登校初日編3

 一時間目のチャイムが鳴り、皆席に着く。

「それでは一時間目の授業をはじめます。この時間では席替えをして、四人一組のグループを作ります。前、横、斜め又は、後ろ、横、斜めのお友達同士の四人グループになります。くじで決めますので名前の呼ばれた生徒は前に来て一枚引いてください。番号が書いてあるので順番に移動します。それでは一度皆さんカバンを持って後ろに移動してください」

 昴先生が席替えの指示をする。

 まだ一年生でもあるので席替えは一苦労。学年が上がれば番号で一斉に席替えできるが今はまだ出来ない。そのため一年生は席替えは春と秋二回のみとなる。

 

 順番に名前が呼ばれ

「佐藤健さん『はい』一枚引いてください」

 佐藤は一枚紙を引く。

「一番ですね。ここです」

 と昴先生が左前の席を教えて佐藤は座る。

 

「志波繭さん『はい』一枚引いてください」

 繭も一枚紙を引く。

「十二番ですね。ここです」

 昴先生が左から二列目の一番後ろの席を教えて繭は座る。

 

「鈴木一郎さん『はい』一枚引いてください」

 鈴木も一枚紙を引く。

「十一番ですね」

 昴先生が繭の前の席を教えて鈴木は座る。

 

 何人か同じく名前を呼んで席を教え次が翔の番。

「二葉翔さん『はい』一枚引いてください」

 翔も一枚紙を引く。

「六番ですね」

 昴先生は繭の左の席を教えてくれて翔は座る。繭は見るからに喜んでいる。

 

「シャルロッテフィールドさん『はい』ごめんなさい残っている五番です」

 昴先生は最後一枚しかないことを謝る。

「大丈夫です」

 ロッテが笑顔で言う。昴先生が最後の生徒ロッテがくじを引くが残っている番号が一席しかなく、どこに座るか分かってしまい、くじは最後の方になると楽しみが減ってしまうのが難点だなと思う。

 

「よろしくお願いします」

 ロッテが最後の席翔の前の席に座り、翔、繭、鈴木に挨拶する。佐藤は後ろを見て睨んでいる。

 

「よろしく」

 翔、繭、鈴木は挨拶して、翔は佐藤が睨んでいる事に気づきなんでだろうと思うのだった。

 

 席替えが終わりグループごとに机をくっつけて、再び自己紹介をして、リーダー、副リーダーを決める。

 話し合いの結果リーダーは繭、副リーダーは鈴木一郎になった。呼び方は翔君、繭ちゃん、ロッテちゃん、一郎君になった。

 繭もみんなの前では翔の事を翔君と呼んで、翔は少し違和感を覚えた。

 その後は席を戻し、各委員会や掃除当番や学校のルールなどを話して一時間目二時間目が終わった。

 

 三時間目はレクリエーションで体育館に移動して一年生全クラス集まる。

「翔君体育館行こうぜ」「一郎君行こう」

 翔と鈴木一郎は男子更衣室に入り着替え体育館に入って行く。

 

「広いなー」

 一郎が体育館の広さに声を出す。一年生は一クラス三十六人でAからDまであり百四十四人生徒がいる。全学年同じ定員なので生徒数八百人を超える。全国で国立の特魔学園は七校しかなく、魔力量が平均以上の子から優先的に入るが、全国で魔力量が平均以上の国民は一部だけと言う。

 

 続々と体育館に生徒が入って来て一年生が全員揃ったかな?と翔が思っていると

「只今よりレクリエーションを行います」

 とマイクで高学年の生徒と先生が体育館の舞台の上に上がって話している。ゲームの説明を高学年の生徒がする。学園のルールや魔力量や魔法の知識の丸罰ゲームをするみたいで、自由に動いたり周りと話したりして真ん中より右のラインが丸で左のラインが罰と説明される。

 

「第一問魔法は人に向けて打っていい丸か罰か?」

 最初の問題は超簡単だった。小さい頃に教師から習った問題の方が難しかったと翔は思い罰の方に歩く。

 大半の生徒が罰に移動して数人が、丸に移動している。

 

