「あ、きたきた。浮気野郎。」


 帰ってきての第一声がこれだ。海斗。そりゃあないだろ?まぁ笑いながら言ってるからネタなんだろうけども。


 ってか、もう鬼ごっこは終わったのか?そんなに時間立ってない気がするんだが?


「やめてくれぇ。誤解されるし。ってか鬼ごっこは??」


「わかってるよ。お前が唐沢さん以外になびくことはないってな。あ、鬼ごっこはもう終わったぞ?疲れたんだ。お前が見つかんねぇし。」


 ……本当にわかってくれているのか?


 それに、さっきからなんか気まずい。俺が一方的に気を遣ってるだけなのかもしれないが、結城さんと目を合わせづらい。


「いや、けど田上くん、春菜ちゃんと変な空気なってるけど?」


 ………染井さん。どうしてそれに気づいてしまうのか。そっとしておいてくれよぉ!


「あ、……やっぱりなんかあったんだね…。」


「違う!何もなかったから!!」


 望月さんのさらなる追求に、結城さんは反論するも、いやいや。その言い方はなんかあったようにしか見えないが?


「はい!何もなかったから!!終わり!」


「むぅ……まぁいいか。もっと遊ぼうぜ?なんか貸し切りっぽくなってるから。」


「いや、お前疲れたんじゃなかったのか…?」


「もう休憩終わったんだよ!!」


 なんやかんやでその後は皆で泳いで、水をかけあって、スイカ割りして。


 楽しい時間が一瞬で過ぎていってしまい、もう帰る時間になってしまった。


「じゃあな!!!」


 そう言って、結城さん以外の四人とはここでさよならだ。


 なんでも、あの四人は中学校時代からの同級生だったらしく。


 俺と結城さんだけ、家の方向が違うらしい。


 二人で、少し暗くなった道を歩く。


 朝はただの友達だと思って一緒に居たのに、今はもしかしたら隣りにいる人が義妹かもしれないとか考えてしまう。


 本当に、結城さんが義妹なのだろうか?


 条件は、合致してるけど…。名前が、「はるな」で。小さい頃に、会っていた。


 ……うーん?


 考えれば考えるほどにこんがらがってしまう。


「ねぇ、?湊くん?」


「……なんだ??」


「あのさ、今日の昼にいったことだけど、別に気にしなくてもいいんだよ?だって、今こうやって仲良く出来てるんだから。」


「……けど気になるからなぁ…。」


 仲良く出来てるのは嬉しいし、結城さんの方から絡んできてくれたから感謝している。


 ……けど、気になるものは気になるんだ。


「まぁ考えてくれてもいいんだけど、そんなに難しい顔されたらなんて言ったらいいかわかんないから。」


 ……あー。ちょっと申し訳ないことしちゃってたのか。


「……ごめん。明るく行くわ!」


「うんうん!そっちのほうが絶対いいよ!!」


 一回調子を取り戻してからは今までが嘘だったかのように会話が弾んで。


 女友達と話すのも楽しいじゃん、と思って一日が終わったのであった…。





 _______





 ただ、翌日の日曜日。急遽陽菜と会うことになって、近くの公園に向かった俺は、問い詰められることになったのであった。


「湊さん?浮気ですか??」





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