第2話

 勝手に酒瓶とおつまみをテーブルへと並べ、椅子へと深々と腰を下ろして完全にくつろぐ態勢を作り出した玲衣は僕へと次々話題を振ってくる。


「んで?村の女の子を一人くらいは抱いたか?」

 

 興味津々と言った様子の玲衣が僕へと疑問の声を投げかけてくる。


「うん。抱いたよ、一人……神聖力が豊富で強い神祇官になれると思う将来優秀な子だよ」


「かーッ!神祇官どうのとかどうでもいいーっつの。はぁー、またお前は抱いたのか……これでお前の肉体関係を持った人数はいくつになるんだが。俺が知るだけでも十は超えるぞ?ったく。羨ましい話だなー、おい。俺は未だに寂しくここの店での経験しかないってのに」


「生物が子孫を残すために行うべき生殖行為を行えないなんて……どんな欠陥動物」

 

 生物は子孫を残し、その子孫へと自分が先祖より受け継いで更に継ぎ足してきたものを託していくものだ。

 それが出来ない生物など……どんな意味があって生きているのだろうか?


「喧嘩なら買うぞ、ゴラァ」


「僕の城で僕に勝てると?」

 

 喧嘩腰で僕を睨みつけてくる玲衣に対して僕は部屋中にある数多のぬいぐるみを向ける。


「……やめろ、お前なら冗談に対してもマジになってフルボッコにしてきそうだ」


「あっ、なんだ……冗談なのね」


「ったり前だ。お前に喧嘩を売っても俺がコテンパンにされるだけだろうがよ……にしてもお前は良いよなぁ。顔が信じられないほど良いから」


「……そんな良い?」


「良いに決まってんだろ……こんちくしょう。結局顔なのか……普通に考えればめちゃくちゃ顔が良くてめちゃくりゃ強い男の子が最初から好感度マックスで優しくしてくれるんだ、そりゃ惚れるよな……ましてや相手が未だ初恋前の女の子とかだったら劇薬だ……もう二度と忘れることなんて出来ねぇ。とんでもねぇ……劇薬。顔が良いってのは罪だなぁ」


 ……劇薬。

 何か、言い方的に僕が危険物みたいでいやだな。


「男女逆転させてみれば……強くて美人なお姉さんとの初めてだろ?……羨ましいなぁ!おい!俺にそんなお姉さんをくれ!」


「……玲衣にとってお姉さんだと……年齢的にもう……」


「うるせぇ、黙れ。現実は要らないんだよ……クソ。俺も神祇官で色んな村回ってんのになぁ……なんでフラグが立たねぇんだ」


「それは玲衣からちょっと変なにおいがするからじゃない?」


「もうその匂いの話はやめてくれよッ!?オーバーキルだぞッ!?」

 

 僕がふと思った原因を口にすると、玲衣は半泣きながらそう叫んだ。

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