第16話 森で出会ったお姫様
「ただいまー!!」
列車が着き、向かう場所が違う鳥南と別れた後、急に叫んだラビジェルの後ろ襟をエンジェルはぎりぎりとわしづかみした。
「ラビちゃん、戦争は多分まだ終わってないの。そんな大きい声出しまくって光ノ星にでも見つかったらどうするの」
「でもここで待ち構えたりとかしてないってことは大丈夫じゃないの?」
「そういう問題じゃないんだよ」
ちぇっ、と頬を膨らませるラビジェルの背中をぽんぽんと叩いて「行くよ」と促す。
ここは化物界ではそこそこ大規模な駅で、ここから家までのルートは五パターンほどなら記憶している。
目標地点はかつて家があった場所。
怪光戦争は始まってから四年経ち大分落ち着いていたが、先程妹に言ったようにいつ兵士などと遭遇するか分からない。
なるべく慎重に、辺りを警戒しながら自宅への道筋をたどる。
林を抜け、大きな湖の縁を渡り、山を登って下りたらそこの集落にある家から探せば良い。
大体の道のりならば少しくらい変わっていても分かるはずだ。
それをラビジェルと共有して出発――別段特異なことはなく、安定した足取りで向かえていたが――
「誰っ――!?」
虫の音や草花の音にも警戒しながら山を登っていたエンジェルの研ぎ澄まされた聴覚が、普通山にあるはずのないヒトの気配を敏感に感じ取った。
睨み付けるように音のした木陰を見つめる。
どうか、どうか集落のヒトや化物界の住民でありますように。
そう祈りながら見つめていた先から出てきたのは、エンジェルの望んでいた者ではなく――
「えっと……」
ホワイトレインボーの髪を編みこみのツインテールにした少女がこちらを窺う姿であった。
「なにを、しているの?」
エンジェルと年の変わらない少女へ憎しみを込めた声をぶつける。
彼女が着ているのは柔らかそうな布地のワンピース。靴は銀のラメがところどころに着いているブーツ。
間違いなく彼女は光ノ星の者であった。
「道に迷って、その、別に山の下の集落を襲おうなんて全然思ってなくて……えっと…」
エンジェルはラビジェルに目配せし共に臨戦態勢をとった。素手なのは痛いが仕方がない。
ある程度の護身術ならば幼稚園の頃心得ている。
私たちには『力』がある。
挙動不審な少女の態度も言動も怪しすぎる。
今ならば守るための『力』を使っても良い時だろう。
エンジェルにとって唯一の攻撃の『力』。そのエネルギーを手に込め、今放つと思ったその時。
「フォー・ソーマL!」
名の知らぬ少女が放った
動けなくなった私たちに彼女は語りかける。
「話を聞いて。話をさせて」
「……何」
「私の名前は
右足をぐっと踏みしめて彼女は大きく息を吸った。
∴*∴あとがき∴*∴β
第3章です( ≧∀≦)ノ
こんな作品しか書けないのに生意気だと思いますが、ここまで書けたの本当に初めてです。飽き性でどうも上手くいかず…。
あまり多くの方には見てもらっていませんが、今好きで書いているのでラストまで書いていけたらいいなと思います!
読んでくださる方々、これからもどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m!
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