四年生編2

 翔、繭が四年生になり繭が翔の部屋に入っている事で周りの視線が厳しくなっていて、翔は繭に部屋には来ないようにと朝食が食べ終わり言うのだった。

 

「何でよ!」

 繭は椅子から飛び上がり言い

「周りの視線がキツくなったからだよ。去年まで良かったけど今年からは高学年にもなったから……」

 と翔が話、後半は声が小さいなる。

 

「嫌!」

 と繭が言い食器を慌てて片付けて部屋に戻って行った。

「なんかあったの?」

 と智花が別の机で食べていて様子を見に来た。

 

「えーっと」

 翔は繭がまさかあんなに拒否るとは思わなくて翔は智花に相談する。

 

「あーなるほどね!」

 智花は翔から事の経緯を聞き納得する。

 

「私達の学年でも有名よ。確か去年も何人か陰でこそこそ言ってたよ!」

 と智花が五年生の生徒が話していた内容を教えてくれる。ロッテが智花の食事を持って来てロッテも自分の食事を持って来て話に加わる。翔は食事中にごめんと謝り聞く。

 

「三年生の時も何人かが話してました。繭ちゃんにも言っている子がいましたけど、繭ちゃんは何とも思ってない様子でした」

 とロッテから女子の間であった話をしてくれる。

 

「男子も陰では確か話してたぞ!しかし六年生の先輩が低学年だからいいんじゃないって去年言っていたぞ!」

 と一郎も後から話に入って来て男子の様子を教えてくれた。

 

「知らなかった」

 翔は智花、ロッテ、一郎から話を聞いて肩を落とす。

 

「そりゃそうだろ。翔がいないところで話していて、俺も少ししか知らなかったから」

 と一郎が言う。

 

「何で教えてくれなかったんだ」

 翔は一郎に聞く。

「教えようか迷ったけど、もし教えたら翔何するか分からなかったからな」

 と一郎が答える。

 

 一郎とロッテには翔が感情が溢れて長く続くと魔力が暴走して危険と伝えてある。もちろん口外禁止になっている。

 

 一郎は翔が繭の事になると感情が抑えられなくなる事を薄々分かっていて、ロッテは確信していた。一年生から今になるまで、大きな事件は無かったがちょくちょくとあやしいレベルはあったのだった。

 

「うっ」

 翔は言い返せず黙り込む。

「まーなんにせよ。去年は六年の先輩がなんとかしてたけど、今年はそれが無いから翔から見ても分かるわな」

 と一郎が言う。

 

「繭ちゃんは気にして無いみたいだね」

 と智花が言う。

「そうですね。くどく言ってくる子には言い返してましたし」

 とロッテが話してくれる。

 

「うーうううう」

 翔はうめき声を鳴らし考え

「やっぱり部屋には来ないようにもう一回言うよ。繭になんかあって欲しく無いから」

 と翔は三人に言う。

 

「ロッテちゃんも気にかけてくれてありがとう。寮での様子見といてくれると嬉しい」

 と翔がロッテに言う。

 

「任せて、友達だもん……」

 とロッテは胸を張る。

 

「私も気にかけとくね。私は女の子だから八階にも遊びに行けるし」

 と智花も笑い言ってくれる。

 

「ありがとう」

 翔はロッテ、智花にお礼を言う。

 

「おいおい俺には無いんか?」

 と一郎が冗談に言い

「一郎もありがとう」

 と翔が言い一郎は照れ鼻をかき三人は食堂を後にした。

 

 その後教室に行き授業が始まる。繭が一階のロビーで待っていて一緒に教室に行くが話はしなかった。

 

 授業が始まり授業の間の休憩も繭は寄って来ず話が出来なかった。

 

 昼ご飯も無言で食べ、翔、ロッテ、一郎は繭にどう話して良いか分からず、三人は目を合わせとどうしようと訴えてあっていた。

 

 放課後繭は席を立ち一人で教室を出る。慌てて翔、ロッテ、一郎は教室を出て繭を追う。ロッテも一郎も繭が明らかにおかしい事に気づき心配して追いかけてくれる。

「ま繭、待って」

 と翔は繭に追いかけながら声をかける。

 

