第19話 山の天体観測~完~

佐倉と、孤木さんが消えてもうすぐ1時間……なんだか凄く悪い予感がする……

いや、ちがうよ?別に私が佐倉に惚れた訳じゃないんだけど……やっぱり心配だ……

孤木さんの本当の姿を知ってから初めての顔合わせ、孤木さんは割と普通で目が合っても特に何も無かった。

「大丈夫?顔青いよ?」

顔をのぞかせながら森本先輩が水をくれた。

「もしかして、佐倉くんが心配?」

心臓の動きが早くなる。

「んなっ!そんなこと……」

くひっと先輩は意地悪そうに笑った。

「やっぱり図星か。」

でも、本当の事だ。

今は蜂田先輩たちのグループが佐倉救出に向かっていると聞いた。

「蜂田なら大丈夫だよ。」

森本先輩が言った。

「信頼しているんですね。」

「…そりゃあ、ね。」


木の葉がザワザワと揺れるのが遠くで聞こえた。


_______________

雲行きが怪しかった。

ザワザワと揺れる葉っぱ。

隣にはるぅ。

会話はあんまり続かなくて、顔も薄暗くてあんまり見えなかった。

風が冷たくなってきたから、さりげなくるぅに毛布をあげた。


しばらくすると、

「佐倉ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!無事かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

という近くにいた鳥も逃げるレベルの声が聞こえた。

この声は多分……蜂田先輩か?

「ここにいます!」

すると輪っかが作られたロープが降りてきた。

あまり崖は高くなかったから直ぐに登ることができ、その後、俺たちは先輩達に死ぬほど心配され、澄川先生にはこっぴどく叱られた。

まぁ、これも思い出ということにしておこう。

最悪の結果でこの山の天体観測は幕を閉じたのであった……

(ナレーション:糸野井)

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