第101話 体育祭開戦!

絶好の秋晴れ!10月1週の日曜日、いよいよ体育祭が開幕した。

整列し、生徒会長の選手宣誓を聞きながら横を見ると青のリストバンドを巻いてる3組のメンバーと目が合う。

1組は赤のタオルマフラーをみんなしている。


青井がニヤッと笑う、田中は恥ずかしそうに手を振る、宏介は黙って頷く。

俺も頷き返す。一緒に戦うのもいいけど敵になるのも楽しいよね!



開会式が終わり、各陣営自分の陣地へ戻る。

最初は全員参加の100m走。1年男子、女子、2年…って順番、1位のみ所属チームに加点される。

名簿順だから戦略もない。ただ早いやつが勝つ競技。開会式から100m走の準備の時間が少しあり、皆少しのんびりしている。


小幡さんが来て香椎さんたちと話しているのが見えた。

香椎さんは一条さんと一緒で、小幡さんと話しているところに伊勢さんが通りかかる、髪紐?の話してるらしい?

一条さんは赤、小幡さんは青。チームカラーだからかな?

伊勢さんはこないだ買ったピンクの髪紐つけてた、良かった、買った甲斐あったよね?香椎さんはなんか髪紐見て寂しそうだった。

女子も色々あるんだろうなあって思った。


少しすると香椎さんは皆に囲まれ笑いながら色々指示したり、笑い合ったり、楽しそう。

今日は委員長じゃなくって3年実行委員が組リーダーになるから青組リーダーとしての仕事なんだけど香椎さんが皆に囲まれてる風景を守れて本当に良かったって思う。

いつも皆のことを思う香椎さんを俺は好きになったからここの体育祭で勝利して香椎さんの地位を盤石にしたい!


もう少し待機時間がある、士気を上げる為、香椎さんが全体にスピーチをするって言った。


香椎『みんなおはよう!!!』



おはよう!とか先輩!とか反応はさまざま。

後輩にも香椎さん人気あるなあ。



香椎『いつも言うけどね?イベント盛り上げて行くよ!!

3年生!!これが中学最後の!体育祭だよ!何年も一緒だった子たちと最後かもしれないよ!冷めてないで!全身全霊でぶつかり合おうね!頼りにしてるよ!』



『『おおおう!!!!』』

めっちゃ盛り上がる!



香椎『2年生!!2年生は来年も同じメンバーで他の2クラスと来年も闘うよ!

私たちの代の『熱さ!』見ててね?先輩として伝えられることはこれ位だよ!

来年は君たちが『熱さ!』伝えてね!今日はよろしくね!!』



『『おおお!』』『センパーイ!』

2年も盛り上がる!


香椎『1年は中学で体育祭初めてだろうけど、先輩たち見ててね!

その上で一緒に盛り上がろうね!

君たちの力貸してね!お願い!』



『『先輩!ついていきまーす!』』

1年にも人気あるんだね?すごい!



香椎『色々言いたいこといっぱいあるけど、時間無いから最後に一個だけ!


絶対勝つよ!!


文句あるならかかってこい!!』


おおおおおお!!!!!


1個では無いじゃん!!まあ盛り上がってるからいいか?


香椎『じゃあ、サブリーダーから!』



ええええ?俺?

完くんがニヤニヤしながら前へ押し出す。



立花『サブの立花です!』



『望ちゃんのお兄さーん!』『義兄さん!』


(今さりげなく俺を義兄と呼んだ奴が居る…!)


立花『後ろのパネルの『慶次』と今回の応援、コンセプトの傾く《かぶく》、『コントラスト』は完全に俺の趣味です!!』



『『wwww』』

笑われる、仕方ないよね?



立花『後ろのパネルの下に『傾く《かぶく》』って書いてあるけど、

自分の意のまま自由に振る舞うとか異様なふるまいや突飛な行動を愛することを傾くって言う。いつもと違って祭りの時はみんなで傾こうぜ!

そして傾くなら傾き通せ!』



おおお!!!


