第7話 世界は広い

 引き込んで溺れるような心の渦も、時間が経てば収まり静かになる。意識が体の外に向く、ずっと浮いた体に何度も打ち付けた波の飛沫は白い粉を体につけ始めていた。コウスケの手よりずっとしょっぱい水に囲まれてることにようやく気づく。


 お腹がすいた。

 が、何を食べたらいいか分からない。

 どこに行けばいいかわからない。


 月の光を浴びながら星を眺める。広い。果てがない。

 月の色が抜け、夜が白くなる。水平線の小さな光が、世界を白く輝やかせる。

 暖かい。

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