第103話 香椎玲奈は忙しい【side香椎玲奈】
応援合戦が終わった!かなり手応えがある!盛り上がったし、声出てたし、パフォーマンスもかなり良く出来た!客観的にいい線いってる!
よし!1位!!
青3位だったから一気に30点縮まり、差は大体20点!
これならいけるよ!
応援合戦が終わって、少しインターバル。
みんなに昨日作ったクッキーを赤組全体に配ったんだ。
『3年女子で作ったよ!みんなおやつに食べてね!』
私、一条さん、二村さん、フラれた彼女の4人で一昨日から大量に作成したのだ!
これはもう二村さんたちと敵対してないよ!仲良しだよ!って政治的配慮と、女子手作りクッキーを男子は好き!っていうニーズから決定した士気向上の一手!
さて、応援合戦が終わり承くんは赤い甲冑を着たまま居るから前に言ってた通り、学ランを貸してもらうよ!
(よし!よーし!生学ラン!!ふー!!)
いけない、こないだの朗読劇の吾作どんが出てしまった。
そして応援合戦の余波で!が多いよね!
昨日ポロッと承くんが
『汗をかくし長袖ワイシャツ着ておかないと香椎さん着る時汗ついちゃう…。』
『気にしなくて良いよ?大丈夫!』
(いや、本当に!むしろご褒美!)
しかし、ワイシャツも付くと言うのは魅力的!暑いけど彼シャツ…いいよね!!
学ランはここにあるから着るだけなら教室戻る必要無いんだけど、ワイシャツも借りる為に一緒に教室へ戻る。
そもそも私は彼シャツを持っているんだけど(香椎玲奈は匂いフェチ参照)
4枚のうち2枚を妹の望ちゃんが譲ってくれたんだけど2枚じゃすぐバレて返して?って言われたの。
承くんを困らせるのは本意じゃないから泣く泣く1枚洗浄すみのYシャツをくんくんし倒してから返して、1枚私が選んだ(選んだと言っても無地の白)を渡したのよ。
だから今承くんの長袖Yシャツは4枚。
でね?私、1枚選んだのと同じシャツを買ってきて今日持ってきたの。
あと未洗浄の1枚も匂いしなくなっちゃったから泣く泣く洗濯してそれも持って来た。
もし、承くんが今日着てきたYシャツが私の所持するYシャツと同じ型なら…なんと!今日すり替えることができるんだよ!
合法的に新しい彼シャツ!匂い付き彼シャツ!yeah!
※勝手にすり替えるのは犯罪です!
まあ、同じシャツだったらだけどね?確率は4分の2になるね?
校舎へ一緒に戻り、教室に入る。
『香椎さんの応援衣装どっちも(白半袖セーラー、短い赤着物)可愛いし似合ってるけど俺の学ランよりそっちのが良くない?』
『何言ってるの?男装女子が良いって立花くんが言ってたんでしょ?』
(学ラン!学ラン!
ん?似合ってる?可愛い?)
ついにやけてしまう。
『ふふー!応援衣装の方が可愛いの?』
真っ赤になって照れる承くんをいじりたいけどいじると照れて逃げちゃうから我慢するよ!
!!そうだ。
前に妹の望ちゃんが言ってたこと試してみよ!
前々から思ってる、承くんはもっと私を意識した方が良い。
毎回そうなんだけどハグの時とかいつもなかなか火がつかない。
私はふたりきりになると毎回すぐ意識してるのに承くんは少し踏み込まないと全く意識してくれない!私はそこは不満なんだよ!
『承くん…望ちゃんから聞いたんだけどね?
好きなグラビアのポーズあるんだって?』
『な?!
…んな、なんのこと?』
(すごい動揺してるね。)
『ポニーテール。』
ビクン!承くんが反応する。
『だけじゃないんだって?買ってる漫画雑誌のグラビアで似たポーズに折り目がついていると聞いたよ?』
汗をかく承くん。汗は問題ない!
『ふふー!こういうのが良いの?』
私はちょっと恥ずかしかったけど、意識してもらう為には多少のセクシーも必要だと思い切ることにした!
せっかく教室には誰も居ないんだし!
私はポニーテールを頭の後ろで結えながら、応援衣装の腋の空いた白セーラー服で腋チラさせる。
両腕を頭の後ろで組んでる状態だからセーラー服が上に引っ張られておへそがチラっと見えるポーズ。
恥ずかしくって赤くなりながら上目遣いで承くんを見つめた。
(自分でやってなんだけど恥ずかしいよ!)
承くんの顔がすごい勢いで真っ赤になって、口パクパクパクしてる。
こうかはばつぐんだ!
これは悩殺したかも?
