第110話 互いの影響力

普段教室に居ても何をしてても俺は香椎さんを目で追ってしまう。

小5の頃位からだから結構長いし、人には言えないが。

香椎さんは綺麗なのに笑うとすごく可愛い…いやこれは当然だから置いてこう。


最近香椎さんは少しだけ変わった。

今まで自分で出来ることは極力自分の力で行う子。

それで、溜まりすぎて委員長補佐である俺に頼んだり、一部仕事を持ち帰ったりしていた。

有能だけど真面目で背負い込む性分なのでタイミングが重なると膨大な量の仕事がいっぺんに襲いかかる!そんな目にあっていたんだけど、


『香椎さん!あのね?委員の仕事とクラスの係が重なっちゃって?』


『香椎さん!ごめん、掃除当番が!』


『香椎さん!先生にあれ頼まれたんだけど、大変なら香椎さんに協力してもらえって?』


香椎『そっかあ、じゃあね?係の方は…○くん!手伝ってあげて!!お願い!


掃除当番は誰か変わってあげられない?○さん?良いの?ありがとー!


先生依頼の件は…ちょっと自分でやってみて?私も今とっても忙しくって!

手が空いたらすぐに行くよ!』



他人に仕事を割り振るようになった。前も割り振っていたが、極力は自力!出来るだけ目を配る!って感じだったのが引き受けすぎないで、他人を使う?いや委託って感じ?を心がけているみたい。

そんな話をした、


『こないだの体育祭でいろいろ学んだんだよね?

承くんが応援関連やってくれた時にね、見てて任せる所は任せているのを見てて、みんな自分で考えてその意見をぶつけあって良いものが出来てた。

私、指示し過ぎてたり、仕切り過ぎだったのかも。』



『香椎さんは有能だからみんな盲目的に受け入れちゃうかもね。

でも香椎さんの指示は的確だからそれはそれでいいんじゃない?

俺も香椎さんくらい有能なら細かく指示出すかも。』


『ううん、良い悪いじゃ無くってより良い方法があるか探しながらやっていきたい!』


学習熱心な娘だよね、感心しちゃう。香椎さんは続ける、



『後ね、子供の頃言ってたの覚えてる?』


『何?』


『友達は狭く深くか広く、浅く論争!』


『あったね?全然違う考えでねー?』


『そう、私は広く、浅くを薦めて。承くんは狭く、深くって。』


『香椎さんは今ならどう思ってる?』


『承くんは?いっせーので言おうよ?』


いっせーの!


香椎『狭く、深く!』

立花『広く、浅く!』



2人で笑い合う、


『息合わな過ぎ!』

『承くんこそ!』



また二人で語り合う、今回の香椎玲奈失脚事件で助けになったのは広く浅く香椎さんが気を配ってた中立層だった、それが流れを変えた!と俺は主張し。

自分の派閥の子たちがほぼ傍観に回り、クラスで近い二村さんが敵に回った、これは狭く、深く出来なかったから起こった。繋がりが足りなかった。と香椎さんは主張した。

まあそう思ってもなかなか今までのやり方は変えられない。でも相手の思想に影響を受けるほどの関係性なんだね。


ふふふ!って笑い合いながら、香椎さんは言う、



『結局、私たちは『あの頃』からお互いに影響しあっているんだね?

主義、主張は違ってもこうして楽しく討論して、ケンカ一つしないで。

きっと、これは素敵なことなんじゃないかな?』



『そうだね。俺、香椎さんに言われた事や、教えてもらったことたくさんあるもの。

…俺、香椎さんのそうゆう勉強熱心だったり他人の為に考えたり、思いやる姿勢を…尊敬している。』



なんか恥ずかしい。

いや、なんだこれ?めっちゃはずかしい!!



『…私も…承くんのこと尊敬してる。

みんなの前であんなにはっきり意見が言えること、漢らしい所、家族思いな所、いじめにも屈しなかったこと。

…私、承くんのこと尊敬してるよ。』



なんか2人で照れてしまった。

俺なんかを香椎さんが尊敬?俺が先に尊敬ってワード使ってしまったから気をつかわせたかも。

もしも本当だったら嬉しいな。




□ □ □

好みの異性 side香椎玲奈


あれ?結構雰囲気良いのかな?

尊敬するって伝えるのはお互い照れちゃうけど素敵なことだよね。

もしも私がいつか結婚する人は尊敬出来る人が良いなって思う。



話は方向性を変えながら続いていく。




『でね?体育祭のフォークダンスの最中にね、男子に

「卒業までは誰とも付き合わないんだよね?

俺、卒業式の日告白します!」

って宣言されてしまったの。』


『流石香椎さん、モテるね…。』


承くんは感心半分、呆れ半分。

でも承くんはどう思ってるのかな?私が他の子に告られてること?

嫌かな?関係無いって思ってるのかな?

