隊員募集編4

 翔と所属の皆が戯れていたら隊員が慌てて入って来た。


「た、隊長、喧嘩です!」

 隊員は喧嘩してる隊員がいて止めて欲しいと入ってきた。


「ふーんそれで?」

 翔は興味なさげに話す。


 隊員同士の喧嘩は多くはないが偶にある。酷かったりすると隊長以上の階級が間に入り決闘試合になったりする。


「オホン。誰と誰がやっている?」

 加藤は咳払いをして入って来た隊員に聞く。


「伊藤リーダーと花澤リーダーです!」

 隊員は伊藤班の伊藤五席と新しく移籍して来た花澤班の花澤五席が喧嘩してると話す。


「降級しようかな?」

 翔はボソッと言う。


「翔隊長少し様子見に行っては?」

 繭は翔の小言が聞こえ提案する。


「ハー。行くか」

 翔は席を立ち隊長部屋から出て行く。加藤、繭、智花、ゆり、駆け込んできた隊員も続く。


「だ、だからオメエには関係ないやろ!」「関係あります!この隊に配属されたからには言わせてもらいます……」

 伊藤と花澤は隊部屋の一室で口論していた。

 何名かの隊員が間に入り暴力行為にはならないようにしていた。


「何があった!」

 加藤が声を上げる。


「……副隊長!隊長も!」

 振り返るリーダーとその場にいた隊員はびっくりした顔をした。

 呼びに来た隊員はいつの間にか後ろにはいなかった。


 よく見るとお互い拳が少し赤い。やり合った後かもしれない。

「めんどそうだね」

 翔は繭にボソッと耳打ちする。


「隊長だからしっかりしてね」

 繭も翔にボソッと耳打ちしニコッと笑う。


「ハー。で内容は?」

 翔は嫌々ながらも加藤に聞く。


「……はい。どうやらお互いの班の教育のやり方に揉め、口論になったみたいです。」

 加藤は翔の反応に驚くが説明する。今までなら加藤に丸投げし関与しなかった。


「うーん。まーリーダーなんやし各班でやり方は違うね。自身の班の教育には口だされたくないよね!でも伊藤の教育はどうかと思うよ。今まで言わなかったけど」

 翔は思っていたことを話す。


「なっ!お言葉ですが隊長から言われるような程ではありません。日頃何もしていなくイチャイ」

「そのくらいでやめなさい!」

 伊藤がカッとなって話すが、やばいと思った加藤が止めに入る。


「なに?!言いたいことがあるなら聞くけど?」

 翔は少し眉間に皺を寄せて話す。辺りが少しピリつく。


「い、いえなんでもありません」

 伊藤は一歩引き話す。


「俺が何もしてない!ほーん。なるほどね!何もしなくてもいいならもっと楽なんだけどね!ここ最近、書類、書類と面倒くさい!」

 翔は今までの鬱憤を話す。

「だいたいさ。こんなどうでもいい事で呼び出すなよ!教育のやり方は違うのは当たり前だし、文句があるなら副隊長に言えよ!まー伊藤は俺も思うところあったけど興味なん」

 翔が愚痴を言い最後には繭に口を手で塞がれた。


「その辺にしとこ。翔はいつも頑張ってるからね」

 繭は翔の口を塞ぎ翔に話す。


「うん」

 翔は涙目になるが堪え後ろを向き隊長部屋に戻って行く。


「ごめんだけど先戻って翔隊長見てもらえるかな?」

 繭は智花に声をかけと智花は頷きそそくさと離れる。


「な、なんだよ!」

 繭は伊藤をまっすぐ睨み伊藤は繭に問う。

 翔は少し感情を漏らしたが、幸い大事には至らなかった。地震が起こってもおかしくなかった。


「あんたね。言っていいことと悪いことくらい分からないの?!隊長はすごいんだからね!すごく頑張ってるんだよ!それでも席持ち?いい加減にしてくれない?湊隊員にもちょっかいかけて……」

 繭は伊藤に言いたいことを話す


「なんでお前なんかから言われないかんのや!」

 伊藤は怒りをあらわにして怒鳴る。


 繭は隊長や智花、隊のことを、七対一対二の割合でズバズバ言い、伊藤は暴言や悪い言葉を返していた。


「パンパン。まーその辺で」

 加藤が間に入る。


「副隊長なんで間に入るのですか?!この女が…」

 伊藤が加藤にくってかかる。


「その辺でって言ったよね?」

 加藤は少し強めのトーンで言う。


「はい」

 加藤がいつもと違う雰囲気になったことを感じ伊藤は黙る。


「志波隊員も落ち着いてね。翔隊長が知ったら私でも無理だから」

 加藤は、ここは私がするから繭はこれ以上前に出て話さないでと訴る。

 繭と伊藤の喧嘩にでもなれば翔が出てくると加藤は思った。


「すいません」

 繭は頭を冷やし謝る。ゆりは後ろでびっくりした顔をしていたのだった。

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