第14話「重力の魔女」
―学園中庭
「じゃあ審判は私が務めるよー。これより重力の魔女レオナと地球の魔女シオンとの決闘を執り行います!
ちなみにシオンが勝ったらレオナの妹になるよー!」
「「よろしくお願いします」」
エリシアが号令を掛けると互いに一礼するレオナと詩音。
お互いに距離を取ると決闘開始の合図を待った。
「決闘、始め!」
「ソードバレル、展開!」
詩音が叫ぶと魔術の短剣が大量に精製されレオナに向かって射出される。
しかしそれらはレオナに近付くとバタバタと音を立てて地面に落ちていった。
重力の魔女、その名の通り周囲の重力を操作したのだ。
魔術の短剣の勢いはそれに耐える事ができなかった。
「今度はこちらの番よ、シオンさん」
レオナが詩音に手をかざすと詩音の周辺が地割れを起こした。
無論重力によるもので、その中心にいた詩音に掛かる重力も相当な物であった。
詩音は膝を付きながらもなんとか重力に耐えていた。
「降参するなら今の内よ」
「だ、誰が・・・」
「じゃあ容赦はしないわよ」
さらに重力を強めていくレオナ。
そのレオナの強力な重力魔術に詩音は耐えきれそうになかった。
「くっ・・・!」
いよいよ限界なのか詩音はその場に倒れ込み気絶してしまった。
「ふう、勝負ありね」
「レオナ!ちょっと待った!」
その場を去ろうとしたレオナに声を掛けるエリシア。
レオナが詩音の方を向くとそこには意識なく立つ詩音の手に握られた古びた魔術書と宙に浮く7本の杖があった。
「なんなの、これは?」
得体のしれない状況に臆するレオナだったが、正気を取り戻し再び重力操作を始めた。
しかし詩音にも魔術書にも杖にも何も起こらない。
というか重力操作自体が起こっていない。
「私の魔術が無効化されてる?」
レオナの予想は当たっていた。
レオナの魔術は発動していない。
そしてその状況に驚いている間にレオナは全方位を7本の杖に囲まれていた。
「杖よ・・・」
詩音が消え入りそうな声でそう叫んだ瞬間レオナに杖から放たれた魔術弾が襲い掛かる。
レオナは障壁を張ろうとするが魔術を発動する事はできない。
このままでは大怪我をしてしまう。
「危ない!」
間一髪の所でエリシアが割って入り障壁を張った。
しかし完全に威力を減衰する事ができずに受けた衝撃で気絶してしまった。
「お姉様!」
一部始終を見ていたシルフィーヌは決闘の場に入るとエリシアに治癒魔法をかけた。
幸い皆軽い怪我で済みその決闘は幕を閉じた。
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