第17話
洞窟で生活を初めてから早いことでもう一週間。
この一週間の中でこの洞窟はすっかり暮らしやすい場所へと変化していた。
ベッド、机、椅子、キッチン、トイレ、風呂は完備……トイレも風呂も仕切りはないので丸見えだが、僕と花蓮の関係であれば問題ないだろう。
「ねぇ、私にも神聖術って使えるの?」
この一週間でもうすっかり緊張が解けた様子の花蓮が明るい様子で自身の隣に座る僕へと尋ねてくる。
「んー、使えると思うよ?神聖術は誰でも使えるものだからね。この村にも使っている人いるでしょ?」
「確かにいるけど……そんなに数多くないし、選ばられた人しか使えないのかと」
「そんなことないよ。神聖力は神様が万人に与えた力だよ……まぁ、神聖力を蓄えられる量は生まれながらに決まっていて不変のものなんだけどね。それで言うと花蓮ってば神聖力の量めちゃくちゃ多いから他の人より有利だよ?」
「えっ!私ってば多いんですか!?」
「めちゃくちゃ多いよ。何なら結衣よりも多い……中央政府全体を見渡しても一番を狙えるほどに多いよ?」
花蓮の神聖力の量はマジでびっくりするくらいの量だ。
才能の塊と言える。
「えぇ!私にこんな才能があったなんて……!」
「中央政府で生まれていたら幼いころから
「……私でも結衣さんより強くなれるかな?」
「それはどうだろ?結衣は神聖力が低い代わりに肉体スペックが極端に高いゴリラだから……確か、あの人は筋肉の密度が常人の三倍くらいあるんだっけな?結衣ってば普通に素手で鉄を握りつぶすから恐怖だよ」
神聖力も大事だが、この過酷な世界で生きていくには素の身体能力の高さは当然のように求められる。
そういう意味では結衣の才に花蓮が勝っているかは微妙なところであろう。
「えぇ……」
僕の言葉を聞いた花蓮がドン引いたような声を上げる。
「まぁ、結衣のことは置いておいて、今は花蓮のことだよ……神聖力学んでみる?」
戦える者が増えれば増えるほど救える人が増えていく。
そんな風に結衣が言っていたし、花蓮を戦える人に育てることは良いことだろう。
「ぜひお願いします!」
僕の言葉に花蓮が力強く頷く。
「ふふふ。神聖力のエキスパートである僕に教えられる自分の境遇の良さに酔いしれると良いよ!」
僕はこれでも全人類の中で最も神聖力を理不尽に使うと言われるほどなのだ。神聖力の扱いに関して言えばほとんどの人に負けない自信がある。
「じゃあ、初歩の初歩からやっていこうか……厳しい特訓になるからちゃんとついてきてね?」
「はい!先生!」
僕の言葉に花蓮は力強く頷いた……少し気持ちいい。
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