聞いてみたい!けどなんて聞いて良いのかな?



『うーん、モテたい訳じゃないんだけどね…

!!別に嫌みとかうざいとかじゃ無くって!!

前も言ったけど断るのも辛いし、断られる方の気持ちを考えても辛い…。』



『香椎さんは優しいね、相手の心情に寄り添ってそこまで考えて…。』



を少し怠ったが故に先日あんな目に!!

特に気を付けているよ。



『それでね、好みの男性はどんなタイプですか?って聞かれて…』


『?

告白宣言よりそっちを先に聞くべきじゃない?』


そうだよね?

確かに。



あ!!!

私は勤めて自然に、無関心を装って聞いた、



『ちなみに…承くんは…どんな女の子がタイプなの?』


頭を高速で回転させる!どんな娘がタイプ?

好きになった娘がタイプ!とか言うかな?

私が好きなんだろうってことは知ってるんだけど…一応知らない体になっているから…でも、気になる!

なれるなら承くんの好みのタイプになりたいよ!



『好み?!…うーんよくわからないなあ…?』


??

あれ?本当に好みないの?そんなリアクション!

出来たら私って言われたい!


『…今まで好きになった娘はどんな娘なの?』


ごく、ちょっと緊張してきた。

かなり際どい質問だよ!



『うーん?』



こども!本当にわかってないっぽい!

仕方なく続きを促す。



『じゃあ、初恋は?

ちっちゃい頃好きな子とか居なかったかな?

私は近所のずーっと年上お兄さんに憧れたことあるよ。』


記憶も定かじゃないけどね。

でも、もしヤキモチ妬いてくれたら嬉しいかも?




『そっかあ、そうゆう人居るよね…。


…思い出した!


俺!初恋!あった!!』



ピコーン!って頭の上で電球が光るように承くんが語り出す!

なんんだだって?!



『俺さ、あっちゃんのお姉さんに憧れてて!!

あっちゃんには4歳上のお姉さんが居てね!

あっちゃんはイケメンだけどお姉ちゃんもすっごい綺麗な人で!

遊びに行くといつも声をかけてくれて…すごいドキドキしたんだ!』




『ふーん。』




『ある日曜日の朝に遊びに行ったら今日姉ちゃんのバレエの発表会だから遊べないって言われてさ、残念…って帰ろうとしたら、お姉ちゃんが観にくる?って声かけてくれて…。

車の中で発表会で緊張してるから厚樹と承くんがいてくれて良かった!ってハグしてくれて!』



『はぐ…はぐですか?

へー。』



『会場着いて、時間までそばに居て、あっちゃんと喋りながら始まるの待ってたんだけど、ステージ?始まったらそれはもう!綺麗でしなやかで…びっくりした覚えあるなあ。

俺3年生でお姉さん中1で。子供だったからすっごい大人の綺麗なお姉さんだなあって感動したんだ!』



『そうなんだ、良かったね。』

(なんだろう、モヤモヤする!)




話がそれたね?好きな異性のタイプを聞き出すはずがヤキモチ妬いてくれたらどころか私がヤキモチ妬いちゃうよ!!



『そうなんだ!承くんは大人のお姉さんが好きなんだね!』



『そうかなあ?どうなんだろう?』



私を見て考え込んでる?これは私が好きだからだよね?ふふー!

とにかく、承くんにはもっと恋愛って概念を植え付ける必要があるね!

もうちょっと意識してもらう為に教育していかなければ!


『ちなみにね?

私の好きな異性のタイプはね?』



『うん?』



『聞きたい?興味無い?』

『聞きたい。興味ある。』



承くんは動揺してるのかほぼノータイムで鸚鵡返しで返事した。





私は恥ずかしくって赤くなりながらそっと囁く。






『私の好きなタイプはね?



だよ…!』



『そっかあ、確かに尊敬できなきゃね?』

※承は香椎さんの自分を尊敬してる発言を社交辞令だと思ってます。




(えええええ?!さっきの尊敬のくだり忘れちゃったの?!

もうこれナゾナゾなら答えは○です!みたいな問題だよ!)



『香椎さん?』


『つーん!』


(結局私がヤキモチ妬いただけだったよ!

でもまあ、ここで玲奈さんが好みだよ!とか歯が浮くようなセリフを言う男じゃないのはわかってるし。

私の尊敬する男の子は優しくて頼もしい武将のような男の子なんだもんね。)


玲奈は苦笑いしながら気を取り直して承と楽しい秋の放課後おしゃべりを楽しんだ。

□ □ □


承と玲奈がラブコメってる頃、3組は静かに理科室で課題発表と出し物の準備を淡々と進めている。

文化祭は準備と練習がものを言う。

体育祭はフィジカル猛者が数人居れば勝てるが文化祭はそうはいかない。

宏介が小幡が青井が田中が淡々と準備を進めている



□ □ □ □


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