第71話 2日目の終わり
南禅寺で高校生にからまれるハプニングはあったが無事香椎さんに合流できた。
一条さんと二村さんが小石を締めたからねって笑って言ってた。怖い。
香椎さんは笑ってるけど眼が笑ってない、激おこだったんだね。
さっきから小石が謝っている。
『ゴメンナサイ。』
『いや良いけど。』
『ホントウニゴメンナサイ。』
小石はだいぶ詰められたみたいだった。
香椎さんは男子高校生とのいざこざにも不満らしく。
『無茶しちゃダメでしょ!』
『はい。』
『なんであんな無茶したの!』
『香椎さんと伊勢さんが危ないと思ったら体が動きました。』
もう、気をつけてね?そう言うとこっそり
『でもね、ナンパ怖かったよ、ありがとう承くん!』
『でも俺も言いたい、怜奈さんは可愛いんだから気をつけてくれないと変な奴に目をつけられるから皆んなと行動して?』
『!!
ふふふー!わたし可愛いって思ってくれてるんだ?』
香椎さんはすごく俺をからかうようになった気がする。
最後の目的地伏見稲荷へ向かった。
旅館がこの伏見稲荷に割と近くだった為最初か最後に設定する班が多いみたい。
完くんも最初に行って鳥居すごい!って言ってた。
全国の稲荷神社の総本山で千本鳥居が特に有名。
もう4時になりそう、急いで5人で鳥居を目指す!
『すげえ!!』
『別の世界みたいだね?』
俺たちも大興奮。山の山頂まで全力で登っておみくじを引いた。
今日いっぱい行くとこあるから1箇所だけみんなで引こう、最後の伏見稲荷大社でしょ!って。
みんなおみくじに一喜一憂。今年は受験あるし色々気になるお年頃。
女子たちはキャッキャ騒いで見せ合いしてる。
『…。』
『…いや、男同士でおみくじ見せ合ってどうってこともないよね?』
小石と見せ合った。2人とも吉だったから尚更盛り上がらない。
香椎さんがこっそり見せてくれた。
『私は吉だった。』
『俺も吉だったよ。』
香椎さんも吉なの?
俺のも見せる。
吉だけど香椎さんは学業良いに対し俺は学業努力必要って。
なんか信憑性あるおみくじって思った。
『あ!恋愛 前途多難って?』
『香椎さんも前途多難?』
『でも同じ『恋愛』が『前途多難』なら一緒に乗り越えていけば良いよね?』
『え?どうゆうこと?』
『だから!『同じ恋愛』が『前途多難』なら一緒に!二人で!乗り越えれば良いんじゃない?』
『?
ちょっと意味がわからない?』
『もういいよ!』
よく意味がわからなくって香椎さんに怒られた。
で、急いで下山して、旅館へ滑り込んだ。
『おつかっれ!』
『歩いたねー!』
『また夜ねー!』
班は解散、男子は大部屋、女子はそれぞれの部屋へ帰る。
大体7割が戻ってる。
お土産の整理や着替えを済ましてるうちにみんな揃い大食堂でご飯。
みんなで食事、食後班ミーティング。後日回った所を発表する機会がある為みんなでどこを回ったか、どんなだったか、何が印象深かったか出し合うのだ。
今日は女子部屋でミーティング、小石が興奮。
確かに湯上がり玲奈さんは輝いてる。
みんなであーだこーだ言い合い、笑いながら楽しかったねー?楽しかった!と言い合う。どこが良かった?って話になって。みんなそれぞれ言い合ったんだけど香椎さんが。
『最初の山荘だな!私色々びっくりしてドキドキした!
素敵だった!一生忘れない!』
俺は自分のしでかしたことに今更恐怖を覚えた。
名前呼びして手を繋いだなんて大それたことを…。
香椎さんが君はどうなの?って目で促す。
『俺も最初の山荘かな?綺麗な光景で眼が離せなくって時間が止まったように感じた。俺もドキドキした。』
香椎さんがふふーん!って顔してる。性格変わってない?
