第9話 原罪
濃縮された甘美な血の香り。
へし折られ、押しつぶされ、切り刻まれた無残な同胞たちの屍の山。名も無き一匹の獣は、同胞たちの屍の上で立ち尽くす。
何百、何千という同胞の死を糧に、本能のままに暴れるだけだった思慮無き獣。いつしか、彼は知性を手に入れた。
手に入れて、しまった。
果てしなき後悔と、体に刻まれた何千、何万の罪。
ただの獣であった頃には感じることの無かった胸の痛み。
そして知性を得た獣は考える。
今まで奪ってきた命と。
そしてこれから奪うであろう無数の命の事を。
彼は無数の命と、死を背負って生まれてきた。
半端な生き方は許されない(奪ってきた、またはこれから奪う命が許さない)。
獣はゆっくりと目を閉じ、己が運命を悟り、一粒の涙を流した。
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