「正解は罰です。丸でも当たりと言いたいのですが無闇に人に向けて魔法を打つのはいけません。人に向ける時は理由がしっかりと勉強してからにしましょう」

 丸を選んだ生徒にも間違ってはいないとフォローをして次の問題をマイクから言う。

 

「第二問学園の広さは縦横五キロですごく広いか?丸か罰か?」

 二問目も翔にとっては知っている事だっだが、周りは悩んでいるみたいだ。

 

「なー翔君どっちだと思う?」

 一郎が翔に問題の答えを聞いて来た。

「広いから丸かな」

 と翔は丸に移動する。一郎もついてくる。

「でも五キロってどんなけだ?」

 と一郎がわからないと話してくる。

 まだ一年生では習っていないところなのだろう。翔は勉強に関しては六年生まで進んでいて神童の域に出している。もちろん繭も同じ当たりまで進んでいる。

「とにかく広いって事だろ?」

 翔は一郎に曖昧に答える。以前教師やみゆさんから、あまり頭がいい事を言わないようにと注意を受けたのだ。神童の域に出ていて、今は初等部で習う事は魔力量と魔法の練習くらいしかない、翔と繭だったが恨みを買いたくないでしょなどと説得され実力を隠すことにしたのだった。

 

 順調に問題をクリアしていき、

「最後の問題です。魔法の属性は火、水、木、風、土の属性である丸か罰か?」

 と言う問題になる。

 

 みんなが丸に移動をしたが翔は悩んで罰に移動した。

「えっ翔君罰なの?」

 一郎が意外そうに聞くと

「属性は火、水、木、風、土の五属性だけど無属性があるから罰の六属性が正解なんじゃないかな?」

 と翔が答えると

「そーなの?なら罰だね!」

 と一郎が言い二人は罰の方に行く。

「正解は、えっ?!」

 マイクを持った高学年の学生が丸と罰に分かれた生徒を見て固まった。

 丸には一年生のほとんどの生徒が居て、罰には四人いるだけだった。

 翔、一郎、繭、ロッテの四人が罰に居た。

 

 最後の問題はサービス問題で、引っ掛けではなく答えは丸なのだが、全国的に五属性と知られていて、入学時で知っている生徒しか居らず、過去に一度も罰に行った生徒がいなかった。しかし今年は四人罰にいる生徒が居て、高学年の生徒はなんでってなっている。

 無属性は一級魔法師しか知らない閲覧公開禁止の属性のことはその時の翔達は知らず、生徒は皆あいつら馬鹿なんだなと言う目で見ている。もちろん高学年の生徒も同じである。

 

「……正解は丸です。魔法の属性は五属性です」

 高学年の生徒が正解をマイクて答えると丸の生徒が歓声を上げたり、コソコソと罰に行くか?とか言ったりしている。

 

 翔は無属性を知っているからこそ、このような事態に陥ってしまったが為に、周りの反応を見て怒りを覚えてしまう。翔は感情が爆発すると産まれた時みたいに地震が起こり大変なことになるからと、感情を抑えるよう教育を受けては居たが、翔個人に対しては我慢できても、一郎、ロッテみたいに友達になった子や大切な繭を馬鹿にされるのは我慢できなかった。

「ゴゴゴコ……ゴゴコ」

 と床が揺れ出した。

 

「キャ」「何!」「地震!」

 生徒が叫び出しパニックになる。

「落ち着いてください。頭を低くして動かずに」

 マイクを持った先生が指示をだす。

 一郎やロッテも頭を下げて手を頭の上に置いて動かない。

 

 翔が産まれた頃や小さい頃感情が抑えられなくなった時、みゆさんが抱っこし落ち着かせている事があったことがなぜか思い出して、繭はみゆから翔の感情で魔力が暴走して地震が起こることを聞いていた。

 繭は翔を見ると翔が感情を抑えられなくなりすごく怒っている事に気づき、今地震が起こっているのは、翔だと分かったが初めて見るのだった。

 地震は徐々に大きくなり時間も長く続く。

 

「大丈夫だから落ち着いて……大丈夫だから!」

 繭は翔を落ち着かせようと昔みゆが翔を抱っこして落ち着かせた方法をしようとしたが抱きつくのが限界だった。何度か声をかけたが地震は治らないのだった。

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