第112話 奢る1組は久しからず

3組の小幡さんたちの本気を知った香椎さんは次の日のHRですぐに文化祭の準備開始を宣言した!


しかしクラスメイトの反応は、


『まぁ、今年も勝てるっしょ?』

『体育祭の疲れが…』

『何する?』


恐ろしいほど士気が低い…。

出し物何にする?とか意見を求めても、


『あー、明後日のHRで聞かれると思って考えてないや?』

『何でも良いよ?』

『あ!また劇をしよう!』



建設的な意見はまったく出てこない。


香椎『実は3組はもう準備を初めてるんだよ!

理科室で密かに!私たちもすぐに準備しよう!』


しかし、クラスの反応は冴えない。

体育祭で緩急つきすぎてしまい、体育祭に勝利したことでみんな一時的に弛緩状態なのかな?


香椎さんに目で訴えられたので、俺も皆んなに檄を飛ばすけど反応がほぼ無い。


来週からやるから!明後日のHRまでに出し物とか考えてくるから!結局、そうゆう事になった。



放課後、美術室。


『私も楽観的すぎた…でもみんなの緩みっぷりがこここまで…?』


『うん、ちょっとびっくりした。

クラスごたごたして、色々あってひとつになった気がしたけど、イベントが終わって反動で分解しちゃったような感じなのかな?』


香椎さん分析だとこないだの騒動で香椎さんに付いた派、中立派、敵対派で別れている?感じ。

最初から香椎さん派は私達が香椎さんを支持し体育祭勝った!と。

中立派は様子を見てただけ!香椎さんに協力したよ!と。

敵対派はごめんね。って人と俺たちが主役じゃないなんて認められない!って人に分かれる感じで、敵対派が他から敵視されてる。

体育祭の勢いでまとまってたように見えたクラスもイベントが終わると勢力図が変わった戦国時代のような混戦模様。

ただクラス最大派閥の外町グループが敵対にいた事で事態をややこしくしている。


とりあえず明後日のHRまでに根回しというか友好的なグループなどに声をかけて盛り上げていくしかない。

出しものと課題発表を何をするか?それだけ少し考えておきたい。


前にも言ったかもだけど文化祭は3種目で争われる。

出し物発表、合唱コンクール、課題発表。3冠取れる事は滅多にない。

去年1組は出し物(眠れる森の美女)と合唱コンクールで2冠制して学年最優秀クラスに選出された。3つ別れると大体は出し物優勝が最優秀を取る。


クラス変えなく同じメンツだから今年も有利って考える子が多い。その直前体育祭も今年、去年どっちも勝ってるし学年最強はあながち間違いでは無い。

間違いでは無いけど一番まとまりが悪いのがうちの1組なんだよね。

俺も3組の方が落ち着くし…。


香椎『出し物かあ、さっきチラッて出た劇は良いかも!

私結構ね?演じるの得意なんだよ?劇なら勝率高いかも?』


立花『知ってる。…香椎さんじゃ無いみたいに役に入り込むもんね…?』


香椎『ふふー!超集中して、役になりきり、日常生活でも役のつもりで行動するとかなり入りこめるんだよ♪』


(…俺は…演じてる香椎さんが苦手だ。でもそんな事言えない。勝つ為だよなあ。)


立花『じゃあその方向で盛り上げて明後日のHRまで根回しするってことで。』


香椎『お願い!私も色々考えておくよ!』




しかし、そんな俺たちを嘲笑うようにHRは全く纏まらず、てんでバラバラの方向を見てる各グループの意見を全く調整できずに1hあった時間で出し物の演目は外町グループ提案の、

『ロミオとジュリエット』

に決まっただけ。役とか係分担とか課題発表の人員とか全く決まらず、ただ会議は踊り続ける。




放課後美術室。


香椎『こんなにみんながバラバラだなんて…』


立花『まあこないだの見れば想像は出来たよ?』


香椎『でもまさかあれほどとは…。』


(香椎さんの長所でもあるけどクラスメイトを信頼しすぎなんだよなあ。)


香椎『でも!準備が始まれば!』


立花『…そうかなあ?今の状態だと…。』


香椎『そうかも知れないけど!先頭に立って私動くよ!』


(難しそう。)


そもそも最大派閥の外町グループが消極的なんだから動き鈍いよね。



翌週月曜HR後。


香椎『どうしよう…全然みんなまとまらない上に上の空って言うか…。

これじゃ勝てない。

3組なんてもう二週間はしっかり準備できてるのに1組の私たちは何にも出来ないどころか役割すら割り振れない…。』



立花『…。』



香椎『何かいい考えは無い?承くんしか頼れる人居ないよ。

私絶対に文化祭は成功させたいよ!みんなと一緒に!』



立花『…無いことは無い。でも副作用が出ちゃう。

また聞くけど絶対文化祭成功させたいんだよね?』


香椎『あるの!すごい!どれ位の成功確率?!今のままなら惨敗だからそれで行きたい!!



立花『

6、7割はいけると思うんだけど?』



香椎『すごい!さすが承くん!

なんとかなるの!!!』


はしゃぐ香椎さん、可愛いなあ。



立花『明日の終わりのHRで俺が話すよ。』


香椎『わかった!また煽るんでしょ?』


立花『煽りもする。でもそれじゃ全然足りないから色々する!』



香椎『みんな怒らせちゃうよ?ほどほどにしてね?』


心配そうな表情で香椎さんは眉を顰める。


色々準備もあるしなあ。

あまりやりたく無いけど香椎さんの為だから!


立花『明日の昼休みにさ、またここに来てくれない?

H Rの打ち合わせ最終確認しておきたい、伝えたい事もあるし。』



香椎『うん?わかったよ!

いつもありがとう!頼りにしすぎてごめんね?』


香椎さんのホッとした顔が見たいから俺は頑張れる。

俺は色々準備に取り掛かる。

明日からきっと大変!



□ □ □ □


次回、初めて承が玲奈に思いの丈を直接伝えます。

下書きを一瞬公開しちゃいました。

読んだ方は秘密にしておいて下さい(笑)



続き気になるよ!って方は是非応援お願いします!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る