誘拐編4

 翔が暴走してしまい、繭も分からずに翔が攻撃して繭が膝をつきうずくまった。

 

 翔は黒土の方を向く。

「させないわ」

 繭は苦しいのを抑えながら小さく呟き翔の足を掴んだ。


「まだ意識あるか!」

 翔は繭を見下ろし呟く。女性だった為無意識に手加減したと考えた。


「キーーーン」

 翔と繭の小さな指輪が共鳴して響きあう。

 繭が部屋から持ち出した子供用の指輪と翔の胸元の何個かの指輪の内の一つが指輪が光っていた。


「…………」

 翔は耳を抑え膝をついた。

 辺り一帯に共鳴音が響いた。


「繭?」

 翔は繭が横たわって居るのを見て声をかけ、少し身体を起こした。


「だ、誰にやられた?!」

 翔の顔が強張り話す。


「だ、大丈夫よ、このくらい!」

 繭は作り笑顔で返し、頬に手を添える。


「無事か?!」

 そこに乗り込んで来たのは一番隊と代表だった。


「無事では無いです」

 翔は繭を支えたまま答える。

 繭はなぜ代表までと思う。


「…黒土!」

 代表、加藤は黒土小隊長が横たわって居るのを見て口をこぼす。


「僕を誘拐、監禁したのはそこに転がってるやつですよ!繭にも怪我させて……」

 翔は代表、加藤に話す。怪我させてからは繭に口を塞がれた。


「拘束しろ!」

 代表が指示を出す。一番隊は素早くこの場に倒れて居る黒土ともう一人の隊員を拘束した。


「……私だ!独立大隊二番隊を全員拘束しろ!」

 豊は携帯を取り出し電話を入れた。


「繭ちゃん大丈夫かい?」

 豊は繭に代表としてでは無く、娘として聞く。

 メイド長の娘だが小さい頃から知っており、娘同然だった。また翔とも付き合っていて、将来は義理の娘になると思っていた。


「は、はい。問題ありません」

 繭は起き上がり敬礼して答える。


「うむ。良かった」

 豊は繭が仕事モードで返事をした事に少し悲しむが安堵する。


「良くないですよ代表!」

 翔も一応は仕事モードで話そうとするが、そうもいかない。憤りで翔の周りが目視でも分かるほどの魔力を纏っていた。


「どれほどだ?」

 代表は翔にどれくらい身体が耐えれるかと聞く。下手をしたら地震が起こる。しかも大地震だ。


「このままだとあと数分です」「なっ!」

 翔の受け答えに豊、加藤、繭、智花が驚く。他の隊員は聞きていなかった。


「ど、ど、ど!」

 加藤は思わずテンパってしまう。智花は呆然。豊はすぐに携帯を手に取り連絡する。


「よかったこれ持ってきて!」

 繭がポケットから魔道具を手に持ち翔に渡す。


「えっ!」

 豊、加藤、智花は固まった。


「用意いいね!」

 翔は繭から受け取ると魔力を流していった。


「……細かいことは後から聞くとして、一旦は大丈夫なんだな?!」

 豊は翔と繭のやり取りを見て聞く。


「一旦は大丈夫になりますね。状況次第では分かりませんが!」

 と黒土の方を見る。


「やれるだけはする!」

 豊は背筋に寒気がするのだった。


 現在の翔の実力は計り知れず一級以上の実力を持っていた。束になっても勝てるかどうかと豊代表は思っていた。

 

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