誘拐編3
繭と智花は部屋を飛び出し、チェーンブレスレットの向く方角に走っていた。
加藤達、一番隊は独立大隊棟や本部棟などを捜索していた。
「何か言ったらどうだ!」
黒土は翔に怒鳴り散らす。
「……」
翔は無言で黒土を睨むだけに留めた。
翔の胸元のアクセサリーの一つから魔力を感じたからだった。
繭だな!無茶しなければいいけど……と翔は内心思うのだった。
数十分後、繭と智花はゴミ捨て場の隣にやって来た。ここは地下は監禁場として使われるところだった。
「おい、そこの二人何のようだ!」
出入り口の警備している隊員は繭と智花に声をかける。
「そこを退きなさい」
繭は落ち着いた雰囲気で歩いてはいるが、声や態度は全く違っていた。
学生時代の比では無く怒っていた。
「止まれ!」
只事でない雰囲気を察した警備の隊員が制止するよう伝えるが、繭は構わず歩き寄る。
「…ファイアーボール」
警備の隊員が警告で五級魔法を威嚇で放つ。
「黒だね!」
繭がボソッと言うと自己強化をして突っ込んでいった。
「えっ!……とにかく電話!」
智花は繭に置いていかれ、加藤に応援を要請した。
「お、おい突っ込んできたぞ!」
警備の隊員がびっくりして戦闘態勢に入ろうとする。
「じゃま!!」
繭はそのまま突っ込んでファイアーボールを足に纏わせ蹴りを入れた。
五級魔法ではあるが身体強化とファイアーボールの応用で威力は上がる。器用な隊員は独自の戦闘方法や魔法を編み出しているのだった。
「ガハッ!」
警備の隊員二人は壁まで飛ばされ倒れた。壁にはヒビができるほどの威力だった。
繭はそのまま地下に降りて行き壁を蹴り飛ばした。
「バコン」
壁を蹴り飛ばすと中には隊員らしき男性が五、六人居た。
一方翔と黒土はと言うと、黒土が一方的に翔を蹴ったり殴ったりとしていた。魔法を使うと面白くないのか、魔法使わずにボコっていた。
「バコン」
黒土がビクッとし蹴るのをやめる。
「何事だ!もう気づかれたか?!」
黒土は扉の方に声を荒げる。
「バタバタ、バン」「た、大変です!し志波が乗り込んで来ました!」
隊員らしき一人が飛び込んできて状況を話した。
志波隊員が扉を吹っ飛ばして乗り込んで来て暴れていると隊員が話す。
「一人だけか?なら取り押さえろ!多少は怪我さしても許す!」
黒土は隊員に指示を出し、翔を向き直る。
「カラン、ラン」
黒土は大きな腕輪が落ちるのを見た。
「な、なぜ外れている!」
黒土がびっくりしていると
「ボコーン」
黒土は壁に飛ばされていた。
「ガハッ!な、な、」
黒土は何が何だか分からずにいた。
「殺す!」
翔は激昂して黒土を吹っ飛ばした。
繭を怪我させてもいいと黒土が語ったため、翔の魔力が増幅し許容量を超したのだった。
「ゴッ……ガハッ……ま、」「お、ガハッ」
黒土が翔からボコられ、状況を伝えに来た隊員が翔に攻撃しようとして返り討ちにあった。
「翔、無事?!」
繭は扉から駆け込んできた!
繭は五人の隊員と攻戦していたが、流石の人数で時間がかかった。所々擦り傷があった。
「死ねよ!」
翔は黒土の首を手で掴み持ち上げる。
「えっ!ま、待って翔!!」
繭は状況は掴めなかったが止めないとやばいと思い、翔と黒土の間に入る。
翔は黒土から手を離し、臨戦態勢をとった。
「翔、私よ!」
繭は翔に声をかけるが翔は臨戦態勢を崩さず戦闘態勢をとった。
「えーっと!」
繭はこの状態はやばいなーっと思い距離を取ろうとする。
翔は暴走していた。通常の暴走は地震になるのだが今回はそれを超え、体内に秘める形になっていた。症状は破壊騒動や殺戮症状に変化すると言われている。
「繭ちゃん!」
そこへ智花が入ってきた。
「来てはダメ!」
繭はハッとして、扉に向かい智花に来るなと大声を出す。
繭は翔に向き直るとそこには翔が居ない。
「や、ゔっ」
やばいと言いかけ翔の一撃が繭の溝に入った。
繭は膝をつき、うずくまるのだった。
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