41.【清掃員の正体】
○月〇日。
ロクさんこと六角さんは、鑑識もやったことがある位やから、粘り強かった。
座席シートの奥に突っ込まれていた、運転免許証を見付けた。クリーニング店の主人、柳瀬達夫のものやない、運転免許証や。柳瀬さんの運転免許証は、ダッシュボックスから見つかっているからだ。犯人または班員グループの1人が、何かの拍子に落したのだろう。
「清掃車や。幸田さん、ガッシャーンって音を聞いた言うたやろ?市役所の清掃車の巡回コースが、袋小路の入り口にある。清掃車止めて、1人が山中さん、もう1人が柳瀬さんのクルマに近寄って、話しかけて注射を打った。速攻性の毒や。発覚遅らせる為に清掃車で、ビリヤードしたんやな。大した腕や。市役所は、隠しに隠し通そうとしていたが、『組織ぐるみの殺人とみてエエんやな。』って言ったら、ビビってゲロした。
市役所では、年間何百万もの『不思議会計』があった。那珂国人や阿寒国人を雇い入れてたんや。その日、臨時清掃員2人が、本来の担当清掃員と入れ替わった。
コロニーの疑いがある、とOBQ検査で出たからや。それで、非番で、別の地域の清掃員が向かった。偽の検査を経てな。入れ替わった清掃員は、自称リン・リン・ケイと自称パクや。2人は那珂国人のスパイや。2人は、ある日、別々のところで、山中さんと柳瀬さんに『取引現場』を見られてしまった。山中さんと柳瀬さんは、。面識が無かった。奴らは駐車場での事故と、初動で判断するように仕組んだ。出てきた運転免許証は、パクのもんやった。後は芋づる。」
横ヤンの顔を立てて、ロクさんは、わざわざ報告に来てくれた。義務はないのに。
ロクさんが帰った後、俺は焦げ臭いニオイに気づいた。
朝のトーストは、丸焦げになっていた。
「やっぱり、タイマー壊れたら、アカンな。後で、店ノン、持って来るわ。」と澄子が言うので、「買うよ。」と、俺は言った。
澄子はニッと笑った。嫌な予感がした。
―完―
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