登校初日編1

 みゆさんが帰るまでに寮に戻り翔と繭は教科書に名前の漏れがないか確認や、連絡事項などを再確認して、みゆさんは夕方帰って行った。

 寮の面会時間は朝七時から夕方十八時までと決まっていてその時間ないなら、学園外からの関係者や親御さんが手続きしたら寮まで入って来れる。

 

「ピンポンパンポン」「夕食のお知らせをいたします。低学年は十八時から高学年は十八時半からとなります。入浴は低学年は十九時から高学年は二十時からとなります。消灯時間は二十二時です」

 放送が流れ時間などが伝えられる。

 

 毎日朝七時夕方十八時十分前に放送が流れ時間が伝えられる。基本同じ時間らしいが変則がたまにある為毎日放送されるとみゆさんからと寮の管理人から聞いた。

 朝は六時から七時までに起き各自着替えたり、学園の準備をしたりする。起床時間は自由とのことだった。

 翔はいつもは繭かみゆさんがお越しに来るので、少しワクワクしていた。

 

 十八時になり食堂へ行くと食堂の入り口で繭が待っていた。

「翔様遅いです」

 と繭が翔が来るのに気づき近寄ってきて話してきた。

「繭、翔様は辞めない?」

 と翔は様付を外そうと試みる。

「何度も言いますが無理です。てか嫌です。母さんに叱られますから」

 繭はみゆさんに叱られたくなく様付は外さないと何度も言う。


 以前から学園に入るから普通に話してとは言ってはいるが、みゆさんの前だとメイド見習いとして、いない時だと少しは砕けて話はするけど様は取ってくれない。

「どうしたら取ってくれるの?」

 翔は繭に聞き、二人は歩きながら食堂に入った。

 食堂内は2割程埋まっていて、カウンターに人集りができている。食堂はセルフ方式で順に進み、主食副食ご飯味噌汁と受け取る。ご飯と味噌汁はおかわり自由で、朝はパンとご飯好きな方を選べる。

 

 翔と繭は空いている席を探して二人で座る。昼は向かい合って座っていたのだが、夕食は隣に座ってきた。

「繭?」

 繭は周りを気にして隣に座り翔は繭に声を掛ける。

 繭は返答しず、

「いただきます」

 翔と繭は静かに食事をした。

 

 夕食を食べ終わり入浴時間まで部屋に戻ると、繭が部屋から入浴セットを持ってきて部屋に後から入ってきた。

「ねー翔様、今日一緒に……」

 と繭が上目遣いで聞いてきた。

 翔は多分一緒に寝ようかお風呂かだなと思い

「もう小学生になったから一人で大丈夫」

 と翔は繭にいい繭は頬を膨らます。

「この前一緒に入ってくれたのに」

 とボソっと呟いたのだった。

 

 翔が魔力量検査の結果の後両親が帰ってきた日、危険認定され殺されるかもと知った日の、入浴時翔がお風呂に入っていると、タオル一枚で入ってきた事がありその事を繭が話に出してきた。

「……いやあの時は繭が勝手に入ってきたんだし、ここは男女別の浴場だから不可能でしょ」

 翔は弁明と正論をいい繭は涙を浮かべる。

「今日はどうしたの?いつもの繭らしくないよね?」

 翔はいつもの繭らしいくない言動、行動をとっていることを指摘して、今日の出来事を考える。

 今日は朝から繭は学園の荷物を再度確認して慌ただしく、登校時は正門でテロ事件があり、学園に到着し入学式が変更になり、食堂では智花さんと会い繭の機嫌が悪くなった事を思い出す。夕食は二人で食べたが隣に来たし、みゆさんがいないのもあるから寂しいんか、と翔は考える。

 

「これから毎日一緒に食堂も行くし、学園にも通うし、三年生まで同じクラスだから安心して」

 翔は繭を安心させて、なんとか一緒にお風呂は回避しようとする。

「うーーん。なら一緒に寝て!」

 繭がお風呂は流石に無理があるかと納得してくれたが、今度は一緒に寝てと言ってきた。

「寝るのも一階と二階だし、寝る時間に移動したら流石にバレるし、無理があるよ」

 翔が繭になんとか寝るのも諦めてもらう。

 

「はいこれ」

 翔はカバンから予備のルームカードキーを取り出し繭に渡す。

「これは?」

 繭は涙目だったが目を大きく開けて翔をみる。

「予備のルームキー。一つは自分にもう一つは両親に渡してと、寮の管理人さんが言ってたけど、お父さんもお母さんも来なかったで渡せなかったやつ。繭の方が使う回数多そうだから私とく、これで好きな時に入ってこれるでしょ?」

 翔は繭が毎回来るたびチャイムが鳴りドアを開けていたが、予備のカードキーを繭に渡して元気を出すかなと思い渡す。

「でもこれ」

 繭は繭の部屋のルームカードキーは母のみゆさんに渡してあり、翔から渡されたルームキーは両親に渡すはずだったルームキーと知って困った顔をする。

「多分お父さんお母さんに会うのは、みゆさんが一番多そうだから、繭がみゆさんに会う時でも渡しといて、みゆさんも当分会わないって言うなら繭が持ってるといいよ。ルームキー二枚とも僕が持ってても使わないしね!」

 翔は笑いながら言う。

 

 繭は困った顔をしていたが明らかにルームキーを預ける前と後では顔が明るくなっているのに、翔は気づいていた。

「いいのね?」

 繭が嬉しそうに聞いてくる。

「ちゃんとみゆさんに伝えといてね。怒られたくないから」

 翔は繭に念を押しておく。みゆさんに報告して置かないと知らなかったらすごく怒るのだ。滅多に翔には怒らないが、怒るとすごく怖くトラウマになっている。

「わかったわ伝えるだけ伝えとくね!」

 繭は笑顔で答える。ルームキーは繭が持ってるだろうなと思う。

 

 その後は繭と学園生活で楽しみな事を話をして、二人で浴場に向かい男女別ののれんから浴室に入って行った。

 入浴後部屋に戻りベットに横になっていると

「ピッガチャ」

 とカードキーでロックを外し扉が開く音が聞こえた。

「翔様早いですね」

 入って来たのは繭だった。上下お揃いのパジャマでお風呂上がりと誰もがわかる感じだった。

「わざわざ来なくても部屋でゆっくりとしていればいいのに」

 翔は繭に言うと

「そうですね」

 と繭は少しうつ向く。

「別に来るなって事じゃないからね。繭は部屋の片付けとか、いろいろまだやることあるとんじゃないかなと思っただけだよ!」

 せっかく元気になった繭なのに、また落ち込ませてはいけないと思い必死でフォローする。

「ふふふ。大丈夫ですよ翔様におやすみの挨拶したら部屋に戻り片付けします」

 繭が笑いやっぱりまだ片付けが途中だったのだと翔は思う。

「おやすみ」「おやすみなさい」

 翔と繭は挨拶をし繭は扉から自分の部屋に戻って行った。

 

 翔は再びベットに座り

「ふー」

 と息を吐き横になり繭のパジャマを浮かべ他の男に見せたくないと思うのであった。

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