3組も小幡さんが陣頭で鼓舞してる!いよいよ競技が始まる。

100m走は全員参加。名簿順に各クラス2名ずつ1レース6人、同性で行われる。1位のみポイントが入る仕組み。



俺、また名簿順で外町と一緒…外町1位、俺3位。


『フッw』


笑われた、悔しい、同クラスだから赤組にポイント入ったって言い聞かせる。

100m走はほぼ力の差がダイレクトに出る競技だが結果は集計しないとわからない。


レースを終えると陣地へ戻る。

次は全体競技の大玉送り。100mの直後レース競技はしんどいのでワンクッションなんだろうね?


大玉はご存知かも知れないが大玉をチーム一列になってスタートからゴールまで送る競技。

これはあんまりフィジカル関係ないね?ちなみに落とすと最初からになるから焦りすぎず急ぐ必要がある。


スタート!




青組早い!


後で聞いたら小幡さんちのストレッチで使うでっかいバランスボールで練習してたって。

1位青、2位黄、3位赤


残念。個人競技は午後から精鋭揃いになるので前半は不利って検討していたからこういう全体競技でポイント取っておきたいなあ。



次は50m走。

スプリンターたちの電撃戦。

短いけどアスリート!って種目でこれ結構観戦してると面白い。

注目はいきなりエース対決完(赤)VS青井(青)

よく考えたら青井は青で良かったね?青井(赤)とか紛らわしいよね。


注目の1戦、これで勝った方は士気上がる!

応援団長が出走だから俺が声出しする!


『完!完!完!』



青からも

『青井!青井!青井!』


最初の山場がきた!




スタート!


両者素晴らしいロケットスタート!若干、青井が半歩出てる?

その勢いのまま半歩、半歩青井が押し切った!!



『っしゃああああ!!!』

青井が吠える!





『『青井!青井!!』』『青井先輩!!』

青はお祭り騒ぎ!!



こっちは

『完くんが…』『完くん…』

動揺を隠せない。


香椎『大丈夫!始まったばかりだよ!』


戻ってきた完くんはニコニコしながらキレてた。

こわ!



レース後の青井を見に行くと青組の異様さがわかる。

3組のもう1人の委員長はすごい勢いでノートに何か書き記し、田中くんは録画を見直している。

小幡さんは青いマントとティアラみたいなのをつけてど真ん中に設置された特別な椅子(?)に座り戻った選手をまさに女王様のように優雅に労う。


青組陣地には宏介の家にあった、ビーチパラソルが2個設置され、その下にウォータージャグっていうの?キャンプとかに持っていくでっかいボタン押すと水出るタンクが2種類あって麦茶とスポドリの冷たいのが飲み放題になっていた。


宏介『承、今日だけはスパイしてるって思われるからこない方がいいと思う。』


承『わかった、準備すごいな。全部宏介でしょ?』


黙って頷く。俺は一応香椎さんに伝える。




香椎『そんなに用意周到なの?』


驚いていた。士気、練度、補給、分析どれをとっても青組は高水準だった。


その後の競技、障害物競走、借り物競争、仮装競争と続くが青の勝率は高い。

聞けばどれも練習してるのを見たと…

あれよあれよという間に25点も差がついた。リレーで挽回出来るのは30点だから最低30点差以内でないとリレーで逆転すら出来ない。


パン食い競争では俺1着取れた!望もパン食い1着!


『立花家はパン食い得意!』


なんか恥ずかしい…


『兄ちゃんのあんぱん?』


『カレーパン。』


『半分ちょうだい?』


パン食い競争ってロマンあるよね?少しはポイントに貢献した。

しかしその後の女子全体競技綱引きではまた青が勝った!これまずくない?


