第14話
昨晩、互いに求め合い、激しい夜の一時を過ごした朝。
「うにゃー」
僕はちゃんと起きて身支度を整え、優雅な朝食を食べていた。
「あっ、珍し……ぜろがこんな朝早くに起きているなんて」
そんな僕にのそのそと起き上がってきた璃々夢が声をかけてくる。
「今日の僕は調子良い日かな」
「へぇー、そうなんだ……ところでなんかちょっと臭くない?なんか変な匂いがするというか……」
「ん?そう?換気しとく?」
僕は腕を一振りで神聖術を一つ。
僕たち三人が食事を取る大きな机も椅子も、料理を作るキッチンも、床に並べて3つ置いてある寝るための布団も……生活に必要な風呂とトイレ以外のもの全てが揃っているクソ広い部屋の窓を全て開ける。
そして、これまた神聖術で強引に風を起こして空気を循環させる。
これで換気は完璧だろう。
「おー!すごいわね!やっぱりぜろの神聖術は!」
「でしょ?」
「うん!……にしても未だに花蓮が起きてこないなんて珍しいね?」
璃々夢が未だに眠っている花蓮の方へと視線を送る。
「まぁ、寝かせて上げててよ。別にやることもないんだし、遅くまで寝てても良いでしょ」
「まぁ、それもそうね」
璃々夢は僕の言葉に深く頷いた。
■■■■■
太陽が空の頂点へと登り、花蓮も起きてきた昼。
特にやることも仕事もない僕たち三人はぼけーっとダラダラトランプとかしながら過ごしていた。
「何度言えばわかるんじゃ!儂らはこれまでずっとこの方法で村を守ってきたんじゃ!外様の人間にどうこう言われる筋合いはないわ!」
「それでも、です!このままではいずれ破綻します!止めるのであれば今しかないのです!放っておけば放っておくほど魔を溜め、凶暴化し、強くなり、対処しきれなくなっていくのです!」
「黙れ、黙れ、黙れぇ!貴様に何がわかるというのだ!」
「私は神祇官です!これまで多くの神様と向き合い、様々な問題に対処してきました!この分野のエキスパートが私です!」
「この村は儂の村じゃッ!」
今は村中に響き渡っている村長と結衣の話し合いを三人で眺めていた……これが話し合いと言えるのかは疑問だけど。
最初は神祇官ということで丁寧に接してくれていた村長も今では結衣へと殴りかかる勢いである。
「村長も頭硬いんだよ!自分は特に何も知らないんだから黙っていれば良いんだよ!ほんと大人たちって嫌!だよね!ふたりとも?」
「……」
「うん……まぁ、そうだね」
僕は村長と結衣のやり取りを見てぷりぷりと怒っている璃々夢の言葉に僕は頷いた。
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