第15話「姉/妹じゃありません!」


―保健室


決闘で気絶したエリシアと詩音は保健室で寝込んでいた。

先に目が覚めたのはエリシアであった。


「シオンちゃん、早く目を覚まさないとお姉さんが悪戯しちゃうぞ~」


「杖よ・・・」


「ひっ!」


エリシアの眼前に宙に浮いた杖が現れた。

どうやら詩音も目を覚ましていた様である。


「今度変な事しようとしたら・・・容赦しないわよ」


「わ、わかりました・・・」


「まったく、お姉様ったら・・・シオンさんも安静にしていなければ駄目ですよ」


二人の呆れた様子に注意を促すシルフィーヌ。

しかし怪我も治癒魔法で完治したという事で不安もなく安堵していた。

そしてその横に無言で佇む重力の魔女レオナ。

彼女は詩音を見つめていた。


「「あ」」


目が合った二人は気まずい雰囲気をかもしだしていた。

無意識とはいえ詩音はレオナを大怪我一歩手前の状況にまで追い込んだのである。

本来決闘は魔術の出力を抑えてやる物だが、今回の件は度を越えていた。

その重苦しい空気を変える様にエリシアが割って入る。


「あ、そうだ。決闘に勝ったんだからレオナの妹はシオンちゃんって事でいいよね?」


「え?」


頭に疑問符を浮かべる詩音。

そういえばそういう約束をしていたような・・・


「どうしてそうなるんですか。あの勝負は無効です」


レオナはキッとした表情で真向から妹認定を否定した。

しかし周りはそうはいかなかった。

あれだけ大勢のギャラリーの前で決闘したのである。

誰かさんがでかでかと勝利の賞品を叫んでたせいもあるが、もはやこれは学園中の公認の事実だった。


「アリス裏生徒会長もこの件は承諾済みだってさ。しっかり責任とりなさいって・・・てシルフィーヌが言ってたよ」


「人に責任を押し付けないで下さい、お姉様」


姉妹の空間に入りイチャつき出す二人。

この学園で姉妹になるという事はああいう事になるのかとレオナは憂鬱な気分になった。

一方詩音は嬉しかった、別にレオナに恋愛感情等抱いていない(筈だ)というのに。

しかし恋の天秤はまだ傾いていない。

一目惚れしたのかもと喜ぶ詩音とは対照的にレオナはこの状況に対し冷静でいた。


「・・・アリス様の命令だから従うけど、私はあなたを正式に妹と認めた訳じゃないですからね、シオン」


「分かってますよ、お姉様」


こうして重力の魔女と地球の魔女の姉妹(仮)が誕生したのであった。

しかし今回の一件で胸のドキドキが止まらない詩音。

もしかしてレオナに一目惚れしてしまったのでは?と自分の心を疑う詩音だった。

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