第8話

 例え神が堕ち、魔が地上を覆うとも決して曇ることなく光り輝いていた太陽が地平線へと落ち、暗い夜が訪れるとき。


「今日、見つけきることが出来なかったね」

 

 パチパチと小気味いい音を立てる焚火を管理しながら夕食の準備をしている結衣が口を開く。

 

「うん」

 

 僕はそんな結衣の言葉に頷く。

 かなりの時間をかけて捜索していた僕たちだったけど、それでも堕ちた神を見つけるには至らなかった。 

 また明日に期待である。


「良し。出来たわよ」

 

 そこらへんにある草を食べだす僕と違ってちゃんと食べれる食材を入手して調理する結衣が流石の家事力を見せて夕食を完成させる。

 今日は街を平然と闊歩していたヤギ肉入りのライスなしカレーである。

 魔ってば動物は狙わないから街中に平然と動物が歩いていることがよく合って、割と簡単に食材は採取出来るのだ。


「……ご飯が欲しいわ」


「美味しいから別にこのままでも良いや」

 

 僕は辛いのだけは食べることが出来ないので、ちょー甘口のルーを使って作られた料理をバクバク貪る。


「まぁ、魔とか草とか食べる貴方視点だとそうなるでしょうね……なんでお腹くださないのかしら?どんな強さの胃腸しているの?」


「ふふん。僕の胃腸は凄いんだよ。いつもゆるゆるで結構な頻度で下痢している結衣と違って……結衣の臭いのと違って僕のはそんなに匂いもきつくないしね」


「……私も女なの。デリカシーを弁えて」

  

「ん」

 

 ちょっぴり顔を赤らめた結衣の言葉に僕は素直に頷く……デリカシーってどこで学べばいいんだろうか?


「ごちそうさま」


「……ん。ごちそうさまでした」

 

 雑談しながら夕食を食べ終え、結衣が作ってくれた夕食を完食する。


「良し!じゃあ、寝ようか」

 

 神聖術で出した水を使って口の中をすすぎ、手である程度の汚れを落とした結衣が寝床の用意を始める。


「今日も最初の夜の見張り番よろしくね?私は明るいところで寝れないから」


「ん。わかった」


「火が消えないようにしておいてね?」


「ん。わかった」

 

 僕は結衣の言葉に頷く……もう火の番を忘れて火を消しちゃうなんてポカはやらない。


「それじゃあ……私は寝るから良い感じの時間になったら起こしてね?」


「んっ」

 

 僕は結衣の言葉に頷く。


「それじゃあ……お休み」


「ん。おやすみ」

 

 僕は神聖術を使って歯だけでなく全身をきれいにしてから寝袋に入ってすぐに目を瞑って一瞬で寝入った結衣の隣へと腰を下ろす。


「……星が綺麗」

 

 パチパチという焚火の音と結衣の静かな寝息以外は何の音もない静寂な夜の中、僕は空に輝くきれいな星を見て手を伸ばした。

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