第98話 長い1日の終わりに【side香椎玲奈】

委員長に恋した自分の話、98話目ですが、100回目の更新になります。

いつも読んでいただいてありがとうございます!


※少し性的描写あります、ご注意ください。

□ □ □ □

校門を出たところで伊勢さんが話しかけてきた。

珍しい…、昔伊勢さんとは友達だったんだけど今は疎遠で基本話さないし、大体私から話しかけないと話してはこない。



『香椎玲奈さー、今日大変だったね?』


『うん、まあ、でも立花くんが助けてくれたから…!』


うんうん、頷く伊勢さん。しかしこの子おっぱい大きいなあ、羨ましい。

夏服だと大きさがダイレクト!


『あたしもいじめとか、ハブったりするの見てるのも嫌だから立花の姿見ててすっごい気持ち良かった!』


『うん。そうだね?』



何を言いたいんだろう?用事ある時しか連絡なんてしてこないし、話しかけてもこない娘だよ?


『話違うんだけどさ?明日あーし立花とラーメン食べて応援団で使う布買ってくるんだ!』


『!!

良いね!羨ましい!ラーメン大好きだから立花くん楽しみにしてたよ!』


『え?そうなの!

あーしも楽しみ!』


ニヒヒ!っていたずらっぽく笑う伊勢さんは女の子の私から見てもセクシーでちょっと嫉妬しちゃうよ。


ひとしきり笑った後寂しそうに、伊勢さんはつぶやく、


『…あたしは香椎玲奈が羨ましい。

こんなに可愛くってなんでもできるのにさ。

あんな風にクラス中を敵に回して、たった1人で香椎玲奈を守って、願いを叶えようとしてくれる男の子が居るって女の子として産まれてこれ以上の幸せは無いよ。』



『…。』

私は返事が出来なかった。肯定しても自慢ぽいし、否定できないから。

私は今日すごく幸せ。どこか欲張っていたのかもしれない。

承くんに守られて、悩み解決してもらって、抱きしめてもらった。

こんな贅沢な1日は無いだろう。

私は興奮して、欲情して何か見失っていたのかもしれない。


『だから!明日位は立花借りるよ?

楽しんできまーす♪』


ぺろって舌を出してほっぺに片手を添えてにんまり笑う。

この子こうゆうのすっごい似合うんだよね。



『それとこれとは別でしょ!』


『あ、後さ、貸しって今1だっけ?』


『そうだよ!やっと後1!!もう借りは作らないよ!』


『じゃあさ、今日貸し2になったよ?』


『なんで?意味わからないよ!ラーメン食べに行くなら貸し0になってもいいんじゃない?』


『ラーメンは立花と私の話だから香椎玲奈には関係ない話っしょ?


まあまあ、後でわかるから!

もし気に入らなかったら貸しは1のままで良いよ?

まあ気に入ると思うけどね?』



またニヒヒ!って笑って伊勢さんは駄菓子屋へ寄ると言う。

別れ際、伊勢さんはちょっと寂しそうな顔でつぶやいた、


『あんなに立花は香椎玲奈のために頑張ったんだ、見てなかったかもしれないけど本当に男らしくて勇敢な義に熱い男なんだよ?

…大事にしてあげて。』


『…。』


伊勢さんらしからぬしっとりした言い方と、悲しい顔に言葉が出ない。

(伊勢さんも承くんのこと…?)



前々から思ってた、そうなんじゃ無いか?ってでもなんで嫌いな私を応援するようなことを?

私は帰り道ずっと考えていたけど答えは出なかった。




家に着き、夜ご飯前にシャワーを浴びる。

9月はまだまだ暑い。本当は今日のことをママやお姉ちゃんに言いたい!

私の好きな男の子はこんなにカッコ良くって勇敢で優しい武将のような男の子だって!

でもそうするとハブられたところから話しなくちゃいけなくって今はまだ話せないって思った。


ご飯食べて、お姉ちゃんと遊んで、疲れたのか21時にはもう眠くなって来ちゃった。

スマホを確認するとまあ来てる来てる、今までの反動でいっぱいメッセ!

ハブられてる頃は何も無くて寂しかったけどあれに慣れると面倒ではある。

特に敵対してた子たちには気を使ったメッセを送るともう22:30。


面倒になってきた。続きは明日にしようかな?