すごい勢いで承くんが私の肩を掴む。誰もいない教室だけど絶対そんなことはしない承くんが?!反応すごいー!
どうしよう!!ダメだよ!教室だよ!
…でもそうなったら…仕方ないよね?
承くんは今まで見たことないくらい真剣に言った。
『玲奈さん!絶対、絶対にそれ他の男子に見せちゃダメ!
ダメだよ!殺し合い起きる…。
本当に今度こそクラス崩壊しちゃう!
腋と!おへそ!はダメ!絶対!!
いい?絶対だよ!俺も見ないから!!』
『ちょっと、何言ってるかわからない?』
(何回ダメ、絶対って言うのかな?薬物濫用禁止のCMじゃないんだよ?!)
そう言って両目を両手で覆い隠してしまった。
(いや、承くんだけに見せるつもりで…これはダメそう。)
完全にショートした承くんは目を覆いながら後ろへふらふら後退りして壁に当たると力無くそのまま壁にもたれしゃがみ込んだ?
(私セクシーなのかな?
私のことセクシーよりは可愛いって思ってくれたら嬉しいんだけどリアクションからはちょっとわからない?)
『私、着替えるんだけど…承くんそこで見てるの?』
『ごめん!すぐ出る!そこにYシャツと学ランあるから!』
そう言うと承くんは慌てて退出した。
(ちょっと意地悪だったかな?でもちゃんと見てもくれないなんて…勇気出したのになあ?)
承くんの席へ行き、学ランを借りる、下にYシャツ…2枚?
廊下にいる承くんに名前で話しかけると大事になるので
『立花くん、Yシャツ2枚あるけど?』
『1枚はさっきまで俺が着てたやつ!香椎さん用に洗ってあるYシャツ用意したからそっち着てね?』
鈍感かと思えばそうゆう気遣いも出来る漢だよね?でも気にしなくていいのに…。
2枚?しかも2枚とも私の所持してるYシャツと同型!ふー!!
『あ、間違えてさっきまで着てた方袖通しちゃった?』
『あ!そっち汗かいてるから!新しい方着て!』
これで、私の匂いついてても不審じゃない…!
こうして、承くんの着てたシャツ、洗濯済みのシャツを私のカバンに収納して、家から持参した新しい同型シャツを私は着て、同じく持参したシャツを少し崩して不審を持たれないよう承くん机に戻す。
すり替え成功!!!
2枚とも私が袖を通したから返した時に私の匂いついてても不審じゃないはず?
持参したYシャツを着て、いよいよ彼学ランに袖を通す。
全体的にダボっとして、腕の長さが余る。
初めて着るけど確かに暑いかも。
(小5の意識した頃は私とほぼ同じ背格好だったのに承くん大きくなったんだな。
こないだハグした時も思ったけど男の子って逞しくなるんだなあ。)
思わず自分を抱き締める。
(学ラン姿でこうギュッて抱き締めて欲しいな…。)
と思いつつも欲望には逆らえず、外で承くん待たせているから急いでいたんだよね?
くんくんくんくんくん!
(あっ!!)
ガタン!!!!
バタン!!!!
突然の大きな音に承くんが慌てて教室へ飛び込んできた!
『玲奈さん?!どうしたの!!大丈夫?!』
血相を変えて室内へ入ってきた承くんが尻餅をついて呆然とする私を抱えて起こす。
(力強いなあ、私を心配してるのかな?顔が必死だ…。)
『…あ、うん、大丈夫…。』
『どうしたの?!立ちくらみ?貧血?!
すぐ医務室行こう!立てる?!
いや!俺が運ぶ!』
『…ううん、大丈夫だよ?
心配してくれてありがと。』
私は透明感のある笑顔で微笑む。
『疲れ溜まってるんだろうし、さっきの応援合戦でバテてるんじゃ?リレーや400mハードル辞退した方が?』
『ふふ、承くんは心配症だなあ、ほんと大丈夫だって。
でもありがとう、一応ゆっくりグラウンド戻ろうかな?
一緒にのんびりグラウンド戻ろう?』
『もちろん!何か必要なものあったら言ってね?』
承くんが心から心配してくれるのが伝わってくる。
嬉しいな、優しくって頼りになる男の子だよ。
でも、言えない。
学ラン着てこの後の予定とかで急いでいたから、一気にくんくんしすぎて、
承くんの匂いで軽くイッてしまった…。
その影響で腰が抜けて尻餅ついたなんて承くんには絶対言えない!
これは良いものだけど容量、用法は正しく守らないと危険なものでもあると確信したよ!
くんくんは背徳感のある淑女の嗜みなんだよ!
さあ、吹奏楽部の演奏発表を挟んで男子全員参加の騎馬戦はーじまーるよー!!
□ □ □ □
午後の逆転を前に
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