エピローグ

 当初の目的を果たし、ついでに村の問題も解決した僕と結衣はそろそろ中央政府の方に戻らないと不味い頃合いだった。

 そろそろ死亡扱いにされてしまう頃合いなのだ……神祇官とか死にすぎてちょっと帰ってくるのが遅いくらいでサクッと死亡扱いにされてしまう悲しい職業なのだ。

 まぁ、僕は神祇官じゃないけど。


「……もう、帰るの?」


「うん。ずっとこの村にいるわけには行かないからね」

 

 いつの間にか代替わりしていた新・村長並びに村の大人たちと結衣が別れの挨拶をしているところから少し離れたところで僕は花蓮並びに璃々夢と別れの挨拶をしていた。


「うぅ……ここに残ることは出来ないの?」


「そうだよ!ぜろであれば村の人たちであっても許してくれると思うよ!」


「いや、そういうわけにはいかないよ。この世界には僕たちの助けを待っている人が一杯いるからね」

 

 出来るだけ多くの人を救う。

 そんな信念を持つ結衣がこの村にとどまることはないだろう。


「「……うぅ」」

 

 僕の言葉を受け、花蓮と璃々夢が唸る。


「だから、ごめんね?」


「……わかった」


 花蓮が僕の言葉に頷きながらも僕の方へと近づいてくる。


「……ん?な」

 

 そんな花蓮へと疑問符をあげようとした僕の口が花蓮の唇によって塞がれる。


「……ちゅーッ!?」




「えっ!?……えッ!?!?」




「……んっ、はぁ」

 

 数秒ほどしてからようやく花蓮が僕から離れ、僕の口から言葉を自由に告げられるようになる。

 僕の唇から花蓮の唇へと伸びる糸が艶めかしい。


「必ず……必ず私はもっともっと強くなって、中央政府でもれっきとした戦力になれるくらい強くなるから……将来、私を迎えに来て?」


「うん。良いよ……戦力は常に募集しているからね。その申し出は大歓迎だよ。君が強くなったと思った段階で迎えに来てあげる」


「……ッ!絶対!絶対だからね!」


「うん。わかったよ……だから、ちゃんと花蓮も強くなるんだよ?」


「うん!」

 

 僕の言葉に花蓮が力強く頷く。


「良い返事だ。じゃあ、そろそろ僕は行くよ……それじゃあ、またね」


「うん!またね!」


「えっ……あっ!またね!」


 僕は二人のまたねという言葉を聞いてから、二人へと背を向けて話が終わっていそうな花蓮の元へと戻る。


「わ、わぁぁぁぁぁぁ……ちゅーした。大人だぁ」


「ふふん。私はもう大人だからね!もっとすごいことも経験したんだから」

 

「おぉぉ」


 そんな花蓮と璃々夢の言葉を聞きながら歩く僕は花蓮の横へとたどり着く。


「じゃあ、帰ろっか?」


 何故かはわからないけど呆然としている花蓮へと僕は声をかけた。




 あとがき 

 第一章は終わり。まだまだ続くよ。

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