第5話
「柴旅が行ったのであれば問題ないと思うけどね。あの子の戦闘力は私をも超えるところあるから……いや、でもどうしようもないようなポンを持っている子でもあるのよね……肝心なところで失敗する恐れも……」
「誰がポンなの?」
村から外へと出る出入り口のところに多くの村人に囲まれて何やら僕に対してかなり失礼な評価を下している結衣に対して僕はジト目で告げる。
「あっ、お帰り……子供たちは大丈夫かしら?」
璃々夢のお願いによって外へと出向き、弱い魔を一匹倒し、そのあとは子供たちの護衛をしてこの村にまで戻ってきた僕に結衣は優しく声をかけてくれる。
「ん」
僕は自分の後ろをついてきた意気消沈した璃々夢たちを指で示す。
「良かった……みんな無事みたいで」
それを見た結衣がほっと一息を漏らす。
「僕はポンじゃないからちゃんと守れる」
「あぁ……さっきの発言はごめんね?私はちゃんと柴旅を信頼しているわ」
「ん」
僕は結衣の言葉に頷く。
それで良いのだ……僕は決してポンではない。そんなちんけな存在ではないのだ。
「ふわぁ……それじゃあ、僕は眠いからおやすみ」
元から眠くて寝ていたところを璃々夢に叩き起こされ、遠出させられたのだ。
僕の眠気ゲージはもう全力マックスだ……今すぐに寝るのだと僕が言っている。
「あっ、ちょっと待って……色々と聞きたいことがあるからついてきてもらっていいかしら?」
「ん」
そんな僕に対して告げられた結衣の言葉を受け、一時的に眠気を忘れた僕は彼女の言葉に頷く。
「村長さんからわざわざ空き家を借りちゃったから、そこに」
「ん」
僕は結衣の言葉に頷き、一度。
視線を村の大人たちに囲まれている璃々夢たちの方へと向ける。
目があった璃々夢たちに軽く手を振ってから歩き出した結衣のあとを追って僕も歩き出した。
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