 繭は一旦止まるが走って逃げた。

「まっ」

 と翔は待ってと言いかけ言っても待ってくれないと思い身体強化をして繭を追いかける。

 校内の魔法使用は禁止だが翔は気にしなかった。

「捕まえた!」

 翔は身体強化で繭に追いつき繭の左手首を捕まえて止まる。

 

「離して!」

 と繭は叫び手を振り解こうとする。

 周りにいた生徒は何事かと翔、繭の方を見るが翔はお構い無しに

「離さない!」

 と強く言う。

 繭は涙目で翔の目を見る。

 

 ロッテと一郎が追いついてくる。

「はっはー」

 と息を切らして二人は追いついた。

「翔、お前、魔法はダメやろ」「もしバレたら怒られますよ」

 と一郎とロッテが順番に言う。

「内緒で」

 翔は二人に人差し指を口元におく。

 

「な訳がないでしょ」

 翔が振り向くと繭の後ろに昴先生が居た。さっきまで居なかったが頭を抑えて居た。

 

「昴先生居たんですね」

 翔は昴に言うと

「ハー、ここ職員室前なんだが!」

 と昴先生はため息を吐き言う。

 

 翔が繭を捕まえた場所は正真正銘職員室前だった。

 校内ので魔法を使うと魔力感知装置が校内の所々にあり職員室に知らせが入る。

 

「魔法の使用があると思えば職員室で止まるで何事かと思ったぞ!それが痴話喧嘩とは、ハー」

 と昴が呆れている。

 

「とにかく四人とも進路指導室に来なさい」

 と昴先生が言い歩き出す。四人は昴の後を追い歩きだした。

 

 昴と翔達四人は進路指導室に入り席に座ると

「まさか登校初日に校内で魔法を使うものが居るとは、しかも俺のクラスか、ハー」

 と昴がため息を吐き言う。

 

「すみません」

 翔は深々と謝る。

 

「何があった。翔が魔法使用するとは初だろ?」

 昴は翔が真面目に魔法を覚えている事を知っていて、校内の魔法は禁止なのも知っていてなぜと聞いてくる。

 

「はい」

 翔は昴に身体強化を使った理由を話す。

「ハー、なるほどな」

 昴は翔、繭の寮でのこと昨日の周りの反応、ロッテと一郎は去年と昨日の他生徒から見た、翔と繭の反応を言う。

 

 翔と繭は学園の中でトップと言ってもいい実力と成績があり生徒から注目されているから、他の生徒の女子が男子の部屋に遊びに行っても気にはされないが二人は注目され反感を持つ生徒が目立つと昴が言う。

 

 繭は気にしないと言うのに翔は繭に気を使い部屋に来ないでと言ったことに不満を覚えて気まずくなり逃げた事を繭が話す。

「うーん難しいなー」

 昴は状況をさらに聞き頭を抱える。

 

「一概に正解は言えないが解決方法が一つ心当たりがある」

 と昴が言い四人の顔を上げ昴先生をみる。

 

「高学年になると各階に勉強部屋がある。二人以上が申請したら使えるが基本使う生徒が居ないと聞いている。生徒の誰かの部屋でするからな」

 と昴先生は真剣に話後半は笑って言う。

 

「そんな部屋があるんですね。知りませんでした」

 翔は勉強部屋がある事を知らなく他三人も頷く。

 

「言っただろ生徒は誰かの部屋ですると。だから今は物置になっているんじゃないか?もし他の生徒が文句を言っても申請している訳だから問題ないし先生も口を挟めるようになる」

 と昴がメリットを説明する。

 

「なるほど!」

 翔は頷き、繭の顔が明るくなる。

「申請の手続きは俺がして置くから今日から使っていいぞ。使いたい時に寮の管理人さんに言って鍵をもらえ」

 と昴が言う。

 

「昴先生親切すぎません?」

 と一郎が笑い言う。

「いつも親切だろ?」

 と昴が四人に聞く。

 

「ふふ。分かりました。申請お願いします。これであの件は水に流します」

 と翔は昴先生に笑いながら言う。

 

「助かる」

 と昴が言い苦笑いする。あの件とは智花が昴先生が口を滑らしたと言う件で翔とロッテと一郎は分かり繭は分からない顔をしている。

 

 その後、勉強部屋の許可は出て使いたい時は寮の管理人さんに言い使える。最近は誰も使って居ないが綺麗とのことだった。もちろん魔法使用の罰として寮のトイレ掃除一週間することになったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る