誘拐編2
翔が一向に帰って来ず、連絡も無かった。
繭と智花は隊を飛び出し捜索し始めた。
代表の指示のもと一番隊も捜索し始める。
「繭ちゃんどこ行く気?」
智花は独立大隊棟を飛び出した繭に聞く。
「一旦私の部屋に!」
繭は寮に戻るといい走り出す。智花もあとを追った。
繭の部屋に着くとすぐさま繭は何かを探し始めた。
「えーっとどこやったかな?……これじゃない……違う…うーん」
繭は鍵付きの箱から魔石やらネックレスやらを広げ始めぶつぶつ独り言を言っている。
「……」
智花は唖然と見てることしかできなかった。
「あ、あったー!!」
繭が小さな指輪を見つけた。子供用の指輪だった。
「何を探していたの?」
智花は嫌な予感したが我慢できずに聞く。
「小さい頃に翔がくれた魔道具だよ。あまり言いふらさないでね!」
繭が智花にニコッと話す。
智花は、以前繭が身につけているネックレスを聞いた時と同じセリフだと思い出す。その時にネックレスと指輪の効果を聞き鳥肌がたったのだった。
「…やばそうな効果なんだね!」
智花は頷き答える。
「まーね!日頃身につけていたら問題になるから封印してたの!」
繭は身に付けているネックレスと出した他の魔石やネックレスなどを鍵付きの箱に入れ直し鍵をかける。
「封印って……」
智花は言い方が…と思うがそれ以上は堪えた。
「よし!」
繭は取り出した子供の指輪とチェーンブレスレットを身に付け、手を前に出した。そして魔力を込めた。
するとチェーンブレスレットの小さな魔石が浮き、左斜め前を示した。
「行くわよ!」
繭は部屋を飛び出して行った。
「……」
智花はなんとなく、どういう道具なのか察したが黙ってついて行く。
一方翔は、手足が紐で塞がっていて、大きな腕輪をしていて身動きが取れずに呆然していた。
「ようやくお目覚めですか!随分余裕ですね!!」
扉から入って来て声をかけて来たのは黒土小隊長だった。
「なんの真似ですか?!」
翔は黒土を睨みながら聞く。翔も頭の整理して最後に会った人物を思い出した。
「ふふふ。あはははは」
黒土は笑い出す。
「何がおかしい!」
翔はさらに睨む。
「いやー、だってねー。あれだけお強いのに、こうも容易く捕まるなんてね!」
黒土は翔に声をかけ、話があると人気のないところに連れ出した。翔は警戒もなしに着いて行き不意を突かれ気絶したのだった。
「……何が目的だ!」
翔は少しは反省し黒土に聞く。
「も目的?それは復讐ですよ!バーカ!!」
黒土は満面の笑みで答える。
「ハー?」
翔は思いっきし首を傾げる。
「お前は気にしてない見たいだけど、この私がどれだけ憎んだことか!」
黒土は今までの翔への鬱憤を話す。翔と階級が同じでしかも追い越されたことや、決闘で敗れたこと、志波を奪えなかったこと、代表や大隊長からの評価が下がったことなどを言う。
「そんなことで?!」
翔はそれは自業自得だろと思い答える。
「そ、そんなことだとー!」「グハッ」
黒土は激昂し翔を蹴り飛ばす。翔は転がっていく。
「いい気味だな!その腕輪は特注で魔力が練れず力も幼稚化する一品だ!」
黒土はニターッと嘲笑い言うのだった。
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