第2話

 結衣が助けてあげた人間たちが暮らしている村。

 とある洞窟の中にいる『神様』の加護によって守られている小さな村へと結衣と僕はやってきていた。

 魔と戦い、神を助け、人類の希望となる神祇官が人々から集める尊敬の念はすさまじく、神祇官の一人として村へとやってきた結衣は村全体の歓待を受け、村のお偉いさんから挨拶されている。

 そんな神祇官たる結衣の金魚のフンのようなノリで一緒にいる僕は歓待を受ける結衣から離れ、お昼寝の時間としていた。


「んぅ……あったかい」

 

 澄み渡るきれい空気に暖かな太陽の光が照らすここが僕にもたらす睡魔は凄まじいものがある。

 

「あっふ!?」

 

 気持ちよく睡眠していた僕を揺らす大きな衝撃を受け、僕は目を覚ます。


「……何?」


「起きて、起きて、起きて」

 

 寝ぼけ眼を擦る僕の耳に入ってくる少女の声と決して止まることのない僕の体を揺らす手。


「待って、待って、待って……もう起きている」


「あっ、そう?」

 

 僕を揺らす手が止められ、僕の体に安寧が訪れる。


「……ぐぅ」 

 

 そしたらどうするか?その答えは決まっているだろう。


「あー!また寝たぁー!させないんだから!」


「ぐほぉ!?」

 

 二度寝へと突入した僕の腹に少女の蹴りがもろに入る。


「……僕は眠いんだけど?」

 

 蹴りを受け、僕はようやく体を起こし、僕の睡眠を邪魔してくる少女の方へと視線を送る。

 背丈は僕より少し高いくらいで……年齢としては11、12歳くらいだろうか?

 まだ幼い少女と言えるだろう。

 肩まで伸びた黒い髪にきれいな黒い瞳、美形と言える端正な顔立ちを持った女の子だ。

 そんな少女は僕を見下ろし、ビシッ!っと指を僕に向けてくる……だから人を指さすのはマナー違反じゃないの?

 

「眠いからって道のど真ん中で寝ちゃダメじゃない!」

 

 僕が寝ていた場所は村の道のど真ん中。

 確かにベッドもないし、ここは寝るに適した場所ではないだろう。


「でも、道のど真ん中で眠くなっちゃったんだからしょうがないじゃないか」


「どういうことなの!?全然しょうがなくないから!……ってそんなことを話している場合じゃなかった!ちょっとお願いがあるの!」


「ん?」


「君はあの神祇官のお姉ちゃんと一緒にいた子だよね!?」


「ん……そう」

 

 僕は少女の声に頷く。


「助けて欲しいの!周りの大人たちからダメって言われているのに私の友達が村の外に出ちゃって……連れ戻すの手伝ってほしいの!村の外は危ないらしいから……友達が大変なことになっちゃうかも!」


「……ん。良いよ」

 

 結衣の助けてあげられる人はみんな助けてね?という言葉を思い出した僕は少女の言葉に頷き、ゆっくりと立ち上がった。

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