同じ高校受験強して、彼女と天月か県高へ行く。
だからこの文化祭で決めて、卒業式までは彼女は誰とも付き合わないらしいから卒業後付き合えるよう動く。』
『お前も香椎さん好きなんだな。』
『こんな田舎に引っ越してきて彼女だけは特別だと思うよ。』
(そうだったんだ。知らなかったなあ。)
『お前みたいなタイプは妙に約束守るからこうゆうの効くだろ?
期限切らないと効力が出ないんだよなこうゆうバカには。
じゃあ1年。
『今日から1年、立花承から香椎玲奈に告白して付き合うことはしない。』
って誓えよw』
『…誓う。』
『きちんと全部言えよ?』
『今日から1年、立花承から香椎玲奈に告白して付き合うことはしない。誓う。』
『まあ1年もかけないけどな?でも高校生まで口説くのかかる可能性あるし保険だな。』
『これで協力してくれるんだな?』
『あと土下座して。』
『なんで?』
『色々邪魔しただろ?青井もすっかりお前に懐いてムカつくし。
あと、お前の妹さ、俺のいじめの話しめちゃくちゃ広めてるんだぞ?
俺本当は去年生徒会長に立候補する予定だったけど、下級生票が怪しくて取りやめたんだ。
ムカつくわ、兄妹揃って。』
『ぷっ。』
『笑ってるけど、お前も同罪だから。』
『いじめたんなら言われても仕方ないだろ?』
『本当の事でも、それで損害が出れば名誉毀損に該当するそうだぞ?
まあ、お前の妹なんてモブ顔のしょうもない女だろうけど女って襲われることもあるよな?』
『妹には手を出すなよ。』
『じゃあ、土下座で妹の分も合わせて謝れよ?』
俺は産まれて初めて土下座をした。
俺悪くないだろ?って思うけど万が一望になにかあったら、俺は悔やんでも悔やみきれない。
幸いあたりに誰も居ないのが救いだった。
色々邪魔してしまい、すいませんでした。
妹が迷惑かけてすいませんでした。
妹には手を出さないで下さい。
外町はケラケラ笑いながらスマホで動画を撮り、満足そうに言った。
『クラスメイトに罵倒も手を抜いたら許さないぞ。俺が口出すまでは罵り続けろよ?
香椎さんにもだぞ?』
これで良い、俺は自分に言い聞かせて、教室へ戻る。
最近みんな良くしてくれてるから決して皆を罵倒なんかしたく無い。
香椎さんの為という大義があってもイベントに気合い入らないくらいで罵倒されるクラスメイトに申し訳ない。
だから、反動や仕返しされても受け入れる。
(もう楽しい中学生生活は送れないだろうなあ。)
それでもこの案以外に手がない、辞める選択肢はない。
外町提案でさらに厳しい展開が予想される。
それでも俺はためらわない。
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