40.【夜店】
○月〇日
近所の神社で、一足早く、夜店が出ると言う。
梅雨入りしたとは言え、夜でも暑く皆参っている。
そこで、宮司は、適当な理屈をつけて。夜店を出してお参りさせることを企画した。
勿論。雨天中止。
幸い、今夜も明日も降らない予報だった。
俺と澄子が、風船ヨーヨー釣りを探していると、見たことがある男が走って来て、その前方をバッグ抱えた『ギャル』が走っていた。
俺はトオセンボをしようとしたが、俺の前に澄子が仁王立ちし、何と『張り手』でギャルを倒した。
どすこい!
ギャルは一撃で倒された。「倉持。ひったくりか?」「はい・・・奥さん、強いなあ。」
間もなく、ひったくりに遭った老婦人がやって来て、警察官も駆けつけた。
顔見知りの板尾巡査だった。「助かります、幸田さん。こいつ初犯と違いますねん。」
やがて、もう1人の警察官もやって来た。ギャルは暴れたが、俺の顔を見て大人しくなった。
「あんまり、暴れたら、盲腸の傷口開くで。」と、俺は言ってやった。
昔、藤島病院で俺が外科手術したとき、たかが虫垂炎でごねた、ヤンキーだった。
板尾達は、クスクス笑いながら、逮捕連行して行った。
野次馬達からも失笑されていた。
倉持と別れた後、夜店を回って、風船ヨーヨーは上手く釣れなかったので、買って帰った。
澄子は、子供のようにスヤスヤと眠った。
ふとスマホを見ると、南部所長からのメールが届いていた。
明日朝イチの新幹線か。やれやれ。
あのヤンキーの行く末を考えている内に、俺も深い眠りに入った。
―完―
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