第3話
僕と玲衣がダラダラ談笑していると、今度はチャイムもなしに僕の家の扉が開かれる。
「給料を持ってきたわよ」
僕の家の中へと入ってきたのは神祇官を管轄している神祇院の方に依頼の達成報告と眠っていた神様の核の提出を行い、僕たちが外出していた分の給料をもらってきてくれる。
キャッシュレスが当たり前となった今でも、現金支給にこだわる神祇院は僕らが外出しているときの給料を口座に振り込んでおいてくれるなんてことはない。
「……なんで、神祇官でもないお前が金銭を貰えるんだよ」
「まったくだよ……もう僕の立場的には神祇官そのものなんだし、神祇官扱いしてくれても良くない?」
僕は玲衣の言葉に頷き、不満を漏らす……玲衣が言っていた言葉のニュアンスは僕が言いたいこととは違うなんていうツッコミは受け入れない。
「柴旅が未だに筆記試験でボロボロなのがいけないじゃん……なんであぁ、も低い点数ばかり取るの?びっくりしちゃうわ」
結衣と一緒に僕の部屋へと入ってきた僕と同じくらいの背丈の少女、天渡桜が僕に向かってため息交じりに告げる。
彼女は結衣に憧れて神祇官を志した少女の一人だ。
「……君も落ちているじゃん。筆記。まだ実技受かっている僕の方がマシでしょ」
「わ、わ、わ、私はまだ若いから良いんだよ!」
「……ねぇ、玲衣。僕と桜。年齢に差があるように見える?」
「まぁ……同じに見えるな。が、お前の年齢は一体幾つなんだよ。それがわからねぇよ」
「それは僕もわかんない……僕、昔の記憶ないし?」
気づいたときには中央政府にいて、結衣と共にあった。
どうも昔の記憶は曖昧なのだ。
「お前らのコンビが一番不気味だよな……」
「え?私……?私は言ったって普通でしょ。ちゃんとここで生まれて、ここで育ったわよ?玲衣も私の先輩として学校に行っていたからわかるでしょ?」
「じゃあ、お前と一緒にいるそいつの素性を教えてくれよ……いきなり拾ってきやがって」
「それはちょっと……」
玲衣の言葉に結衣が視線を逸らす。
「そこが不気味なんだよ」
「そうよ!正体不明のあなたに実技に負けていても恥じゃないわ!というか、柴旅の神聖力保有量と神聖術の運用方法はもはやズルの域じゃない!」
「そう言われても困る……」
僕は桜の言葉に唇を尖らせ、困惑の声を上げた。
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