痴漢

〇月〇日。

浮気調査の裏取りで総子とで歩いていたら、路地で痴漢に遭っている女子高生がいた。

総子はタタタタっと走って行って、その男の手首を手刀で何度も連打した。

男は、近くの俺がいることに気づき、反対側に逃げ出した。総子はドロップキックをかました。男の体を仰向きにして、金蹴りをした。男は呻いた。すかさず110番をした。

俺は、駆けつけた警察官に名刺を見せ、事情を話した。

流石に、金蹴りの件は伏せて。

警察官は、応援を警察無線で呼んだ後、一緒に警察署に来てくれるか?と尋ねた。

「今、仕事中ですねん。なんやったら、後で事務所来て貰えませんか?」と、警察官に言った。それが、通称キムさんこと木村さんとの出逢いやった。木村さんは、応援に来た警察官に痴漢犯人を引き渡し、自分は被害者女性を連れて行った。多分調書を取るのやろうな。

再び総子は歩き出したら、「先輩。110番、先輩にして欲しかったわ。」と言い出した。

「お嬢があんまり見事にやっつけたから感心して、見惚れてて、忘れたわ。今度からは俺が電話の係、お嬢はやっつける係な。それで、どこで身に着けた技や?」

「お嬢?・・・まあ、ええか。ウチも以前痴漢に遭ったことがある。その時、所長に助けられた。護身術教えてくれ言うたら、毎日相手してくれた。で、面接に応募した。」

ふうん。所長に助けて貰う前、未遂やったか既遂やったか、恐くて聞けなかった。

合気道の技かと思ったが、所長は昔剣道をやってたから、剣道の技かも知れんな。まあ、ドロップキックや金蹴りは関係無いやろうけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る