第3話

 神の加護によって守られる村から出た外。

 命の危険が一杯の外を僕は少女と共に歩く。


「ふーん。君の名前は璃々夢って言うんだ」


「うん!そうなの。気軽に璃々夢って呼んで」


「ん」


「それで?君の名前は何なの?」


「僕はね、柴旅って言うんだ……結衣から貰った名前なんだよ」


「えっ!神祇官のお姉ちゃんから貰ったちょーすごい名前じゃん!私もぜろって気軽に読んで良いよね!?」


「うん。もちろん良いよ」

 

 僕は少女……璃々夢とくだらない雑談を話しながら村から出ていっちゃったらしい璃々夢たちの友達を探し歩く。


「……あの子たちどこに行っちゃったんだろ。こんな当てもなく探して見つかるかな?」


「ん?あぁ、それなら心配いらないよ?もう子供たちの気配は見つけているから……僕ってば人の気配を感じ取るのが上手いんだよね」


「おぉー!流石じゃん!じゃあ、急いで助けにいかないと!」


「えー、走るのはちょっと……走るとお腹すくし眠くもなる……」


「もー!それくらいがま」


「あっ!ちょっと焦った方が良いかも?子供たちが魔に見つかった」


「えぇ!?大丈夫なの!?それぇ!」


「まったく?何の力もない子供たちとか瞬殺でパックリだと思うよ?」


「ヤバいじゃん!急がないと!」


「ん?急ぐ?」


「うん!間に合うようにしないと!」


「あっ、そっか……じゃあ、ちょっと持ち上げて運ぶけど許してね?」


「へ?」

 

 僕は隣に立つ璃々夢を軽々しく持ち上げ、地面を蹴る。

 神聖術を用いて身体を強化し、風となってひび割れ、自然があふれ出しているアスファルトの上を走り抜ける。


「ギリギリセーフ」

 

 100mを一秒もかからない速度で駆け抜けた僕は今まさに子供たちへと凶刃を振るおうとしていた魔へとドロップキックをかまして魔を吹き飛ばす。


「死体ゼロ。完璧だね!」

 

 これまた神聖術で守っていた璃々夢を床へと下ろした僕は満足げに頷く。

 完璧な仕事ぶりと言えるだろう。


「ぜ、ぜろ!魔がもう起き上がっているよ!」


「ん?……あぁ。あんな雑魚の魔なんて脅威でもなんでもないからそんな慌てる必要ないよ?」

 

 一度は吹き飛ばされた僕と同じくらいの背丈の魔が立ち上がり、こちらへと走って近づいていることに対して警戒の声を上げる璃々夢に対して僕はそっけない声を返し、腰にぶら下げている拳銃を抜いて魔へと銃口を向ける。


「ダーン」

 

 銃弾一発。

 それだけで頭部が吹き飛び、魔はその命を終わらせる。


「ほら、らくしょー」

 

 サクッと魔を倒した僕は璃々夢を安心させるように笑顔を向けた。

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