そして二人三脚が始まった。

第1レースに俺、伊勢さんペア

第2レースに香椎、小石ペアVS小幡、田中ペア

この二人三脚で生徒の午前の部はおしまい。

なんとか少しでも点差縮めたい


伊勢『練習通りね!立花、競技だから照れないで腰に手を回すんだよ?』


立花『わ、わかってるけど訴えないでね?』


伊勢『うぶだねー?』


しかし、俺も伊勢さんも耳まで真っ赤だった。伊勢さんが近くって目を合わせられない俺は目を逸らすと、香椎さんと目があった。


香椎『…。』


ハシビコロウみたいな無機質な目が俺を見ると目をまん丸にした後、闘志が滲み出てきた。俺は見なかったことにした。


俺と伊勢さんは真っ赤になりながら一定ペースで走り続けてぎりぎり1着!

2レース目はどうかな?

スタート!


香椎『小石くん!腰に手を回さないで!』


小石『だってー?二人三脚だし?』


香椎『あ!だめ!ダメだって!』


小石『香椎さんいい匂いする、くんくん。』


香椎『くんくんしないでー?!』



なんか声だけ聞いてるとすっごいエロい…。

しかし青はもっと酷かった


小幡『…あ!…ダメよ…田中くん!そこは…』


田中『…。』(必死で聞こえていない。)

小幡さんのウエストに手を回し、リズムが悪くヨタヨタしすぎで田中の手が横乳とお尻を行ったり来たり。超セクハラ!!


凄まじい最下位争いで6位香椎、小石ペア、5位小幡、田中ペアでレース後男子2人は2人の委員長に死ぬほど詰められた。ちなみに2レースは黄色が1位だった。


香椎『異性の匂いをくんくんするのはマナー違反なんだよ!』

※君は言う資格無いよ?


午前の部、生徒は終わりだが教員対抗レースが始まった。

柳先生はまったく走らなくって黄色が十点獲得してた。

『先生本当は絵を描く以外はしたくないんだぜ?』



2位赤、3位黄は僅差、しかし1位の青と2位の赤の差は50点もの差が開いてしまった。元々リレーで逆転予定ではあったがリレーでは逆転出来ない差がついてしまった。


昼食の為、教室に引き上げる俺に香椎さんが今後の相談に近づいてきたところへ青組の面々が通りかかる。



青井『お!立花!どうした?らしくないんじゃないか?』


立花『青強いね?』


宏介『赤に勝つため準備したからね?』


男同士は結構陽気なのだが。



香椎『…。』


小幡『…。』


ピリピリしてる。


香椎『小幡ちゃん超セクハラされてたけど大丈夫?』


小幡『玲奈こそ小石にくんくんされてたじゃない?大丈夫?』



空気がビキビキしてる。


いつも仲良い2人だからこそなのか居た堪れない雰囲気。

青の面々が立ち去ろうとして、小幡さんが言った。



小幡さんは綺麗な微笑を浮かべて言った、


小幡『玲奈に勝ちたくて準備してたんだからこのまま終わらないわよね?』


香椎さんは見惚れるような綺麗な綺麗な笑顔で言い切った。


香椎『そうだね?圧倒的リードからの大逆転!今日見に来た人は得したね?見応えは保証する!

リレーでは一回も前に出すこと無く勝つから!』


香椎さんは言い切った。そして軽やかに身を翻してその場を後にする。



小幡『なっ?!』


…しょうがない、乗るか…。


立花『うちの香椎さんが言うんだ、

絶対リレーで先行させることなく逆転して赤が勝つ!見てろ?』



俺は3人に手をひらひらさせて立ち去る。



慌てて追いかけて、

立花『香椎さん!なんであんなこと言ったの!』


香椎『だって、小幡ちゃんが煽ってくるから…

立花くん♪なんとかする!って言って?』


立花『どーすんのこれ…。』

俺は頭を抱えた。なんか変な汗が出てきた…。


午後は応援合戦から始まる。

熱戦は続く!!


□ □ □

長々引っ張ってしまった体育祭がようやく始まりました。

香椎玲奈対小幡千佳がテーマになります。

香椎さんがヒロインの貫禄を見せつけるのか?はたまた小幡さんが外伝主人公としてモンスターを倒すのか?


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いつも読んでくれてありがとうございます!

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