こうして班ミーの時間が終わり、その後隣接設備で染物体験をした。
ハンカチを染めたんだけど俺は下手くそだった。
一条さんめっちゃ綺麗に染めてみんな感心していた。
香椎さんはこだわり症の為時間ギリギリまでやってた。
終わった者から旅館へ戻り、また昨日同様、みんなで騒ぐ!
今日も壁は無く楽しい!人生ゲームを今日買ってきた猛者が居てそれが大盛り上がりだった。でもそれ持って帰るの大変じゃない?俺はそれを見てるだけだけどおもろいよね!
『結婚!俺の奥さん香椎さん!』
『俺も結婚!俺も奥さん香椎さん!』
『結婚!俺は伊勢さん!』
6人で進めるとなかなか進まない人生ゲーム。4人が奥さんを香椎さん指名している、このままでは香椎さんは4人の旦那さんが出来てしまい、何人子供産むの?身体持たないよ。
完くんは伊勢さんを指名。これは正直意外。完くんはまだ女の子に興味無いのかな?って思ってた。でも良いと思う。あの子良い子だもん。まじおすすめだよ。
『男の子生まれた!』
『うち双子!香椎さん似!』
『うち女の子!香椎さん似!』
『男の子生まれた、絶対プロ野球選手に育てる!』
完くんだけ違うルールでやってるのかな?
昨日同様、大盛り上がりで消灯時間を超えた。
当然、眠れない!
昨日みたいに女の子の話とかするのかな?
そう思った。消灯すると視覚が使えないせいか話がすごく入ってくる。
下らないこともすげえ面白いし、人の恋愛話にもすっごい興奮する。
今日は誰がどんな話で口火をきるのか?!
そう思ってたら、陽キャの1人が突然言った。
『俺さ、さっきの染物体験の時さ、香椎さんがこだわって最後まで残るの予測してふたりきりになるのを待って告白したんだ…。』
ざわっ!!
寝てる人も数人居るが起きてる奴騒然!
震える声で小石が聞いた。
『で、どうだったんだ?』
聞きたくない、でも聞かずにいれない!
『声のトーンでわかるだろ?ダメだったよ…。』
ざわざわするが概ね納得の雰囲気。でも告白するのに勇気いるよな?
みんな彼の勇気に敬意を表した。
彼は勇者である、負けはしたがその勇気は誰もが称えた。
彼はポツポツ内容を語った。
染物体験最後まで粘ってまずはハンカチのことをいっぱい一緒に語って。
今日の自由行動どうだった?って聞いたらすっごい楽しそうにいっぱい話してくれてなんかいけそう!って思ったんだ。
染め物終わってみんな居なくなっちゃったね?ってお疲れ様ジュース奢るよ?って言って断られて、部屋に戻るっていうのをなんとか頭下げて止めて、旅館入り口の並木の横で話そうとするも帰りたがるから急いでそこで、
(ここで言わないと言う機会すら無い!)
って見切り発車で告白スタート!って流れだったらしい。
香椎さんは最後まで口を挟まず聞いてくれて、
深く頭を下げて、好意はとても嬉しいけど私は今は誰とも付き合う気が無い。
正直に言って君を男の子として意識したことは無い、ごめんなさい。
でも君はって俺の良いところをいくつか上げてくれて。
そんな良いところをいっぱい持ってる君が思いを寄せてくれたことは女の子として誇らしいよ、ありがとう、付き合えないけどこれからもっと良い男になっていつかきっとフってしまった私を悔しがらせてね?
って。
俺は思った。
(この数十分の間にこんなドラマがあったとは!)
振られてショック!でも良いところあげてもらったのは俺の誇りだって彼は笑った。
振る側も振られる側も大変だ!俺はおみくじの
『前途多難』の言葉に恐怖した2日目の夜だった。
□ □ □ □
女子部屋では
『2組のあの子彼と進展があったらしいよ?』
『えー!で?どうしたの?』
『どうしても口割らないの!香椎さんも気にならない?』
こうして夜は更けていくが皆が眠った後も。
(今日は承くんが『玲奈さん!』って呼んでくれて手を繋いだ!ドキドキしたなあ…。明日は何か起こるかな?)
香椎玲奈は明日を念入りにシミュレートしていた。
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