第21話
何故か少しばかり気落ちしている花蓮を連れて洞窟の外へと出る。
洞窟の外には結衣を始めとした多くの大人たちが待っていた。
「……花蓮ッ!」
洞窟から出てきた 花蓮を見て感極まったように瞳に涙を浮かべながら叫んでこちらの方へと近づいてくる女性。
「……お母さん」
そして、そのまま花蓮に勢いよく抱き着いた女性のことを花蓮はお母さんと告げる。
「……お父さん」
また、そんな二人の元に近づいて、二入を無言のままに抱きしめた男性のことをお父さんと花蓮は呼ぶ。
親子の感動の再開と言ったところだろうか?
「なんで……?」
「ごめん……ごめん!ごめんさい……花蓮んんんん」
花蓮のお母さんは花蓮を抱きしめ涙ながらにごめんを連呼する。
そして、そんなお母さんに抱きしめられる花蓮も静かに涙を流し始めてそっと抱き返す。
「うんうん」
そんな感動的なやり取りを見てなんとなく頷いておいてからそっと離れて結衣の元に向かう。
「……結衣」
「柴旅。花蓮のことを守ってくれてありがとね」
「ん。それは良い……そんなことより遅い」
「それはごめん。想像より説得に時間かかっちゃって……」
「……おかげで今もう既に吐きそう。なんか感動ムード中だけど、周りの村人退けてもらえない?」
「ヤバい感じ?」
「けっここっぽぉ」
僕の口から黒い液体が漏れ出す。
「あぁー!結構ヤバいね!?ごめん!みんな!もううちの柴旅が限界みたい!ここで魔に堕ちた神様を開放しちゃうからみんな退いて!」
そんな僕を見て結衣が慌てて村人の人たちにお願いの言葉を告げ……それを村人はざわめきながらも素直に指示に従って僕と結衣から距離を取ってくれる。
「……良し」
それを確認した僕は口を地面に向けて、口を開ける。
「オロロロロロロロロロロ……ッ」
そして、全力で胃の中の者をぶちまける……胃の中に納めていた魔に堕ちかける神様を吐き出す。
「エグッ、ひっく……ぉえ」
僕が吐き出した黒い液体が数多くのナメクジとなって一つの場所に向かって進んでいき、最終的に一つの巨大なドロドロの怪物へと姿を変えていく。
「……うぅ。気持ちわる。もう二度と神様を胃の中に納めたくない」
僕の胃は少し特別で、神様を丸のみにしても大丈夫というよくわからない性能をしているのだ。
胃の中に納めて封じることで今の今まで花蓮のことを魔に堕ちかける神様から助けたのだ。
「よーし、すっきりした」
すべてを吐き出し終えた僕は神聖術で出した水で口をすすぎ、ペッと地面に向かって吐き出す。
あー、すっきりした。解放感。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます