入学編3

 少しゆったりしてドアがノックされる。

「コンコン」「失礼します」

 中に入ってきたのは、メイド長のみゆだった。

「只今戻りました」

 戻ってきた事を伝え、繭が剥れ翔の隣にいる事に気づくと

「何かありましたか?」

 みゆさんが察知したかのように聞いてくる。

「食堂に行ってご飯食べていたら二年生の女性が相席を求めて来て一緒にご飯を食べただけですよ」

 と翔はあえて細かく話さなかった。話すと繭が余計に起こると感が働いたのだ。

「食堂の席は広く混んでいたら相席もありますよね?」

 みゆさんは翔が話した内容で大体把握してフォローに入ってくる。

「隣に座ったのよ」

 みゆさんがフォローに入ってきたが少し足らなかった。繭は不満に思った事を口に出した。

「えーっと」

 みゆが補足を求めるように翔を向く。

「多分ですけど監視の学生ですね」「えっ」

 翔が監視の学生と思った事を言うと繭が驚く。

「だって繭の隣が空いているのにわざわざ隣に来るし、グイグイくるしなんかあるんかな?と思うと監視の学生

かなと思いまして」

 翔が思った事を言うと

「名前伺っても?」

 みゆさんがピリッとした顔で聞いてくる。

「湊智花さんって言う二年生らしいです。しっかりしてそうで二年生らしくなかったですけど」

 翔が答えると

「湊?……湊さんですか!」

 みゆが思い出した顔になる。

「知ってるの?」

 繭が首を傾げ聞く。

「えー湊さんは旦那様の同級生で面識があり特魔学園の先生だったと思います。確か娘さんがいて小さい頃に翔様とお会いしてたと思いますよ!」

 みゆが思い出しながら話す。

「そうだったんですね?会ってるんですね!記憶なないですね。悪い事をしてしまいました」

 翔が小さい頃に会っているのに思い出せなかったことで智花を初対面たして扱ってしまった事に気を落とす。

 

「確か三歳誕生日会だったと思います。大々的に開催致しましたから人数が多く無理もありません」

 みゆさんがフォローをしてくれる。

「しかも三歳で初の大きなパーティーでしたからね。繭は部屋で大人しくしてたので繭は初めてお会いしたと思います」

 みゆが昔あった事や父の同級生で仲が良いこと今は学園の先生をしている事などを教えてくれる。

 

「ピンポンパンポン」「入学式のお知らせを致します。十二時四十五分から二年次から六年次の入場を開始致します。十二時五十五分ごろになりましたら新入生とその親御様は体育にお越しください」

 放送で入学式の入場連絡が入る。

「少ししましたら動きましょうか?」

 みゆさんが声をかけてくれる。

「全校生徒と保護者も入るのかしら?」

 繭は人数の心配をする。

「大丈夫よ。体育館はひろくん保護者は観覧席からだから、体育館の広さ知らないのかしら?」

 みゆが繭の心配を肯定すし繭に学園の規模、建物の広さを再度教える。

「学園は広く、本館、魔館、体育館、図書館、研究館、寮などとでかい建物があり、敷地面積は縦横五キロあるわ、敷地内は車やバスがあるし建物館には魔道具があり、転送陣があるから移動は困らないわ、入学式が行われる体育館は競技場みたいにすごく大きいから生徒保護者が入っても大丈夫よ!繭教えたわよね?」

 みゆさんが繭を睨む

「覚えているわよ、ただ食堂の人数を見ると入るのかな?って心配になったのよ。だって寮は一部の生徒だけなんでしょ?」

 繭がみゆに確認する。

 

「通学と寮の人数は毎年違うけど通学は三割って聞いた事があるけど詳しくわ公開されてないのよね?」

 みゆが繭の確認に答え繭と二人の時の口調になっている事に気づき

「申し訳ありません」

 と翔に謝罪する。

「なんで謝るんですか?」

 翔が疑問に思っていると

「あー母さん。翔様は些細なことは気にしないのよ!」

 と繭がみゆに言い、翔様は砕けて話しても仕事モードで話しても気にならない見たいで、鈍感なんだか気を許してくれてるのかわからないと繭が翔に聞こえないように小声で話す。

「繭なんか言った?」

 翔が聞き取れず聞くと

「なんもよ。さー行くわよ!」

 と繭がいい体育館に三人で向かう。

 

 入学式は特に問題なく執り行われ、校長の挨拶、生徒会長の六年生の挨拶などがあり、少し緊張が緩んだ頃に、担任紹介が入る。翔と繭は共にAクラスだった。

 クラスはAからDクラスで低学年は魔力量関係なく決められる。一年生から三年生までが同じクラス同じ生徒で暮らし、高学年になると魔力量や属性などでクラスが分かれる。Aクラスが優秀でDクラスが落ちこぼれと言われているらしい。

「一年Aクラス担任湊昴みなとすばるBクラス担任夏樹優なつきゆうCクラス担任暁雪菜あかつきゆきな…………」

 マイクで各担任がAからDクラスまで紹介され担任がクラスごとに分かれて座っていた、新入生の前に立つ。

 翔と繭は湊先生ってさっき言っていた先生かな?と心の中で思う。

 

 入学式が終わり各クラスが教室に移動する親御さんは後からぞろぞろと教室の後ろに来て立っている。

「皆さん初めまして、Aクラスの担任になった湊昴と言いいます。湊先生か昴先生って呼んでね」

 と昴先生が挨拶をする。

 他の生徒は緊張して声がでず、頭を軽く下げた生徒は数人で後の生徒は固まっている。もちろん翔と繭も緊張していて頭を下げる程度ではいとは言えなかった。

 

「それでは初日でもあるので呼ばれた子は元気よく手を上げてみましょう」

 昴先生は緊張をほぐす為に出席番号順に生徒の名前を呼んで生徒は手を挙げ

「はい」

 と答えていく。

佐藤健さとうたけるさん『はい』大丈夫ですよ。志波繭さん『はい』元気いいですね。鈴木一郎すずきいちろうさん『はい』元気でいいですね」

 佐藤健と言う男子が裏返った声で返事をして、昴先生が一言言い、繭の名前が呼ばれ手を挙げ元気よく返事をする。鈴木一郎と続き、何人か呼ばれ続きが、翔の順番になる。

「二葉翔さん『はい』元気でいいですね」

 翔が元気よく返事をし手を挙げる。昴先生から一言もらい、昴先生は次の生徒の名前を声かける。

 

「皆さん元気よく返事ができましたね。この三十六名がAクラスになり三年生まで同じく暮らします」

 昴先生がハキハキと言い生徒が周りを見回したりしている。

「今日は連絡事項を伝えて終わります。まず一つ目明日は席替えをします。くじ引きで決め四人一組班を決めます。二つ目教科書には名前とクラスを書いてください。親御様よろしくお願いします。三つ目このクラスは三年生まで同じクラスです。皆仲良くしましょう」

 昴先生はハキハキと話、今日の予定は全て終わった。

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