第8話 接着剤の中身が半分ガムシロップみたいな女
今日は日曜日。
愛加と華恋は、二人とも休みだからいつもなら一緒に居る。だけど今日は、華恋は同級生の友達と遊びに出かける約束らしい。
華恋と付き合い始めて、まだ二ヶ月経ってないんだけど、休みの日はずっと一緒に居たから独りになるのは久しぶりだ。
「たまにはのんびり出来ていいような、ちょっと寂しい気もするような・・・?」
だけど、せっかくだから、フリーだった頃みたいに過ごそうと、何をしようか考えているところ。何も考えずに街に出るのも良い。面白そうな映画があればそれを観るのもいいな。
着替えて、軽く化粧。アクセをつけて気分を上げる。イヤホンと、お気に入りの曲を流して、、さ、出かけますか。
すると、玄関のチャイムが鳴る。ネットで何か頼んだっけ??
トントンっ。
「あなたを溶かすアイスクリームでーす♡」
(え、アイスクリームが溶けるんじゃないの?)
(っていうか、この声は、、)
ガチャ。ドアを開ける。
「わ。華恋、、どうしたの?友達と遊んでたんじゃ、、」
目をうるうるさせて愛加の首に両手を回して抱きついてきたのは出かけてまだ数時間しか経ってない華恋だった。
「会いたくて戻ってきちゃったの。」
「ああ、いい匂い。。あのね、パンケーキの美味しい喫茶店に行ったのに、愛加の方が甘い匂いだったよ?」
「え、それ逆に自分が心配になるんだけど!?」
「大丈夫。メイプルシロップが泣いて逃げるよ♡」
「え、メイプルシロップ好きだから嫌だそれっ!」
「あんっ、落ち込まないで?その顔、襲いたくなる。」
「っていうか、友達は?」
「あ!他の女が気になるの!?ダメよ?!」
「ちがーう。失礼なことしてない?」
「あ、そういえば、友達なんだけどね。最近女の人に告白されたって悩んでた~。」
「そういう相談されたの?」
「うん。あのね、私たちみたいに全力で愛し合えるなら性別は関係ないって説いてきた。」
「ねぇ、やっぱり一時も離れていられないと気づいたの・・・。もっと抱きしめて?」
「え、とりあえず靴脱ごうよ?あと首に巻き付いて足浮かせるのやめて、重い。」
「え、なんか冷たい。。でも私、涙目で追いかけたいタイプだからそういうのも好き♡」
「こんな接着剤みたいにくっついてて追いかける必要ないでしょっ!」
「冷たい~!愛してるって言って~!」
「愛してるよ♡」(豹変できる女)
「わ、私もっ!」
「あれ?私もじゃなくて?」
「ごめんなさいっ!私も愛してるっ!♡」
「映画観に行くけど一緒に行く?」
「あなたとなら、、どこへでもっ!!」
独りでも楽しめる愛加。
独りではいられない華恋。
玄関は開いたまま。
二人の愛は隣の部屋の人に迷惑だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます