第4話
僕と結衣が中央政府へと帰ってきたその日は玲衣と桜を交えて食って飲んでの大騒ぎのパーティーを行った……僕の部屋で。
現在、僕のぬいぐるみたちが目下掃除中である。
「……んっ」
ぬいぐるみに部屋の片づけを任せて僕が何をしているのかと言うと……暖かなお天道様の下、日向ぼっこをしていた。
「……何?」
暖かなお日様の下でだらけていた僕を邪魔するように顔を出して日差しを遮ってくる桜へと声を向ける。
「貴方はこんなところで何をしているの?……一応柴旅も神祇官扱いなんだから働きなさいよ」
「でも、僕は違うから……」
「じゃあ、ちゃんとした神祇官になるために勉強しなさいよ」
「でも、僕は君と違って神祇官扱いだから……」
「もう!我儘ばっかり!そんなところでダラダラしているんじゃないわ!結衣さんを見習いなさい!あの人は今日から神祇官の卵たちのところに行って色々と面倒を見て上げているというのに!」
「……僕が言っても心折るだけだよ?」
僕は桜の言葉にそう返答する。
結衣は周りの子を励ましたり、導いたりするのが得意だが、僕はまるで得意じゃない。
絶望的なまでの才能差を見せつけて周りのやる気を削ぐのが関の山だろう。
「……うぅ。それも、そうね……貴方は本当にチートだし……」
「チート扱いされるのは不満だけどね?」
「……まぁ、それもそうね。確かにしていい扱いじゃなかったかもしれないわ。ごめん……って!そんなのはどうでも良いのよ!私の目が黒いうちは柴旅をダラダラのダメ人間になんてさせないんだから!ちゃんと働いて!」
「えぇー」
「神祇官は常に人手不足!神聖術の教育とかは問題なく出来るでしょ!ちゃんと適材適所で働かなきゃ!」
「……僕、給料もらっていないんだけど」
給料ないのに働くとはどういうことか……?労働基準法は何処に行ったんだ?こんな世界でもあの子は生きていたはずだ。
「いつまでも結衣さんのひもでいて良いわけないじゃない!ほら!ちゃんと給料もらえる立場になるために努力するんだよ!」
僕は桜に引きずられながら強制移動の刑となっていた。
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