ベッドにゴロンと仰向けになり。

今日を思い返す。

HRに敵対する子たちに話も聞いてもらえなくて泣いてしまった。

教室を飛び出し、すぐ戻ると承くんがクラスみんなを的に回して火を吹くような演説をしていた。

思い浮かぶのはクラスを敵に回し、一歩も引かずに私を弁護、支持、擁護してくれたあの姿。

そしてその『熱』でクラスが収まった。

放課後一緒にダンスごっこして抱きしめてもらった。


…これ以上の望んだらばちが当たるくらい今日は盛りだくさんで贅沢な1日。

なんか承くんの『熱』に当てられすっかり欲情してたのが恥ずかしいくらい清々しい気持ち。

ああ、幸せ。

承くんへの想いが止まらない。うつらうつらしながら眠りの神様に誘われるがまま瞼を閉じる…。



!!!

そういえば、承くんの演説の録音!とれてるかな?!

眠気が飛ぶ!


スマホを確認する。

『『そんな俺が言う、香椎さんは本当に良い子なんだよ、知っての通り献身的で健気で!俺だって多少下心あったさ、誰も味方いない今なら俺を少し見てくれない?って。

でもね、香椎さんの口から出るのはいつもみんなの事だったんだ。』』


ここからかあ…いや嬉しいこと言って貰ったし格好良いこの後のサビの部分入ってるんだけどこの前の、

『俺は香椎玲奈が好き!!子どもの頃からずっと好き!!』

とか

『俺は、香椎さんのことが好き!』ってシーン欲しかったなあ。

甘やかしの時に耳元で

『可愛いよ…。』

も良かった。あの時身体がビクンって反応しちゃったもんなあ。


思い出したらまたなんか興奮してきた。


!!!

そうだ!私今日良いもの手に入れたんだった!!

あまりに色々ありすぎて失念していた!


ジャジャーン!!

ダンスの時私の顔にペチペチ当たってた、承くんの首に一日中巻かれていたグレーのタオル!!


これはお宝だよ…あえて承くんの荷物から離れた教卓に邪魔って!切れたフリして投げてやったのを私は回収してきた。夏場に一日中首に巻いてたんだよ?!


これはこの後大事にくんくんするとして…他にはなんかあったっけ?


!!


伊勢さんが貸しとか言ってた?

スマホを確認するとロインに何か来てる?



動画だね。


承くん?

『じゃあ俺の話聞いてよ?』

『そんなに香椎さんが悪いかな?』




!!!!!

これは!今日の承くんの勇姿!

伊勢さんは教壇前の一番前列のど真ん中!

まさか…最初から?!




『ああ!好きさ!

俺は香椎玲奈が好き!!

子どもの頃からずっと好き!

でも無理なこと位、百も承知だわ!』



きゃーーーー!!!!

コレ!これはすごいよ!!

伊勢さん大好き!!!!!


すぐにロインを送る。


『借り2で問題ないです。

本当にありがとう!』

すぐ伊勢さんからおけ!ってスタンプきた。

安い!借り1なんてお値打ちすぎる!


ばっちり最前列中央から承くんの勇姿が…!

これ今後いつでも見れるんだよ?!

驚きのばっちり撮られた録画に私は興奮が抑えられない!

私は早速タブレットにもダウンロードしてクラウドにもすぐ同期した。



さっきの清々しい気持ちはもうどこにも無い。

体が熱いし、もう我慢できないよ。

こんな子だってバレたら承くんに失望されちゃう…。



(これ、動画見ながら、彼シャツ体に巻き付けて、今日手に入れたタオルをくんくんしながらいたしたらどうなちゃうんだろう?)




私は欲望に逆らえなかった。

私を好きって言う承くんの動画を見ながら…

くんくんくん、くんくんしながら手を伸ばす…。

…私はすっごい自分を慰めた。




そして賢者タイム

『…これは…人をダメにする…。』

視覚、聴覚、嗅覚と5感のうち3つを動員して慰めるとものすごい…。

しかし、客観的に見て地獄のような光景だった。

私の夏パジャマは捲れ上がり、彼シャツを私を抱きしめるように体に巻き付け、タオルに顔を埋めてくんくんしてるJC。

百年の恋も冷めちゃう惨状。



でも今日は色々あって、色々手に入って、抱きしめて貰ったし最高じゃない?

総括するとね?

承くんをもっと好きになった1日だったよ!


□ □ □ □

前述した通り100回目の更新でした。

予定では体育祭回だったのですが気づけばこの香椎さんのHENTAI回でした。


もし気に入って頂けたら♡、☆、コメントぜひお願いします。

いつも読んで頂いて本当にありがとうございます。

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