第7話 隣のクラスのその男

クリスマスパーティーが終わり年が明け新学期になると席変えで香椎さんとは席が離れてすっごく残念。でも時々話をするようになった。



特別変わったこともなく小学6年生になった。

新学期始まってすぐに学級委員長を選ぶことになったがまさか俺が選ばれてしまった。

学校の方針で1学期ごとに学級委員長を変えていくことになっていて一度委員長をした人はしないというルールがあり、3年生から始まってたから委員長向きの人は大体もう委員長を済ませておりついに俺が選ばれた。


基本ぼっちだからコミュニケーション能力が足りなくて四苦八苦した。

女子の方も同じだけど香椎さんがフォローしていた。

俺の方もあっちゃんがフォローしてくれて1学期は運動会や修学旅行があって大変だったがなんとか無事に終えた。2度と委員長なんてしないって思っていたんだけど…。


そして弟が生まれた!2歳下に妹居るが生意気で口が立つので弟可愛い。

歳離れているから尚更可愛い!



そして部活では6年生の夏の大会がサッカー部最後の大会でなんとか試合に出ることができたが主役はあっちゃんと外町くんだった。

同じフィールドで試合出来て結果はともかく満足した。


3回戦で1−1のまま延長戦までもつれ込み、それでも決着がつかずPK戦で負けた。

悔しいが仕方ないって思ってたら帰りみちのバスで外町くんがPKを外した部員にぐちぐち言い始めた。

外町君はこのチームの司令塔で5年生からレギュラーで悔しいのはわかるが温厚な人気者だから珍しい。本当に悔しいんだろうって思ったけど度が過ぎるから思わず口を挟んだ。


『何度も同じミスを重ねて責めて!ミルフィーユか!』


空気が悪すぎてまったく受けなかったんだけどグチグチは止まった。あっちゃんは大笑いしていた。空気悪いから笑わないであっちゃん!

いつもの温厚さを取り戻して言いすぎてごめんねとかフォローしていたが俺を見る目はめっちゃ怖かった。

まあこれでサッカー部は引退だから中学生になるまでそんなに外町君と関わることないかーと思っていた。




その少しあとの学年合同授業で外町君のクラスと一緒になった時に気の弱い子が外町君とその周りの陽キャたちにいじられているのを見た。

よそのクラスの人だけど見てられなくってつい言っちゃた。


『みんなで寄ってたかって…黒ひげ危機一発なら飛び出しちゃうよ?』


これは結構うけた。外町君がめっちゃ睨んでる、怖い。

隣のクラスってこういういじりが多いらしくゲンナリした。


外町君はイケメンで頭良くって温厚な人気者。でもなんかちょっと違和感を感じる。言うほど優しくはないって思った。

なんかツッコんだことが機嫌を損ねたのかな?


次の日廊下で外町君とすれ違った時小声で言われた。


『厚樹居ないと何も出来ないくせにうぜえんだよ。』


言われた内容より目が怖かった。




あと秋のマラソン大会で学年3位に入った。部活引退後も走り込み続けてたから多少自信があったけど3位は上出来。

香椎さんがゴール直前で応援してくれてゴール後すっごい褒めてくれた。

ちなみにあっちゃんが1位だった。まじ武勇伝。



そして年末が近づいた。今年もクリスマスパーティーやるのかな?って期待しちゃう。

香椎さん家のご飯美味しいし、また香椎さんとたくさん話せたらいいなあ。なんて思っていた。





12月上旬にあっちゃんは突然俺に言った。


『承、俺さ、』


何だろう?歯切れがわるい。あっちゃんらしくないな。



『親の都合で2学期の終業式が終わったら転校するんだ…。』


???


『ごめん、ちょっと何言ってるかわからない…。』


あっちゃんはもう一度同じことを言った。意味はわかったが頭は追いつかない。

お別れの日は二週間後だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マラソン大会にてゴール直前。


『立花君頑張れー!もうちょっとだよー!』


(香椎さん!)


ゴール直前一人抜いてゴール出来た。

あとで知ったがゴール直前で抜いたのは外町君だった。

また睨まれた。

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