9 復讐劇後、改めて告白

 ………え。なんで。どうして。言葉にできない、疑問。私を、切り捨てるってこと?


 やめて。やめてよ。私は、湊さんのことが好きだったのよ!


「だから、陽菜。俺と、」


 だめ。その一言だけは言わないで。お願いだから。お願いだから。




「改めて、隠すことなく、付き合ってくれないか?」




 ……!!



「………なんで。関係、終わりにするんじゃなかったの?」


「そうだぞ?隠すような関係を、終わりにするんだ。」


 ……ずるい。そんな言い方、もっと好きになっちゃうじゃん。


 隠さなくても、いいんだ。私、やっと彼と堂々と付き合えるんだ。


「湊さんは、本当にそれで良いんですか?私みたいな、コミュ障で誰とも話せないようなやつで。」


「そんなのは、関係ないんだよ。俺は、陽菜のことが好きなんだ。だから、陽菜には俺の彼女になって欲しいんだ。」


 彼は、私のほしい言葉をいつもいつもかけてくれる。本当に、大好き。


 私は、返事もせずに彼の胸に飛び込んでいく。


「……はい。もちろんです。大好きですよ。湊さん。」


「俺も、大好きだよ。陽菜。」





 _______





 翌日。学校に行くと、あいつは自分の席でうなだれていた。


 俺と別れたのがそんなに悲しかったのか?自業自得だって言うのに。


「湊さん!」


 呼ばれて振り返ると、昨日から堂々俺の彼女になってくれた陽菜が立っていた。


「おはようございます。」


「あぁ。おはよう。」


 ……可愛い。今までは前髪で目元を隠して、メガネをかけていたのだが、なんか全部変わってる。なんだろう。陽キャの人がする髪型って感じがする。とにかく可愛い。


 また、今まで教室でほとんど話したことがなかった陽菜が、それもあいつと付き合っていると思われていた俺と話したことで、クラスは騒然とした。


 もちろん、真っ先に話しかけてきたのは悟さんで。


「え?お前。小野田さんと別れたのか?」


「……あぁ。理由はまだ言えないけどな。」


 流石にここで理由を言ってしまうとなんだかんだめんどくさくなりそうだし。


 それに、もうすぐ呼び出されるだろうしな。今公開してしまう必要はないんだ。


「……そうか。で、?あの人と付き合い始めたのか?ってか、あんなにかわいい人うちのクラスにいたっけ?」


「唐沢さんな。陽菜。イメチェンしたらしいぞ?昨日までとは全然違うし。」


「やばいな。狙っていいか?」


「だめだ。許さん。陽菜は俺の彼女だからな?」


 あっ…?陽菜、まだ二人の秘密がいいって言ってたっけ…?まぁいいか。


「む…。惚気けられた……。」


 いやいや。事実を言っただけだし。本当に狙われたら困るし。


「へー。田上くん、唐沢さんと付き合ったんだ。じゃあ、小野田とは別れたってこと?」


 えーっと?この人は、あ…。結城さんだ。結城春菜さん。


「……まぁ、そういうことだね。」


「じゃあ、私とも仲良くしてくれる?今まで、あいつのせいで田上くんと全然話せなかったんだよね。」


 ……ふーん。俺の知らないところで、あいつの悪い影響があったってことかぁ…。


 やっぱ、別れて正解だったな。


「……あぁ。友達として、これからよろしくな?」


「ヘヘ……ありがと。」


 結城さんと友達になったところで、チャイムが鳴り、みんながぞろぞろ席につく。


 そして、みんなが静かになったところで、校内放送が入る。


『3年2組の小野田さん。今すぐ、職員室に来なさい。』


 またまた、クラス内はざわつく。そんな中を、あいつは気まずそうに歩いていく。


 顔面蒼白になりながらだ。


 教室を出る前に、俺と陽菜の方を見て、ガンつけてきた。


 そうだよ。俺達がやったんだ。あんな生ぬるい復讐で終わるわけないだろ?


 まぁ、せいぜい頑張るんだな。どんな言い訳をするのかは知らないがな。






 _______





 滅亡へのカウントダウン。


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