第2話 彼女が好きすぎて困るだって好きなんだもん好き!

 私の名前は六浦華恋。都内の会社員。25歳。


 私の会社は夜遅くまでお客様の対応があるため、たまに遅番というシフトがある。昼過ぎに出勤して22時までのシフトだ。とはいっても、遅い時間のほとんどが会社で雑誌を読んだりネットを見ているだけの時が多いんだけど。


 そんな私が遅番で楽しみにしているのが終わりがけのこの時間。大体21時くらいかな。たまに見かける女の人。オフィスの窓から見える陸橋に、いつもぼーっと一人でしているだけの、私の癒やし。


 最初はなにしに来てるんだろ?お散歩かな?この辺に住んでいる人かな?って興味が湧いて、良く見るとシルエットが私好みで!気になって気になって、いつか待ち伏せして話しかけてしまっていた。


 おかげさまで、今では私の彼女様なんです~!!!!♡♡♡

 いやぁ~、神様っているよねぇー!きゃーーーー!


 で。今日は金曜日で、私たちは明日から土日とお休み。私は今日、22時までが仕事。彼女様が今、私たちの運命の場所に迎えに来てます。あ、めまいする。


 ビルの6階から愛しの彼女を眺める。


「ああ、私を待っているのね・・・♡」


 思わず、スマホを取り出し、豆粒サイズの彼女を連写する。

(パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ)パパラッチ


「付き合う前もこうやって撮っておけば良かったなぁ~!」

「うう。。かわいいよぉ。素敵。こっち見て?私今見てるよってメッセージ送ってみよう。」

「あ、スマホ見てる。きゃー!こっち見たっ!あ、すごいわかりにくいけど手振ってる!恥ずかしいの?きゃー!かっわいい!!!」(ハードなアイドルグループファン並み)


 ちょっと前まで、こんな幸せが待ってるなんて思わなかったよ~!

 恋する私は退勤時間ちょうどにタイムカードを押すと、エレベーターで降りて小走りに陸橋へと向かう。これ、カラオケのPVとかに使ってもらって構わないんだけどってくらい恋する女子っぽいよ。


 陸橋の階段を登りきると、そこには目を細めて優しく笑う天使のような彼女が・・・。


 あああっ!この陸橋、昼間はカラスとか鳩とかばっかりで使わないけど、夜はなんて素敵なんだろう。。恋人岬みたいな名前つけたい。恋人陸橋ってなんか演歌みたい越境?みたいな。後で考えよう・・・。


「愛加っ!お待たせ!♡」


 やばい。好きの勢いが有り余って、そのまま二人で下に落ちそうなほど飛び込んでしまった!ドスッ!


「うっ・・・!いたた。お帰り、、お疲れ様、、。」

「ごめん、会いたかったと好きが相まってここからダイブしてしまいそうだった。」

「あはは、お疲れ様。疲れた?」

「ううん。愛加に会えるからと思えば疲れる暇ないよ。見てこれ。さっき連写したの。」

「うわ。同じ写真が30枚くらいある。笑」(盗撮された自分)

「付き合う前からこんな感じで愛加のことがあのビルの上から見えていたんだよ?」

「そっかー。外で変なことってできないもんだねー。」

「え!今、ちょーキスして抱き合う予定だったんだけどっ!!?」

「え?会社の近くでそれはまずいんじゃない?」

「まずくないよ。ここは二人の世界なので。」(公共です)


「ね?おねがい?しよ?しよ?」というビームに負けて、愛加は自宅の近所で華恋と熱烈に抱き合いキスをした。ちなみにわりと陸橋の上は夜でも人がいると目立つ。


 付き合いたてとはいえ、甘過ぎる彼女というより、甘いものをもって投げながら追いかけてくるような彼女であった週末テンション。

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