畑にトマト植える『私』と、その畑から生える手のお話。
約1,000文字のホラー掌編です。
畑から生える真っ白い手。絵面としてはもう本当にホラーそのものなんですけど、でもそれを語る主人公の視点がとても好き。
果たしてこの手は一体なんなのか?
見た目からしてまず善いものとは思えないんですけど、でも主人公自身の感覚を通じて見るそれは、どうにもそんな悪いもののような気がしない……という、この一人称体ならではの面白み。
単に不思議な出来事という感じではなく、不条理なようではあっても理解できないわけではなくて、どちらかといえば平穏さすら感じられる、この絶妙な読み心地が逆に怖い……という、とても素敵なホラーでした。