第15話 凪vsるぅ
「えっ…」
言葉が出なかった。
なぜ?
なぜ私の秘密が孤木さんに?
なぜ?
佐倉がバラした?
いや、あいつはそんなやつじゃない。
そうすると孤木さんはスマホを取り出し、写真フォルダを開いた。
そこにあったのは
あの時の、写真。
天文学部の天体観測の日、
赤い夕日が沈む前のあの時間、
望遠鏡を取りに行った倉庫の、
あの写真。
喉の奥がヒュっと音を立てる。
裸足に伝わる床の温度がやけに冷たくて、
何も言えなかった。
「たまたま見ちゃった。」
思い返してみれば、鉄の棒が倒れたとき、真っ先に来たのは先生でもなく、先輩でもなく、
『凄い音がしたんだけど大丈夫ー?』
孤木さんだった。
「どっかで君の姿を見たことがあると思ってたの。そしたらなーんだ。あの時の男装野郎だったんだ。」
目が、笑ってない。
「ねぇ、君。天ちゃんのこと好き?」
佐倉は私を救ってくれた。
ありのままでいいと言ってくれた。
「好きだよ。これだけは譲れないから。」
私の決意は固かった。
はぁーーーー
と孤木さんの深い、長いため息がやけに広く感じる部屋に響く。
「ほんっと、鬱陶しいよね。あんたみたいな男装野郎がどんな過去を捏造してヒカ君に同情を売って、愛されようとするなんて。あんた何様なワケ?あんたはヒカ君のこと好きとか簡単に言うけど私はずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと大好きだったんだから!あんたなんかがヒカ君のこと好きだなんて言わないで!!」
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