第88話 決意

俺はね、いじめられてた頃香椎さんに救われた。

俺なんかの為に香椎さんは泣いてくれた。

香椎さんは覚えてないかもしれないけれど。


□ □ □

『じゃあもし私が本当に困ってたら1回だけ助けてくれる?』


『絶対に助けるよ、誓う。』


第24話香椎さんの泣き顔参照。

□ □ □


俺は一生懸命に伝える。目を見て、真正面から照れずに真剣に。



『俺、暑苦しい事、恥ずかしい事言うよ?笑わないでね?

いや、笑ってくれても良いや!



それが香椎さんの願いなら俺が必ず叶えるから!

クラス、学年みんな敵にまわしても!


俺が持ってる力、才能、知恵、努力、なんでも全部を使って、いやらしい手でも悪辣な手でもどんな手段でも犯罪以外なんでも使って必ず香椎さんの願い叶えてみせる、誓うよ。』



『なんで?なんでそこまでしてくれるの?』

香椎さんは真っ赤になり俯きながら聞いた。


『あの日誓ったから!』


香椎さんの悩みを解決する為に、今日からキリキリ陽キャたちとバトルだぜ?

好きな娘の為にクラスの陽キャ全員敵にまわすなんて陰キャの妄想極まれり!




まず香椎さんには今週は中立の子たち、特に女子と話をして欲しいとお願いした。

元々香椎さんはバランスをとって人に接している、特に女子は全員とお昼食べてるのを見たことがある。友だちだけでなく広く交流を持って自分の目が届かないとこで何かないか心配してたから。

だから香椎さんが今回のことで自分の友達から追われた後も香椎さんを受け入れるグループは多かった。


『ぷふー!グループ追放されると下カースト行くってほんとだったんだ!』

『陰キャとつるむんだ!』

『いいんじゃない?あそこなら男子も居ないし?』



いやな陰口は聞こえるが香椎さんは気にしないようにしている。


『ごめんねー?巻き込んでる?』


『ううん、むしろこないだみんなが香椎さんに敵対した時に声を出せなくて…。』


『怖いもん!言えないよー!受け入れてくれるだけで感謝だよ!』


『うん、あまり力にはなれないけど香椎さんが噂になるような子じゃ無いことはわかってるよ!』



香椎さんの今までの頑張りや広く浅くで接した子たちの支持は大きな声では無いけど確実にある。反撃する日までその声の小さい支持者たちの支援を香椎さんには集めてもらう。


俺の方はというと


『香椎さん、彼と彼と彼は比較的外町と仲良いはずなのに中立なんだけどなんでかわかる?』


『うん、実はみんな私に告白してくれた子なんだよね…?』


まじか?1人は修学旅行で告白した!って宣言を聞いてたからもしや?と思ってたんだけど?

二村さんじゃ無いけどほんとに今まで約20人の告白受けたの?


『こないだの2人で31人になった…。

でも!本当に男の人と付き合ったことないよ!信じて!』


いや、まあそこはいいんだけど?


『プライベートなことだけど、どんな断り方したのか教えて?細かくは必要ないから!』


こうして知り得た情報を参考に順番に彼らを呼び出す。

香椎さんが困ってるんだ、香椎さんが君のこと気にしててさ?って話をすると香椎さんがフった3人は


『香椎さんが今噂になってるような男を手玉に取ったり酷い振り方して傷つけるわけない!』


って憤慨していた。俺は彼らの香椎さんが誉めていた長所の話をして香椎さんが心配してる、もし私に気を使って中立だと今香椎さんをハブるグループに目をつつけられるかもだから気にせずあっちに味方してくれていいよ?って伝言を伝えると、

3人とも


『香椎さんを好きになったことは俺の誇り!絶対香椎さんの味方する!』

と言葉は違うが皆そう言い切ってくれた。その時が来たら味方を頼んだ。


他のクラスの奴にも聞かれる、なんで香椎さんハブられてんの?って状況を話すと皆不思議がる、なんであんな良い子を?って。


まだ新学期始まって3日だけどオセロみたいに一気にひっくり返った割に中立層が変動少ない。

これだけ時流というか流れがあちら側に傾いてるともっと荒れても良さそうなのに敵は増えていない。

話すとすぐわかった。これまでの香椎さんの頑張り、献身が皆に認められていて、分け隔てなく人と接すること、声の小さい、陰キャやぼっちと呼ばれるタイプの子に香椎さんが今まで気遣ってコミュニケーションをとってきたかわかった。


香椎さんは今までの自分の広く浅くは間違ってたって言うけどそれは間違いではないんだよ。それがここで出てきた。そうゆう声の小さい支持者たちが香椎さんにはたくさん居る、みんな香椎さんが大好きなんだ。

あの場面で声は出せないけどこの後反転すれば間違いない追い風になる。



そんな感じ。

お互いに報告して手応えを感じてる。

香椎さんはこの後どうするの?って聞く。


『後は大勢巻き込んで、大勢の前で物事をはっきりさせて体育祭を盛り上げる為に煽るのさ!』


俺は少し芝居かかった言い方で宣言する。


『また煽るの?心配!みんなに承くん怒られるか恨まれちゃうよ!』


『今回は煽るの、香椎さんがやるんだよ?』


『えー?私が煽るの?!』


週末のHRが始まる、この年の体育祭を多いに盛り上げる原因となった、

『香椎玲奈の宣戦布告事件』のはじまりはじまり!

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