9 すべての、答え合わせ

 陽菜に連れられ、陽菜の家に着いた。


「湊さんは、義妹が誰かってのが知りたかったんですよね?」


「……まぁ、そうだけど…。」


 まるで陽菜、俺の義妹が誰か知ってるような素振りだけど……?


「そうですか。湊さん、あなたの義妹は…」






「私です。」






 ……は?今なんて?陽菜が義妹?いやいや、そんなわけがないだろ?陽菜は知り合ったのは最近だし、そもそも名前が『はるな』じゃないし。


「陽菜…?それは本当なのか……?」




「湊さん、陽菜ひなじゃありません。私の本当の名前は、陽菜はるなですよ?」




 ……?名前を、変えた…?どうやって。どうして。何故。


「ふふっ。なんで、って顔してるから説明してあげますね?」


 そう言って彼女が語りだしたのは、今まで考えもしなかった衝撃的なことなのであった…。


「じゃあ、まず。私が義妹って、ヒント結構あったと思いますよ?」


「……いや。だって。『はるな』って聞いてたから…。」


「ええ。そうですね。まさか私から聞いてたのと違う読み方をするとは思いませんよね。」


 ………そりゃそうだろ?陽菜と仲良くなって。あいつにざまぁして。すぐに義妹かもしれないっていう結城さん、あ、春菜が居たんだから。


「けど。私が湊さんの家に行ったとき。湊さんのお母さん、妙な反応してませんでしたか?」


 ……あぁ。あの若干失礼にもとられられるようなやつか。あのときはたしかに妙だなって思ったけど…。


「多分、お義母さんは私が義妹って気づいてたんですよ。」


 そうだったのか…。けど、まだ疑問は残っている。


「じゃあ。なんで名前を変えたんだ?」


「それを説明するには、小野田さんのことを振り返る必要がありますね。」




 ___





「まず、私達はヤクザに復讐してもらおうって話してましたね?」


「……うん。」


「それを私が提案したとき、なんて言ったか覚えてますか?」


 ……確か。すぐに刑務所から出てきてしまうだろうって。それと、


「絶対に。陽菜は、絶対にヤクザは動くって言ってたな。」


「そうです。なんで、


「それは…。」


「……わからないですよね。それは、


「それってつまり…?」


「ええ。私は、母親に頼み込んで復讐をしてもらうように頼んだんです。」


「……だから、相手のヤクザの長の家に直接証拠を送れたんだな。」


「ええ。そうです。」


 ……だから。俺たちはヤクザからの逆恨みの復讐が来なかったのか?


「けど、証拠を送ったらお母さんはこう言いました。『これを警察に突きつけたら許さないからね』と。」


 流石。ヤクザと結婚しただけのことはある。実の娘も脅すとは。


「もちろん、そう言われる可能性も考えていた私は、一旦警察にはヤクザの画像は提出してないんですよね。そして、『証拠は出さないから、変わりに相手の女のことを襲撃して』と言ったわけです。」


「……そうか。陽菜は、裏で色々動いてくれていたわけだな?」


「ええ。そうですね。けど、小野田さんが刑務所に入っちゃったので、襲撃はもう少しあとみたいですけど。」


「……なんか。暴行罪だけじゃ刑務所に入らないって聞いたけど?」


「そこは触れないほうがいいってものです。私の母が圧力かけたとかそんなんじゃないですからね?」


 ……アッハイ。


「で、質問されてましたね。なんで、名前を変えたのかって。これも、お母さんの再婚が関係してるんですよ。」


「……?」


「そもそも、私の両親が離婚した理由ってお父さんの探偵業が安定しなかったからなんですよね。」


「……そうだったのか。」


「けど。私とお父さん、二人分のお金はある。けど、お母さんには収入がないってことで、親権はお父さんがとったんです。」


「だから、陽菜はお父さんと二人で暮らしてるのか。」


「…ええ。けど、私はお父さんもお母さんもふたりとも好きだったので。連絡をとっていたんです。」


 こういう話をされてる時って、なんて返したら良いのかわかんなくなるよな。


 自分ではよかれと思った言葉で傷つくことだってあるわけだし。


「けど。私のお父さんはお母さんがヤクザと結婚したって聞いて、急に恐れだして。まぁ無理ないってのはわかってるんですけど。」


「湊さんのお母さんと私のお父さんが離婚したのもそのせいです。私のお父さんが迷惑をかけたくないからって言って別れたそうです。それ以来、私と湊さんは会うことがなかったんですよ。」


「なんで別れたのかなって気になってたんだけど、そういう理由があってのことだったんだな。」


「そうですね。それで、お父さんは名前まで変えて絶対にお母さんたちに関わらないようにしようって。まぁ私は連絡とってたので無意味っちゃ無意味だったんですけど。」


「けど、名前の読み方は変わったけど漢字は変わってなくないか?」


「……それはですね。私の強い要望でした。どうしても、お父さんとお母さんが考えてくれた漢字を捨てたくないって。」


「だからか。」


「そうです。あー。やっと、全部言えました。私、ずーっと言いたくて。気づいてほしくてウズウズしてたんですよ?」


「それはごめん。」


 流石に、俺には某コナソくんみたいな推理力はないわけだから…。


「まぁ、全部伝えられましたし。私の湊さん、これからもお願いしますね?」


「こちらこそ、お願いな。」


「じゃあ、デートの続き行こ?。」


「あぁ。行こうか、。」






 _______





 これにて完結です。


 ここまでお読みいただきありがとうございました!


 ちなみに、なぜ陽菜が母の連絡先を知ってるのかと言うと、陽菜が一人で留守番の時に陽菜の産みの母が家に来て、連絡先を渡して去っていったようです。


 それを持っていたので、陽菜はお母さんと連絡できてたってわけですね。


 最後に。本当にありがとうございました。


 この最後の結末が書きたくて、わざわざあんまし好きじゃないNTRを書いたんです。


 もしかしたらアフター何個か投稿するかもしれませんが、一旦はこれで終わりです!


 そして!


https://kakuyomu.jp/works/16817330659887740912


 新作です!現ファンとラブコメ混ぜ混ぜしました!読んでってください!


 ってか全然伸びないんですどうか読んでいただきたい……


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