第10話
堕ちた神より発せられる独特な甘ったるい匂い。
「本当にあそこで神様が眠っているんだね?」
「うん。そうだよ」
その匂いを確かに感じ取っている僕は自分の隣にいる結衣の言葉に頷く。
「……あそこか。少し厄介ね」
僕の言葉を聞いた結衣が眉を顰め、辟易としたような言葉を漏らす。
堕ちた神の臭いの発生源。
それはボロボロの状態で地面に転がっているとある一つのお地蔵様であるのだが、そんなお地蔵様を囲むようにして十数匹の魔がたむろしている。
魔の強さのレベルとしては中くらい……あれだけの数がいても僕と結衣なら対処出来るだろう─────他の魔の襲撃がなければ、だが。
「賭けるときだね……行こうか」
「ん」
僕は覚悟を決めた結衣の言葉に頷く。
「ここで引くわけにもいかないものね」
結衣は神聖術を使って大きさを小さくしていた大剣の大きさを元へと戻す。
「うにゃー」
それを見て僕も腰のホルダー下げてある拳銃を二丁抜く。
「……3・2・1・ゴー」
大剣を構える結衣が草陰から飛び出し、大剣を一閃。
結衣の豪快な一振りが魔の一体をいともたやすく一刀両断する。
そんな結衣に気づき、彼女へと飛びかかる魔を僕は二つの拳銃で正確に撃ち抜いていく。
僕の神聖力によって作られた拳銃の弾丸は魔の体を簡単に貫き、吹き飛ばす。
一撃では倒せない……それでも数をぶち込めば魔の命を終わらせられる。
「ハァァァァァァァァァァァァッ!」
僕の援護射撃を受ける結衣が大剣を巧みに操り、次々と魔を倒していく。
「螳壽悄繝?せ繝井ク?騾ア髢灘燕縺?繧。繧。繧。繧。繧。繝」
汚い悲鳴を上げる魔を僕と結衣は手際よく倒していく。
「……んっ。結衣。右前方敵、脅威度8」
「了解」
少しばかり他の魔よりも強力であると判断した魔のことを結衣へと伝える。
それを受けて結衣はその魔からは離れ、別の魔と対峙する。
そんな結衣を追いかける他よりも少し強力な魔へと僕は二丁の拳銃でもって大量の弾丸を撃ち込み、出血を強いる。
「……シッ!」
僕の援護射撃が途切れ、魔に囲まれるようになった結衣はそれでも魔と互角以上に戦い、的確に魔を倒していく。
「蜍牙シキ窶ヲ窶ヲ縺?d縺」
僕が強力な魔を倒しきったと同じタイミングで。
「……ふぅー、これで終わりね」
結衣も他の全ての魔を倒し終える。
「お疲れ様」
戦闘の間、ずっと草陰にこもっていた僕はそこから出てくる。
そして、息を切らして汗を流し、少しばかりの傷を負って血を流す結衣へと労いの言葉をかけた。
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