第5話 香椎玲奈の隣の席

5年生の夏休みが終わり2学期になった。

席変えがあって香椎さんの隣になった。

どうしようって思った。


香椎さんは可愛くって人気者だからすぐに周りに人が集まる。

休み時間になると友達の女の子に常に囲まれている、口実をもうけて話しかけてくる男子大勢居て話しかけるタイミングは無かった。

俺も休み時間はあっちゃんやその仲間たちと遊ぶことに忙しい。

無理に話をしなくても良いかって思ってた。


席変えから一週間がたった頃。

香椎さんが話しかけてきた。


『立花くんって武将好きなの?』


俺は一生懸命に武将の良さを語った。あんまり話さない男子が話を振ったら食い気味で反応してきたからきっとびっくりした事だろう。

語った以上その分聞かなければならないと思い香椎さんの話を聞いた。

香椎さんは私の事なんて話すようなこと無いよ?って前置きしながらお母さんがピアノ教室をやっているから母さんからピアノを習っている事、最近ケーキを作れるようになったことを教えてくれた。


香椎さんはとても話しやすくテンポも良いので会話はとても楽しく人気者の理由がわかった気がした。

品があって、賢くて可愛くってなんかお嬢様みたいだなって思った。


『席がお隣同士なんだから毎日少しだけでもお話ししようよ?』


俺は照れながら約束した。女の子と話すってなんか軟派っていうか男らしくないって思っていたけど断れない魅力があった。



「必ず休み時間に一番に俺のとこ来る承が香椎さんの隣になってから来るのがめっちゃ遅くなった!」

あっちゃんにすごくからかわれた。



それから毎日香椎さんと少しずつ色んな話をした。俺は漢らしくありたい、いじりとかいじめとか許せないって話をした。

俺は知らなかったが香椎さんは女子の間を仲裁したり、いじめみたいなことを防いだって話をしてくれた。

自分やあっちゃんだけでなく香椎さんもそう考えていたことに感動した。

しばらくすると香椎さんも色々自分の思っていることとか色々話してくれるようになった。香椎さんは女子の中心だけど聞き役に回ることが多く大変みたい。

俺は気の利いたことを言えないけど真剣に聞いた。いつもクラスにいろんな気配りしていることを知った。






そんな12月上旬のある日にあっちゃんは突然俺に言った。


「22日は終業式で次の日23日のお昼から夕方までクリスマスパーティーがあるんだ。」


そう言った後あっちゃんは手書きの招待状を取り出した。


クリスマスパーティーって本当にあるんだ!って子供な俺は思った。

あっちゃんは続けた。


「クラスの女の子の招待で俺と宏介は確定でこの招待状で後二人行けるんだ。宏介なら承は友達だし呼んで良いって言ってたんだけど承も来るか?」


宏介はあっちゃん以外の唯一の友達で無口なタイプなんだけどとても信頼出来る。宏介も武将好き!

パーリーピーポーって陽キャの集まりでしょ?あっちゃんと宏介が居るとはいえ敷居が高い。


「じゃあ決まりだな!プレゼント交換があるからそれだけ用意しておけなー!」


迷っているとあっちゃんは決めてしまった。

クリスマスパーティーの詳細は説明が無かった。クリスマスパーティーに思いを馳せるがなんかキラキラしてる所で乾杯!とかするのかなって想像した。



次の日宏介に聞くと


「そうなんだよ。承も一緒に行こうよ。」


宏介は相変わらず必要なこと以外は話さない。宏介から誘われるのは初めてだからなんか嬉しかった。




数日経った、いつもの日常。

毎日部活や遊びに明け暮れる。毎日少し香椎さんと話すが何か言いたそうな歯切れの悪さがあったから聞いてみた。



『香椎さんなんかあった?』


『クリスマスパーティーの話って聞いたかな?』


『ああ!あっちゃんから先週聞いたよ!香椎さんも来るの?』


『聞いてないの?私のうちでするんだよ?

招待券渡したのに反応が無いからどうなっているのか聞きたくて。』



俺は何も聞かされていないことを伝えた。日時とプレゼント交換しか知らないって。


香椎さんは少しぷんぷんしながら詳細を説明してくれると言った。

それをうるさい小石くんが聞いていてどうしても行きたい!行きたい!って会話に割り込んできた。



香椎さんは困った顔をして人数が決まっていて招待状は神崎くん(あっちゃん)に渡していること。みんなにバレると話が大きくなるから秘密にして欲しいことを小石に伝えた。



小石はあっちゃんに自分をパーティーに連れて行くようにねじ込みに行った。


『今回はね、あまり大きな声では言えない計画があるの!』



香椎さんが言うには香椎さんの友達の子が宏介が良いって思っているらしくそれを応援する為と香椎さんの親友の子が同じくあっちゃんと仲良くなりたくってこの2つの目的で企画されたらしい。

俺は子供だったから驚いた、みんな進んでいる!


じゃあ2人招待にしたら良いんじゃない?って言うと。




『それじゃ!露骨でしょ!2対2じゃ間が持たないかもしれないけどグループならフォロー出来るでしょ?聞いたからには立花くんにも協力お願いしたいの♪』



あっちゃんには招待状を渡して宏介と友達を近づけるってプランを説明しつつ、宏介にはあっちゃんに招待状渡したんだけどあっちゃんと親友を近づけたいってプランを話してあっちゃんも宏介もお互いに相手のフォローするって軽い気持ちで了承していたらしい。香椎さん策士!




頷いたけど何をするのかよく分からなかった。女の子は恋愛が大好きって本当なんだな。

それより香椎さんの家に行くのか?!ってことで頭がいっぱいだった。

女の子の家なんて行ったことがない。



色々準備しているとあっという間にパーティーの日になった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あっちゃんと宏介の会話


『承が香椎さん好きっぽいんだよね、クリスマスパーティー付き合ってよ?』


『わかった。』

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