第2話 m
初めて魔法を使った時の感動。
家族との思い出。
友達と遊んだ記憶。
初恋の人と過ごした時間。
それらの全てが走馬灯如く駆け抜けガラスが割れる音
「あっ…………」
目の前にあった景色が崩れていく。足元からどんどん崩れ落ちていきやがて闇に包まれた。
――
次に目覚めた時、そこは見覚えのある天井だった。
「……ここはどこだっけ?」
起き上がると、そこはいつもの寝室だった。
「あれ?確か森の中にいたはずなのに……」
不思議に思いながらもベッドから出て部屋を出ると、リビングには朝食の準備をしている母がいた。
「あら、おはよう。朝ごはん出来てるよ。早く食べなさい。」
「おはよう……お母さん。」
テーブルの上にはトーストにベーコンエッグ、サラダが置いてあった。
「いただきます。」
黙々と食事を進める。ふと気になってテレビをつけるとニュースをやっていた。
「昨日、また通り魔が出ました。幸い被害者は出ませんでしたが、犯人はまだ捕まっていません。皆さんも十分に注意して下さい。」
「最近物騒よね……あなたも夜遅くまで勉強しないでちゃんと寝るのよ。」
「分かってるよ。」
朝食を食べ終わり学校へ行く準備をする。
「それじゃ、いってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
玄関を出て、家を振り返る。
(本当に帰ってきたんだ……)
そこは紛れもなく自分の生まれ育った家だった。
しばらく歩いていると、後ろの方から誰かが走って追いかけてきた。
「おーい!待ってくれぇ!」
振り向くと、そこには幼馴染の男の子の姿があった。
「君が好きだ息ができなくなるほど思い通りにならない事も判ってる。」
目が血走り、手にはナイフを持っている。明らかに正気ではなかった。
「な、何をしているの!?」
「あああああ!!!」
男が叫び声を上げながら飛びかかってくる。必死に逃げようとするが足がもつれて転んでしまった。
「きゃぁぁ!!」
恐怖で目を閉じる。だが次の瞬間地面が割れるマグマが彼の顔に
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
男は絶叫しながら高温に体が崩れ落ち
痛みを堪え絶叫する。
「思い通りににならないこの世界はいらない魔王にくれてやる。世界よ滅べばー」
魔方陣が光り出し光が男を包み込む。
「うわあぁぁぁ」
断末魔と共に男の体は光となって消えていった。
「何これ……?」
訳がわからなかった。
ただわかることは、これが夢ではなく現実だという事だけだ。
「おい、大丈夫か?」
突然、背後から話しかけられた。
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